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後日談

後日談4 夫は妻の子どもがほしい(前編)③

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「それで不審者だって言われてたのが、まさかのデュ――じゃなくて、グラディウス様だったなんて――」

 応接間のような場所で、デュランダルとフィオーレを迎えて、腹を抱えて一人の男性が笑っていた。騎士団のコートを身にまとう一人のひょろりと身長の高い男性。
 彼の正体は――。

「エム……てめぇは、人を見て、笑い過ぎじゃねぇか――?」

 ――かつて、デュランダルの屋敷の警護を務めていた騎士エムジーだった。

「いやいや、だって、まだ幼い女の子に、男の子の変装をさせた変質者がいるって報告があったから、見に行ってみたら――」

 エムジーは、涙を流しながら大笑いしていた。

「仕方ねぇだろうが――ドレスは目立つし……」

 バツが悪そうに、デュランダルは告げる。
 ちょうど、フィオーレはデュランダルに借りた白い上衣と黒い下衣を着用していた。

(デュランダル様……仮面をつけたうえに、幼い女の子に自分の服を着せて連れ回す変態さんに間違えられてしまった……)

「いやいや、それにしたっておかしい! 幼い女の子って、まさかのフィオーレ姫――じゃなくって、今はフィオナさんか――ですし――! 迎えに行った騎士が新人だから、デュ――じゃなくて、仮面のグラディウス様とか知らないし――!」

 ひたすら笑い続ける優男エムジーを横目に、フィオーレは笑えなかった。

(幼い女の子……)

 彼女は自身の胸に手を当て悩み始める。

(だいぶ、大きくなったはず……デュランダル様だって、「女になってんじゃねぇかって」言って……)

 次第に、フィオーレの表情は曇っていった。

「――きゃっ……!」

 彼女の隣に座るデュランダルが、突然彼女の頭をわしゃわしゃと撫で始める。

「フィオ、俺の服を着てるから、相対的にガキに見えたんだろ? 俺から見たら、充分綺麗な女だよ――」

「デュラン様……!」

 フィオーレの顔がぱあっと明るくなった。

「フィオ……」

「デュラン様……」

 ソファの上で、夫婦は見つめ合う。


「――って、あなたたち、僕がいるの忘れてません――!? 通行証渡すんで、さっさと行ってください」


 エムジーに促され、二人は砦から出たのだった。


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