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2日目

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『ええっと……俺、なんか口走ってた?』

「はい、口が滑りまくっていました、守秘義務とか守るの苦手そうですね?」

『子猫ちゃんの中で、俺がテキトーな人間だっていう認識だってよくわかったよ!』

 ヒルダは否定しなかった。

「ええっと、先ほどのブライアン殿が云っていたように、英雄ジークフリード様は、本当の聖女様と恋人同士だったのでしょうか?」

 すると、しばらく黙っていた聖剣ジークフリードだったが――

『ええっとね、どうだろう? 似たようなものだったけど……』

「似たようなもの……?」

『まあ、公式には色々言えないことがあるんだよ。聖女と護衛騎士が付き合ってるとかさ、バレたら世界救えないって、王様とかに殺されちゃうじゃんよ! だから、俺たちは別に恋人同士じゃなかったの! まあ、陰でこっそり、呼捨てにしたりはしてたけどね。あっちは、俺のこと好きそうだったけど』

 恋人同士じゃなかったそうだけど、こっそり呼び捨てにしていたそうだ。
 しかも聖女はジークフリートに恋していたという。

『それに、あの頃のヒルダが聖女の力を失ってたから、俺が聖剣と一緒に封印されるはめになったというか……』

 ヒルダは考え込んだ。
 恋人同士じゃないけど、聖女の力を失っていた……。
 やけにジークフリートはデレデレしている……。

「つまるところ……身体だけの関係で弄んでしまったとか……?」

『……!?』

 答えがないのが、答えなような気がした。

(やはり、この聖剣とは迂闊に身体の関係になりたくないな……)

 夏だというのに、ヒルダはぶるりと震えた。

「まあ、貴方の過去はどうでも良いんだ。とにかく、世界の平和は守らないといけないから、貴方の鞘にならないままで魔王を探さないといけない」

 とにかく時間がない。
 すると、ジークフリートが口を開いた。

『君が俺の鞘になってくれてないから、俺の力も完全じゃないから、はっきりしないとこがあるけど。とりあえず、ブライアンだとかいうあいつの言うこと自体は信頼できるけど、あいつ自体は信頼するのは良くない気がする』

「ですが、身分は確かな相手でしたよ?」

『まあ、そもそも村自体も様子がちょっと、ね。ごめんよ、あんまりはっきりしなくてさ』

「……?」

『まあ、仮に魔王の封印が解けていたんだとして、そんなに遠くには行ってないとは思う、あとは力も復活してないと思う、俺たちと同じで』

「そうなのですか!?」

『うん、なんとなく近くにまだいるような気もするかな? たぶん、だけど?』

「でしたら! 善は急げです! 明日までに、さくっと魔王を見つけて我が手で倒して、心残りがないように貴方様を昇天させてみせます!」

『ええっ、そんなに俺と色々したくないの!? しかも、そんな満面の笑みで、『死ね』って言ってこられるとか、生まれて初めてで痺れるよ! 仕方ないから、どうにかして、俺に惚れさせてみせる!』

「心意気は受け取りたいと思います」

 そうして、ひとまず魔王の手がかりを探すべく、また坂道を上りはじめたのだった。

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