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第8章 将軍夫婦の結末
最終話 「無垢な花嫁は、青焔の騎士に囚われる」7
しおりを挟む城壁の近くまで、デュランダルとフィオーレを追いかけてきていた、騎士イリョスがぽつりと呟いた。
そうして彼は、東の空へと向かう、一匹の竜の姿を捉える。
「姫様は、行ってしまったか……」
「ふん、相変わらずだな貴殿は……あの青焔将軍がいない間にフィオーレ姫を口説く時間はいくらでもあっただろうに――さて、それよりも、オルビスに竜が出現した上に、姫まで攫われたとなっては一大事ではないか?」
イリョスの隣に立っていたローザが問いかける。
「というよりも、デュランダル将軍を城に招き入れたのはローザ様でしょう? どうせ、エストの宰相――今は国王陛下か――シュタール様とオルビスの宰相シリウス様が面白がって……」
「さあ、どうだろうか?」
「この調子じゃ、国王陛下もご存じなのでしょうね、きっと……」
イリョスは続けた。
「それに、宰相シリウス様あたりが、生誕祭の催し物で竜に見える魔術を打ち上げたとか……姫様を将軍の魂がさらっていったとか、民の同情をひくようなフィオーレ様の話だったりを、でっちあげそうですね……」
「ああ、あの方なら、歴史をどうとでも捻じ曲げるだろうな――」
そうして、二人は、竜の影が小さくなるまで、そこで見守っていたのだった。
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