【R18】らぶえっち短編集

おうぎまちこ(あきたこまち)

文字の大きさ
13 / 118
凍てつく百合の令嬢は、婚約者の弟に狂おしく愛される

7 グラースside

しおりを挟む

 彼女を幽閉している部屋を出た後。

「殺しても殺したりない、あの男!! 何が兄だ!! ふざけるな!!!」

 グラースは、血がにじむほどの力で壁を叩いた。

(リリー義姉様のことをずっと騙していた、クズが! 思い出すだけで、怒りに震える)

 彼女は何も知らないでいる。

 彼女の婚約者だったイグニスが、彼女を騙して将軍の娘と添い遂げようとしていたことなど……。

(本当はあの場所で、殺されるはずだったのはリリー義姉様の方だったなんて……)

 そうとも知らず、彼女は今もイグニスのことを想って過ごしているのだろう。
 兄の婚約者に決まる前から、ずっと彼女に恋焦がれていた。

(リリー義姉様は物静かで、誰かに害をなしたりしない、誰にでも優しく、そして聡い女性だ。それは自分に辛く当たる相手であっても……)

 兄イグニスは将軍の娘に現を抜かし、よくリリーを罵倒していた。兄も彼女の優しさに甘えていたのだろう。
 自分が浮気しているくせに、その原因はお前にあると、リリーを責めていた。
 彼に恋をしていた純粋なリリーは、兄イグニスのいう言葉を真面目に受け取り傷ついていた。

(あんなバカな男、兄でもなんでもない)

 皇帝に興味はなかったけれど、彼女を手にすることを条件に、愚鈍な兄を殺すことになった。
 未来を愁いた先帝の頼みだった。

 彼女の父である宰相も同意した。

(本当は大事にしたかったはずの彼女を抱いたのも、ある意味洗脳に近かった彼女の兄への想いを、断ち切るのに良いんじゃないかと思ってやった。けれど、逆に彼女を傷つけただけ……)

 グラースは唇を噛んだ。

(結局、自分が彼女を手にしたかったに過ぎない)

「どうしたらまた、リリー義姉様は、僕に笑ってくれるようになる?」

(いや、もう僕に対しては一生無理かもしれないな……)

 嫌われても良いからと、無理矢理身体を開いたはずなのに、揺れてしまう自分がいる。

 他にも、ずっと後悔していることがある。

 イグニスを愛していた彼女は、何も知らないまま、結婚式場で殺されていた方が――本人にとっては幸せだったのではないかと――。

(彼女を生かしたのは、僕のエゴに過ぎない。僕が生かしているせいで、彼女の心を苦しめているのかもしれない)

 自分でも選択が正しかったのかわからなくなることがある、

 だけど、どうか、自分にはもう笑顔を見せないで良いから……。
 
「僕には笑いかけないで良いから……昔みたいに、他の誰かに笑ってよ……」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...