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15 SMを止める気はない
しおりを挟むあれから一年が経過した
嫉妬をしない為に彼がやったことは、私の家である邸宅のローンを一括で払ってからこっちに引っ越したと言う選択
そして、朝と夜をいつも一緒にいることで、嫉妬しなくなったらしい
いや、実際にはするらしくて……朝一に身体を縛られてからスーツを着て、仕事に行くのが癖になったらしく
家にいても、仕事場にいても、SMを通って受け入れるのだから相当、ドMに調教されてるよね
「 ……結婚したい。仕事は辞めなくてもいいから、結婚してくれ 」
『 まだそんな気分じゃない 』
一緒に住み始めたのは、付き合って3ヶ月ぐらいで急にローン返済されて驚いてたら引っ越し業者が来て驚いたのはいい思い出
ドMで受け身なのに、こういった時は積極的なんだと思うほど
そして、ほぼ毎日のように求婚されてることにサラッと受け流していれば彼は後ろに回ってから腹へと触れた
『 なぁに……? 』
「 子供も生まれるんだ……結婚して欲しい 」
『 フフッ、誰の子だろー? 』
「 またそう言って…… 」
そう、この馬鹿犬のせいで私のお腹は分かるぐらい膨れていた
つわりが酷い時は流石に、仕事を休みがちになって隠しきれず
妊娠した報告をすれば、店の人達は喜んでくれたけど、客は変な奴が増えた
妊婦さんにSMされたい、何て言う馬鹿な変態のせいで、今は仕事を休んでる
出産して落ち着くまで、専業主婦として生活する私にとって暇な日常は退屈で仕方無い
そして中出ししたのを覚えてるこの狗は、結婚を焦ってる
デキちゃった結婚はしたくないと思ってたのに仕方無いね
『 ふふっ……冗談、いいよ……結婚しよ。戸籍だけ先に入れて 』
「 ありがとうな……凄く嬉しい……。落ち着いたら式を挙げよう 」
『 うん…… 』
けれど、互いの両親にはまだ挨拶をしてなかった
仕事はSMをしてる、なんて言えるわけもないし、デキちゃった報告と結婚を同時に伝える勇気はない
どうすればいいのか、考えていたら戸籍を入れた後に報告しに行った
勿論……離婚する気は一切無い
「 結婚すればいいじゃない。ねぇ、アナタ? 」
「 嗚呼、やっとか 」
『 えっ……いいんですか?夜の仕事をしてましたよ 』
李津の両親には隠すことなくS嬢として夜の仕事をしてることを伝えた
それなのに彼等は少し驚いた様子を見せるけど、其々に向き合ってから頷く
「 仕事はどうあれ、この子が女の子を連れて来ることすら初めてなことに感動してるわ 」
「 それも念願の孫まで見れる。若者の結婚離れが進み、少子高齢化の時代にこれだけ良いことはない 」
『 へ……そんなもの…… 』
「 俺の両親は真面目だから。付き合って愛し合って、子供が出来なら一番なんだ 」
いや、真面目だからこそ相手は学歴!!やら言うと思ってたのに
……本当にそんなあっさりと決めていいのかと疑問になれば、お義母さんは笑った
「 孫が見れると思うとなんだか、嬉しくて、悲しくなっちゃうわ……。よかったら…貴女の親御さんと食事がしたいわ 」
「 嗚呼、こんな息子でいいならくれてやるから。食事がしたいな 」
『 いえ、李津さん以外に私の運命の人(ドM)なんていませんから。彼を生んでくださりありがとうございます 』
「 ぅう、此方こそ……アナタ、とてもいい子だわ 」
「 そうだな…。育児含めて協力するからいつでも頼りなさい 」
『 はい……ありがとうございます 』
ハンカチを差し出した李津を横目に、彼等に頭を下げて、その日は家庭料理を食べさせて貰った
普通に上手だった為に、李津がまともに作れる理由も分かったかもしれない
そして、それから一週間後に都心から離れた地方にいる母親の元に、二人で向かった
お土産いっぱいに持てば機嫌が良いために、そうして会いに行けば、彼は固まった
「 あら~、なんていいオトコなの~ 」
「 えっ……えっと、オネェの……方ですか? 」
「 いやん、ママよ~ 」
『 うちの、お母さん…でありお父さんはバーのママやってる人で……こんな人と会わせられるかどうか…… 』
「 俺は、大丈夫だが……そうか、バーの費用に送ってのか 」
『 バーではなく…病院費とか、体弱いから 』
母子家庭ではなく、父子家庭で育てて来てくれた人
身体が弱く病弱なのに、オカマバーのママをやってるから同じ仕事につけないし年齢が40代なのに30代と思えるほど若々しい
少しだけ来るときに事情を話した為に、李津は軽く頷き納得してから、家の中にはいる
「 そう言うことで……娘さんと、結婚します 」
「 あら、やだぁ~デキちゃった婚ねぇ 」
「 ……すみません… 」
「 いいのよぉ~、なんせ私もデキちゃった婚だったからねぇ~別れると苦労すらから、エリちゃんは、別れないようにね 」
父親の苦労を私は知っている
身体を壊してまで働いて、バーの経営をしてるから朝から昼は育児をして、夜は深夜までバーをやって
そして睡眠3時間も無いまま、私が小学生になる頃まで働いて、そして一度倒れてる
『 別れたとしても、収入源はあるから大丈夫だよ 』
「 別れるわけ無いだろ。縁起でもない……もし、そうなったら育児費に毎月送るさ…… 」
『 ふふっ、頼もしいね 』
責任感のある彼ならきっとそうするだろ
母親は、結婚してからオネェだった事を暴露されて、見た目含めて受け入れられずに子供を置いて去った人
確かに、顔は覚えてない母親だけど、何となく父親がホモ寄りだったと知ったなら落ち込むのも分かるかも
でも、李津ホモでも……納得はできる
『 李津ホモでも、大丈夫だよ 』
「 なんの話だ!?今は、関係無いだろ? 」
「 フフッ、どっちの性別になってもいいのよ~そこに愛があればいいのっ 」
絶対無いと首を振るけどどうだろ?
