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この世界は間違っている

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 広場にたどり着いた僕は、絶句した。

 そこにあったんは、むごたらしい残骸だった。

「うっ」

 抉り取られた眼球がポトリ地面に落ちている。血、生首ぐちゃぐちゃにされた人間の残骸が落ちている。ひきちぎられた子供の手を見た途端、吐きそうになった。

 遅かった。権力があるくせに、助けられなかった。

「ギル様、どうされましたか」

 側にいたエンデュミオンが倒れそうになった僕を支えてくれた。

「……気分が悪くなったから帰る。案内は不要だから馬車の中では一人にしてくれ」

 助けられたはずの命を助けられなかった。

 あいつらが死んだのは、僕のせいでもある。吐き気、頭痛がこみ上げてくる。

 罪悪感蝕まれながら馬車で揺られているといつの間にか屋敷についていた。







 部屋へ戻る途中、トボトボと歩いていると視界にまたシオンを見つけた。

「ほら、もっと早く動け」

 執事っぽい恰好の男が、シオンの背中を鞭でビシリと叩いている。

「っ……。ごめんなさい。」

 シオンは、苦しそうに顔を歪めた。そして、全部、自分が悪いような態度をしている。
 周りにいる人は、誰もこの光景を異様だと思わず当たり前のような態度であった。

 これが、カルタヤ人に対する扱いか。

 ほかの人たちは、カルタヤ人を人間扱いしていない。

 そう気がつくと、心臓が握りつぶされるように痛くて悲しい気持ちがひしひしと押し寄せてきた。

 今すぐ助けてあげたい。だけど、嫌われ者の僕がシオンを助けると、シオンを危険な目にあわす可能性がある。そう思うと、何もできない。

 どうしてこんなに幼い子がこんな目にあわないといけないのだろう。どうして罪のない人があんな風に無残に殺されてしまうのだろうか。なぜ誰もが悪人だと思うようなひどい人間が平気で生きているのだろうか。


 核兵器保有国に怯え貢ぎだす国々。ミサイルが撃ち落とされようが、平和宣言に縛られ反撃一つできない国。反撃されることを恐れて、仕事を放りだす総理大臣。あんな国滅ぼしてやると言いながら、自国が滅ぼされそうになると弱気になる国。

 どうして誰も何も行動しない?何で、みんなそんなに他人任せだ?何でそんな豚に自分の国を任せられる?どうして、世界は残虐非道な独裁者が存在していることを許している?


 クソみたいな独裁国家とか、災害が起きて全部、滅びるべきだ。



 僕なら、それを起こせる。



 神からもらった指輪をもらって悪い奴らを全部、清掃すれば、この世界はまともになるんじゃないか。



 ああ、そうだ。



 そうに、決まっている。


 この世界には、間違いなく死ぬべき人間がいる。多くの人を殺して苦しめて、自分勝手な行動ばかりしているくせに、のうのうと暮らしている奴は確かに存在している。


 そいつらがやがて死んだところで、独裁国家ではその血を受け継ぐものが、間違った価値観のもとで、最低なふるまいをし続けることは高いだろう。


 腐った国、制度、思想は、亡ばなければいけない。一度全部壊されて、また作り直さなければ、同じ場所で何度でも悲劇は生み出され続けるだろう。




 僕がみんな殺してやる。この世界の平和を邪魔する全ての人を―――。





 世界最大の革命を成し遂げて見せる。 


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