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Ⅱ章.バーディッツ伯爵領 ─レイノルド・サイラーク─
【1】_4
*
屋敷からだいぶ離れた川のほとりまで来て、ようやく馬を停めた。
「ここで少し休憩しよう」
川べりの風は冷たいが、ジークが『風邪をひくといけませんから』とコルトを着ぶくれするほど着込ませたので、あまり長居しなければ大丈夫だろう。
水を飲む馬の隣りにしゃがみ込むと嬉々として弁当を広げ始めたコルトを眺め、思わず顔に笑みが洩れる。つられたように私も、その隣に腰を下ろした。
“おひとつどうぞ”とばかりに差し出された厚意は丁重に辞退する。それでも自分一人で食べるのが申し訳ないと言いたそうにしていたが、「私がジークに叱られてしまう」と言ったら、あっさりと手を引いてくれた。――躾けたなジーク。
美味しそうにサンドイッチに齧り付く、その横顔を見ながら水筒の水を飲み、私も隣で懐から一通の封書を取り出した。
さきほど屋敷でコルトが受け取ってくれた、届いたばかりの郵便、その中の一通だ。
出がけに気付いて、封も切らずに持ってきた。
差出人の欄に書かれていた名前は、私の待ち望んでいた名前。――トゥーリ・アクス。
逸る気持ちを精一杯押し隠しながら、その封を切り、中の便箋を広げる。
『親愛なるレイノルドへ
元気ですか?
俺は相変わらず元気にやってます。相変わらずファランドルフ副団長にコキ使われてます。泣きそうですが元気です。
そんな不甲斐ない俺ですが、今回は良い報せがあるんですよ。
なんと! この俺に、昇進の話が来たんです!
どうやらカンザリアでの俺の指揮官としての働きが評価して貰えたようなのですよ。新しい総督閣下が、報告に俺のことを含めてくださったのでしょうね。もちろん、今の上官である副団長も色々と骨を折ってくださったからこその結果だろうと思います。
俺を指揮官となるに相応しい位にすべきだ、ということで、春から二等騎士にしていただけるとのことでした。
身分的には、騎士長スッ飛ばしていきなり師団長クラスへの特進です。でも、さすがにそこまでは出来なかったらしく、階級は騎士長止まりとのことでしたが。
それでも、平民出身者ではありえないスピード出世には違いありません。
だって俺は、近衛騎士団に在籍して、まだ一年足らず…細かく言えば、やっと三カ月、ってとこですよ。
貴族出身者でも、副団長みたいなよっぽどの名家の出でもない限り、騎士長になるのに三年、二等騎士にまでなるのに五年はかかるのが普通だそうです。
平民なら更に時間がかかるのが当然ですし、出世できたとしても師団長止まりだとか。だから平民出身の騎士は大抵、近衛騎士団には長居せず、ある程度まで昇進できたら辞めて、貴族の護衛など民間で雇われて働くのだそうです。その方が実入りも良さそうですしね。
そんなだから、俺と同じく平民出身の同僚から「おまえは庶民の希望の星だ!」と、さんざん騒がれました。
でも俺は、特別なことは何もしてないんですけどね。たまたま左遷された先が前線になったから評価してもらえる武功が出来ただけのことで、普通に近衛騎士団にいたら、そう順調にはいかなかったと思いますし。
それが、こんな特進昇格までいただけてしまうのなら、左遷もされてみるものです(笑)
というわけで、今後なにか問題を起こしたりせず真面目に勤めてさえいれば、俺も春から騎士長です。
といっても、副団長付きであることには変わらないと思うんですけどね。
小姓という立場が、正式に副官となる、それだけの違いだろうと推察されます。当面、事務仕事から解放されそうにありません。泣きそうです。
でも、これであなたの隣りに並ぶことの許されるところに一歩近付けたと思えば、素直に嬉しいです。
そういえば、副団長の“お相手”の話ですが。
いまいち確信がもてなかった俺の心当たりが、ドンピシャだったことが判明してしまいました。
…といっても、当人二人から直接聞いたわけではないのです。別口の話で偶然、その目星を付けていた当人が件の夜に副団長と一緒にいたことが判ってしまったんですよね。
だから二人とも、まだ俺にはバレてないと思っているようですので、知っていると言い出せていない手前、ものすごく居心地が悪いです。
でもこっちから改まって言うことでもないしなあ、と、未だに白状できてません。何かキッカケでもあればいいんですけどね。
それでは、また。
ジークさんとコルトによろしく。
愛を込めて。トゥーリ』
読み終えてフと気が付くと、コルトが私の手元を覗き込んでいた。
「…読めるか?」
問うと、コルトは困ったように首を傾げる。
癖のあるトゥーリの字が読み辛いということもあるとは思うが、所詮まだ字を憶えて間もない子供だ、さすがに意味のとれない単語も多いのだろう。大人の会話を聞いても子供には理解ができない、それと同じことだ。
「この手紙は、トゥーリが送ってくれたんだ。――トゥーリのことは憶えているか? 王都の屋敷でも会っただろう、カンザリアにも居た騎士だ」
