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第7章 青焔将軍の妻
第62話 青焔の騎士と紅炎の騎士5
しおりを挟む部屋に帰ると、デュランダルの腕の中でフィオーレはすぐに眠ってしまった。
「むにゃ……デュランダル様……そこは、触っちゃ、め! です……むにゃ」
寝言を言う妻に、夫は悪態を吐いた。
「どんな寝言だよ……」
すやすやと眠る彼女の亜麻色の髪を、愛おしそうに撫でながら、彼は続ける。
「フィオーレ……俺は、兄貴が王をやってるエスト・グランテで将軍をやって、お前と家族と……平和に暮らせたらそれだけで良いのにな……」
腕の中に愛する者がいる幸せを、デュランダルは知っている。
そうして、失いそうになった時に、どれだけ苦しいかも――。
「――シュタール……」
デュランダルは親友の名を呼ぶ。
「俺の話が、あいつに届けば良いが――」
最愛の人を取り上げられかけている宰相へと、最愛の妻を腕にした将軍は思いを馳せたのだった。
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