33 / 45
本編
33
『まゆりちゃん、これあげるから話を聞いて』
普段通り、私に飴を差し出してくるものだから、てっきり普段と同じ話なのかなって思ったら全然違う話でショックすぎたあの日。
「まゆりちゃん、これあげるから話を聞いて」
全く同じ所作で大牙くんがスーツのポケットから何かを差し出してくる。
あの日の再現になったら怖くて思わずぎゅっと瞼を瞑ってしまった。
どうしよう、十年間好きだったけど、やっぱり身体の相性が良くないから別れようとかそんな話だったら……?
怖くて目を開けられない。
そうしたら――
「ああ、昔の俺のせいだね。ごめんね、心配させて……目を開けて、まゆりちゃん」
大牙くんの優しい声音に促されて、そっと瞼を持ち上げる。
「あ……」
目の前に差し出されていたのは――黒い小さな箱。
大牙くんがゆっくりと箱を開けてくれた。
中に入ってたのは――キラキラのダイヤの指輪。
「これは……?」
「俺としてはちゃんと告白したつもりだったけど、肝心なことを言えてなかったなって思って」
そうして――大牙くんがちょっとだけ目をきょろきょろした後、私のほうをまっすぐに見つめてきた。
「本当はもっと早くに言いたかったんだけど、十年かかってごめんね」
そうして――真摯な瞳に射抜かれると、その場から動けなくなる。
「今みたいにタダの教師同士で再会できたなら良かったけど……俺の本業は裏稼業の人間だから、色々と困らせることもあると思う。だけど、絶対に俺がまゆりちゃんのことを守るから――だから――」
そこにいたのはいつもの甘えん坊な調子の可愛らしい大牙くんじゃなくて、しっかりした大人の男性に成長した大牙くんの姿。
「どうか俺と結婚してください」
先生や生徒たちに囲まれても、ヤクザがたくさんいる場所でも堂々と振舞ってたのに、私の反応に一喜一憂する大牙くん。
どんな大牙くんでも大牙くんは大牙くんだよ。
勝手に涙が滲んでくるのは止められなかったけれど、もちろん私は笑顔で返した。
「もちろん!」
「ありがとう!」
大牙くんが太陽みたいに微笑んだかと思うと、私にぎゅっと抱きしめてきた。
「もう絶対に離さない――俺にはずっとずっと、まゆりちゃんだけだよ、愛してる」
まだ子どもだった頃から十年。
大人になった私たちの元に、十年ぶりの幸せな春が訪れようとしているのだった。
普段通り、私に飴を差し出してくるものだから、てっきり普段と同じ話なのかなって思ったら全然違う話でショックすぎたあの日。
「まゆりちゃん、これあげるから話を聞いて」
全く同じ所作で大牙くんがスーツのポケットから何かを差し出してくる。
あの日の再現になったら怖くて思わずぎゅっと瞼を瞑ってしまった。
どうしよう、十年間好きだったけど、やっぱり身体の相性が良くないから別れようとかそんな話だったら……?
怖くて目を開けられない。
そうしたら――
「ああ、昔の俺のせいだね。ごめんね、心配させて……目を開けて、まゆりちゃん」
大牙くんの優しい声音に促されて、そっと瞼を持ち上げる。
「あ……」
目の前に差し出されていたのは――黒い小さな箱。
大牙くんがゆっくりと箱を開けてくれた。
中に入ってたのは――キラキラのダイヤの指輪。
「これは……?」
「俺としてはちゃんと告白したつもりだったけど、肝心なことを言えてなかったなって思って」
そうして――大牙くんがちょっとだけ目をきょろきょろした後、私のほうをまっすぐに見つめてきた。
「本当はもっと早くに言いたかったんだけど、十年かかってごめんね」
そうして――真摯な瞳に射抜かれると、その場から動けなくなる。
「今みたいにタダの教師同士で再会できたなら良かったけど……俺の本業は裏稼業の人間だから、色々と困らせることもあると思う。だけど、絶対に俺がまゆりちゃんのことを守るから――だから――」
そこにいたのはいつもの甘えん坊な調子の可愛らしい大牙くんじゃなくて、しっかりした大人の男性に成長した大牙くんの姿。
「どうか俺と結婚してください」
先生や生徒たちに囲まれても、ヤクザがたくさんいる場所でも堂々と振舞ってたのに、私の反応に一喜一憂する大牙くん。
どんな大牙くんでも大牙くんは大牙くんだよ。
勝手に涙が滲んでくるのは止められなかったけれど、もちろん私は笑顔で返した。
「もちろん!」
「ありがとう!」
大牙くんが太陽みたいに微笑んだかと思うと、私にぎゅっと抱きしめてきた。
「もう絶対に離さない――俺にはずっとずっと、まゆりちゃんだけだよ、愛してる」
まだ子どもだった頃から十年。
大人になった私たちの元に、十年ぶりの幸せな春が訪れようとしているのだった。
あなたにおすすめの小説
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
藤白ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389