頷き、コルトは着ていた外套のポケットから折り畳んだ紙の束と木炭を取り出した。
よく暇を見つけては、コルトを伴なって屋敷裏の林に散歩がてら絵を描きに行くことが多いのだが、それを見て憶えたらしい。以来、筆談のために常に持ち歩くようになった。
取り出した紙に、木炭でコルトが文字を書く。
『だんなさまの、だいすきなひと』
「…ああ、そうだな」
返事を返した口許が自然に微笑んだ。
「そのトゥーリがな、昇進するのだと報告してくれた。――あ、昇進、わかるか?」
『えらくなること』
「そう。トゥーリも次の春から、ちょっとだけ偉くなれるらしいぞ。めでたいことだな」
『だんなさまも、うれしいのですか?』
「ああ、嬉しいぞ」
その返答を聞いたコルトが、どことなく不思議そうな表情になって、私を見つめた。
「なんだ? 何かおかしいか?」
少しだけコルトが考える素振りを見せる。そして、おもむろに手にした紙に文字を書き始めた。
『まえに、えらいひとにはだまってしたがえといわれました』
「なんだと……? それは、誰に言われた?」
『だんなさまのまえに、かんざりあでいちばんえらいひと』
私が着任する前のカンザリア総督――その文字を見て、まず真っ先にそれが思い浮かんだ。
『えらいひとは、こわいいたいことをします。だまってしたがわなくてはいけないのなら、すきなひとには、えらくなってほしくない』
「コルト……」
『だんなさまのすきなひとは、ぼくもすき。とぅーりさまは、ぼくにやさしくしてくれたからすき』
私は何も言えなくなって、思わずコルトを自分の胸に抱き寄せていた。
――なんて可哀相な子だろう。
この子は、愛することも愛されることも知らない。だから、身体を交わすことの意味を知らない。愛を確かめ合う筈の行為は、この子にとっては、ただの苦痛でしかないのだ。
私が着任する前のカンザリアで……コルトは、総督であった者に性的虐待を強いられていた―――。
カンザリアで初めて会った日のことを思い出す。
料理長と部屋付きの者を紹介するという中佐に伴なわれ、コルトは料理長と共に総督執務室を訪れた。
顔には微笑みを浮かべながらも、料理長の身体の影に隠れるようにして立つ不安そうなその様子が気になって、後から中佐に尋ねた。
そして、彼の境遇を知った。
彼が不埒な悪戯の被害を受けることのないよう、なるべく兵士には近付けさせないように、あえて総督付きとしているのだと、中佐は語った。
最初、子供を付けるなど馬鹿にしているのかと文句の一つも言ってやろうとしていたのだが、そういうことならと、それは出さずに飲み込んだ。
その夜のことだ。
子供は寝ていて当然の深夜に、コルトが一人、私の部屋を訪ねてきた。
鳴りやまないノックの音に目を覚まし、誰だと声をかけても返事はなく、おそるおそるドアを開いたら、そこにコルトが立っていた。
慌てて部屋の中に招き入れ、どうしたのかと尋ねた。
するとコルトは、その場で服を脱ぎ始めたのだ。
驚いて私は、それを止めた。何をするつもりだと声を上げた私を、コルトは不思議そうに見上げてきた。
そして、おもむろに私の股間に手を触れ、続いてくるりと背を向けると、自分の臀部を指し示した。
私を見上げる視線が、まるで“するんでしょ、どうぞ”とでも誘っているかのような―――。
我知らず私は歯を食い縛っていた。
無性に腹が立って腹が立って仕方なくなった。
無言のままコルトに服を着せると、その手を引いて使用人の宿舎へ行き、料理長を叩き起こした。
コルトを自分の部屋に下がらせてから、料理長にあったことをあったまま話し、『貴様は、あんな幼い子供にそんなことまでやるよう強要しているのか!』と怒鳴りつけた。
そこで泡を食って否定した料理長に、それを聞いたのだ。
前の総督から、コルトが性行為を強要されていたらしい、ということを―――。
『あの子は何も言いませんから、詳しくはわかりません。ですが、前の総督から夜な夜なお呼び出しを受けていたようなことは気が付きました。身体のあちこちに不自然な痣らしきものもあって……』
『なぜ止めさせなかったのだ!』
『総督のなさることに、わたくしどもが何を言えるというのですか!』
『――――!!』
『他のどなたに申し上げても、どんなにお願いしても、総督のなさることを止めさせることなど出来ませんでしょう? 気が付いた時には、もう遅かったのです。もはや打つ手などありませんでした。――きっと今夜のことも……あの子は賢いから、そうしなければいけないと思って自分からおうかがいしたのでしょうね……』
『なんて…なんて可哀相なことを……!』
顔も知らない前総督を、心から憎らしいと思った。奴のしたコルトへの心ない行為が、心の底から腹立たしかった。
そして、強いられた行為の意味もわからず、ただ“しなければいけないこと”と学習してしまったコルトの稚さが、たとえようもなく痛ましかった。
決して他人事だと割り切れない。――望まぬ相手に身体を開かなければならない苦しみは、そして力ずくで無理やり組み伏せられる恐怖は、私にも覚えのあることだ。