なんて、冗談を置いといて父親に時間がある日に食事に誘うことを約束した
それからまた、1カ月後、御互いの家族が顔を合わせて高価なレストランに来たけれど
李津の両親はいつもニコニコしてて、父親のキャラがいいのか、直ぐに打ち付けていた
どちらの家族にも私達の結婚が認められ、臨月が近い頃に結婚式を挙げた
私の住んでいた地方にいた頃に仲良くなった、オカマバーの人達から、元教師、SMの仕事場の子達
そして、李津が招待した家族、親戚、友人、仕事のメンバー含めて800人以上招待したことで大きな結婚式になった
「 愛してる……恵里…… 」
『 ん、私も…… 』
指輪を交換してから、誓いのキスを交わせば大きな拍手が聞こえてくる
ウェディングドレスは敢えてお腹が分かるものを選び、テーブルクロスも食器も二人で選んだ
時間をかけて全て決めた結婚式は楽しくて仕方無い
「 さーて、此処で私達の女王様であり、新婦様のエリ様に、祝いの亀甲縛りを披露して貰おうと思います!!夫婦の絆は、亀のように長く、赤い縄のようにほどけることなく、永遠にって言う意味を込めて 」
「 はっ!?えっ、今からか!? 」
『 面白そう~、ぼさっとした無いで立って立って 』
「 は、はい! 」
拍手が聞こえるなかで、驚きと恥ずかしがる李津を他所に披露宴会場の真ん中へと移動すれば、10メートル近い赤い縄を受け取り向き合う彼に笑顔を向ける
『 フフッ、覚悟はいいかしら? 』
「 ……その顔に興奮するが、いいだろ…… 」
『 バトラー、背中は手伝ってね 』
「 はい、エリ様 」
臨月だし、そろそろ近いからお腹がつっかえて仕方無い
背後にいちいち回るのは面倒な為に前だけやれば、バトラーであるルイスは彼の後ろに回り頷き、二人で手際よく結んでいく
「 おぉ……社長のあんな姿…… 」
「 あれもまたいい…… 」
「 私も行ってみたいものだ 」
社長のハレンチな姿なんて、滅多にお目にかかれ無いだろうからね
これで他の客が来てくれたら、SMクラブ&バーの売り上げがあがると思いながら、締め付ければ李津は頬を染めて苦笑いを浮かべた
「 俺の息子が……反応して 」
『 フフッ、ド変態だね~ 』
「 あぁ、もう……自覚してるさ 」
「 亀甲縛りの様に、夫婦の愛も尚更、強く結ばれた事でしょ!! 」
有名な社長の相手が、SMクラブのS嬢だと記事になるのは早かった
批判する声が多いと思ったけど、実際に届く声は
" 男として立派!! "とか" ハードなプレイが出来る嫁が羨ましい! "等と言った言葉ばかり
そして、SMクラブの方も広告やら取材やらが増えて更に人手が増えて繁盛して
地方にいた、お義父さんはこっちで本格的なオネェバーを経営して儲かっていた
社長である、李津の会社も刺激を受けて前より株が上がり儲かったらしい
お互いウィンウィンの関係がずっと続いていく
『 那和斗!起きないと、縛るよ? 』
「 ん……母さん……そんなことされたら、興奮しちゃって、学校いけなくなる…… 」
『 じゃ、行かなくてもいいよ?母さんと遊ぶ? 』
「 まてまて、学校は行け。そして俺を縛ってくれ 」
李津にそっくりな、美形に育ってる息子もまたドMの変態クラスだが、それを隠すことをしてない為に、周りには弄るのが好きなホモの友達しかいないらしい
私達が否定することは無いけど、女の子と結婚して欲しいとは密かに思っていた
「 お父さんはいつもじゃん……狡い、仕事着の中に隠していけるなんて!俺は体育があるから 」
「 ある意味、バレないように過ごすのもいいぞ? 」
「 あ、それ良さそうかも…… 」
『 いいから二人とも、ご飯を先に食べなさい!! 』
「「 はっ、はーい!! 」」
鞭を張る音だけ響かせれば、二人は急いでご飯へと向かった
現役のSM嬢と結婚の大手IT企業の社長
そして、バリバリのドMホモ息子の
三人で暮らす日々はいつも明るく楽しいものだよ
~ 完結 ~
応援ありがとうございます!
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