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第4章 結婚後の求婚

第34話 青焔の騎士は、無垢な花嫁に囚われる5

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 芝生の上、幹に背を向けた状態でデュランダルを座らせたフィオーレは、自身も彼の隣に腰かける。そうして、彼の肩に手を置いた。
 
 肩に手を置かれたデュランダルは、彼女に謝罪の言葉を述べる。


「この間は悪かった。お前を大事にしたいのに、傷つけるような真似をして――」


(この間の出来事――)

 フィオーレの話に聞く耳をもたないデュランダルによってリボンで縛られた上に、絨毯へとフィオーレが転がされた日のことだろう――。

 彼女は首を横に振った。

「あの日も、言葉こそ強かったけれど、私に触れるデュランダル様はいつもと変わらず、優しいデュランダル様でした。私はあの程度で、貴方に傷つけられたりはしません」

 真剣な彼女から顔をそらしたデュランダルが、またボソリと呟く。

「でも、ひどい言葉をお前には言った――」

 フィオーレはまた首を横に振る。

「いえ、私が誤解を受けるような真似をしたのも問題だったと思いますし、何よりその――」


 頬を紅潮させた彼女は、彼に優しく微笑みかける。


「デュランダル様は――私のことが好きだったからこそ、異性であるイリョスを気にしたのでしょう? その――先ほど私に、『生まれて初めて愛した女』だよって、言ってくださって、本当に嬉しかったです」


 にこやかなフィオーレとは対照的に、デュランダルは頭を抱えていた。

(デュランダル様……よっぽど具合が悪いのかしら――?)

 心配したフィオーレは、彼の顔を覗こうとする。


「違う――――」


 突然、彼に否定されてしまい、彼女は戸惑った。

(違うって、『生まれて初めて愛した女』のこと――?)

 フィオーレの心はざわつき始める。

(お酒の勢いで、てっきり本心だと嬉しく思っていたのに――)

 彼女がしょんぼりしていると、項垂れたままのデュランダルが口を開いた。


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