それをこの子は、大人に護られていて当然のはずの、こんな幼い身ながらにして受け入れることを余儀なくされてしまったのかと……それがあまりにも不憫で不憫で堪らなかった。
だから翌日、朝の支度のため部屋へ来たコルトをつかまえて、私は告げた。――『昨夜のようなことは、もうしなくていい』と。
『前の総督がおまえにしたことは、本当はしてはいけないことなんだ。相手に対して大好きだと想う気持ちがないと、してはいけない』
それを聞いて、コルトは困ったように私を見つめた。まるで言われている言葉の意味がわからないという表情で。
『コルトにも、好きなものがあるだろう?』
少し考えてから、ひとつ深く、コルトが頷く。
『今のその“好き”の気持ちよりも、もっとずっと大きな“好き”だと思える人が出来たら……それと同じくらいの大きな“好き”を自分も貰いたいと思える人が出来たら……その相手となら、してもいいことなんだ。本来なら、な。――おまえにああいうことを強要する者どもは、それがわかっていない愚か者だ』
コルトはまだ不思議そうな顔で首を傾げているばかり。
『今はわからないかもしれない。でも、いずれはわかるよきっと。だからおまえは、もっと自分の身を大事にしなさい。もう、あんなふうに自分の身体を差し出すような真似をしてはだめだ。誰かにやれと命令されても、絶対に拒みなさい。無理矢理そういうことをされそうになったら、絶対に逃げなさい。そして私に報せるように。――いいね?』
戸惑っていたようではあったが、それでもコルトは、こくりと深く頷いてくれた。
そして以来、カンザリア総督の権限を最大限に行使して、私に情欲の視線を向けてきた者に対し、有無を言わせず除隊処分を課した。
私にだけでなく、コルトへまでも不埒な真似に及んだ輩に対しては、厳しすぎるほどの処断を与えたうえで放逐した。
これは、いわば“見せしめ”だった。
そのような輩を問答無用で排斥するほど私が嫌悪していると知られれば、今後カンザリア島内での同様の犯罪は減るだろうと考えたのだ。
さらにコルトが、私の言を容れて、それまでよりも自身を大事にしてくれさえすれば、少しでもより被害は減ってくれるだろう、と。
そう、安心していた。
しかし……被害は減っても、心に負った傷は、そうすぐに癒える筈などなかったのだ。
今、それをまざまざと、見せつけられた―――。
「コルト。偉い人だからといって、何でも黙って従わなくてはならないということは無いよ」
抱き寄せたまま、私はコルトに語りかけた。
「嫌なことは嫌だと言っていいんだ。――ただ、それはとても難しいことだけどね。時には、命をかけなければならないこともあるだろう」
そこで身体を離し、私はコルトを見下ろした。
「だが私は、それでも嫌なことは嫌だと言える大人になって欲しいと、願っているよ」
こちらを見上げるコルトの瞳は、どこまでも真っ直ぐだった。
一句一句ゆっくりと、言い聞かせるように、私は告げる。
「だから学びなさい、コルト。世の中の何が良くて何がいけないことなのか、それを正しく判別できるように。知識は、必ずおまえの味方になる」
神妙な表情と真剣な瞳で、コルトがゆっくり頷いた。
今はまだ、わからなくてもいい。ただ私の言った言葉だけを憶えていてくれればいい。いつかきっと、その意味を判ってくれる時がくる。
そして私は立ち上がり、「そろそろ帰ろうか」と、コルトの手を取った。
「ジークに言って、今夜はトゥーリの昇進祝いをしよう。――世間ではね、昇進することは、当人にとって、とても誇らしいことなんだ。好きなひとが誇らしいと、こちらも嬉しくならないか?」
これで納得したように、軽くこくこくと何度もコルトは頷いた。
「トゥーリが誇らしくなれることを祝福して、私たちも楽しい気分で祝おう。今夜は御馳走だ」
やっと笑顔を見せたコルトを抱き上げ、そのまま馬の背に乗せた。
――そうやって……ひとつひとつ、皆、成長してゆくのだな……。
コルトは、知らなかったことのひとつを、今こうやって憶えることができた。
トゥーリも、近衛騎士団で着々と自分の居場所を作っている。
アレクだって、そう……あのアレクに恋人が出来たらしい話には、最も衝撃を覚えた。
――だってハルトのことを、まだ忘れていないのに……。
コルトにまで、その面差しを重ねたくせに……それでもハルトを思い出にして、アレクは前に進んでいるのか。
皆、私一人を置いて先に行ってしまう―――。
私一人だけが、どこにも行けず、ただ過去に囚われているだけ―――。
好きなひとが誇らしいと、こちらも嬉しい。――その言葉に嘘は無い。
それぞれの道を邁進する彼らを、私はとても誇らしいと思う。嬉しいと思う。
ただ同時に……言い様のない淋しさを覚えてしまうのも、嘘ではない。
一人だけ取り残される不安が、どうしても付き纏う。
そして心は、いつも過去へと立ち返る。
愛馬を駆りながら、密かに唇を噛み締めた。
私の心は、我ながら情けなくなるほどに、まだこんなにも弱くて脆いままだ―――。
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