偽りオメガの虚構世界

黄金 

文字の大きさ
42 / 79

42 眠りたい

しおりを挟む

 此処なら何でも思いのまま。
 私が作った魔法の世界。
 何でも叶えてやれる。欲しいものは全て雫に与えてやれる。
 現実では皓月さんの庇護下でしか生きていけないけど、此処なら私が神だ。

 色んな世界を作った。
 目覚める事なくずっと居続けた。
 元の身体なんかどうでも良かった。
 死ぬなら死ねばいいし、その時は雫と一緒だ。

「雫、今日は何をしようか?」

「うーん、海で泳ぎたい!」

 だったら海は透明度の高い綺麗な海にしないと。怪我をしない様にサラサラの砂浜にして、貝殻のカケラで足を切ってしまわないよう排除して、身体は冷やしてはいけない。水温も気温も上げて、でも日焼けはダメだから日差しは緩く。

「気持ちいぃ~~~!」

 浅い所を泳ぐ雫は綺麗だった。肌は白く、黒目がちの猫目は笑みで細まる。
 
「あ、魚だ。」
 
 一匹の黒い魚が泳いできた。
 手のひら程度の魚。あんな真っ黒な魚は設定しただろうか?

「ふふふふ、何だか兄さんみたい。」

 突然皓月さんだと雫は言った。
 雫の中の皓月さんの記憶には蓋をしている。出てこない様に封じたのだ。
 なのに、何故急に思い出した?

「まって!その魚見せて!」

 雫の手のひらの中に掬われた黒い魚を覗き込んだ。
 魚と目が合う。

 バツンと世界を切った。

「なんで?なんで、なんで、なんでっっ!」

 皓月さんだ!あの魚の目、恐らく外から皓月さんが干渉している。
 目覚めない雫を取り戻しに来た!




 とりあえず魚を追い出す為に、あの仮想空間は閉じてしまった。
 作り直しだ。
 次は何にしよう?
 今度は本当に魔法の国にする。
 絵本のような石畳の町、三日月の夜空、箒に乗った三角帽子の魔女、時計塔、王様がいるお城。そんな絵本の中の世界に二人きり。
 
「ほら、今日は星がよく見えるね。」

「うん、綺麗だ。」

 二人で仲良く石で出来た塀の上に腰掛ける。
 足を投げ出し空を見上げる場所は町の城壁の見張り台。
 高さはあるが此処は魔法の国。
 箒があれば飛べるようにした。

 ニャー。

「あ、黒猫~~~っ!」

 可愛い!と雫が抱き上げ膝に乗せた。
 
「あれ?この猫ちゃん兄さんみたい!」

 驚愕に目を見張り、震える手で雫の腕を掴む。雫がどうしたのかと首を傾げた。

 猫の瞳が識を見つめる。丸い瞳孔の中に驚く自分が写っていた。
 
「何で来るんだ!?」

 恐怖が湧き起こり、またブツリと世界を切った。




 
 魚、猫と来たのは何故かと考えた。
 そういえば人間をまだ作っていないからかと思い付く。そう、言葉さえ出させなければいい。そうすれば雫はもしまた皓月さんがやってきても、此処が仮想空間だと気付かない。

 次は冒険者にしてみた。色んな不思議な場所を歩こう。
 出来れば現実を思い出さない様に、全く違う世界がいい。
 動きやすい皮の鎧を着て、荷物を背負って二人で歩いた。
 のんびり進めばいい。
 どこまでも世界は広げられる。
 食べ物も飲み物も自由自在だ。

「わっ!…あ~トカゲかぁ、びっくりしたぁ。」

 小さなトカゲに驚いてしまった事を恥ずかし気に笑いながら、雫はそのトカゲを見る為にしゃがみ込んだ。
 嫌な予感がした。

「…………わぁ、このトカゲちゃん、兄さんに似てる~。」

 笑いながらそう言う雫の後ろで、愕然と冷や汗が出てくる。
 また、来た。
 ゆっくりと雫の背中越しにトカゲを覗き込む。
 トカゲは私の顔を見ていた。

 いつまでコレを続けるのか?

 静かにトカゲはそう瞳で語り掛けていた。
 丸いつぶらな瞳が、何故か皓月さんの怜悧な瞳に見えた。

「邪魔っっ!!するなぁぁっ!!!」

 思いっきり世界を切った。






 大きな鎌を用意した。 
 どんな皓月さんが出てきてもいい様に、大きくて綺麗で刃の鋭い大鎌を。
 どんな世界を作っても、皓月さんはやってくる。
 犬、鳥、蛙、蜻蛉………。



「………へぇ………、今度はまた凄いね。」

 醜い魔物が目の前にいた。
 洞窟の中、暗闇の穴の中にいる黒いブヨブヨの何か。歪な目が二つ私達を見下ろしていた。
 開いた口らしきところから垂れる涎が、上から落ちてきそうな程に私達に覆い被さり見下ろしている。
 ボトリとすぐそばに落ちるドロドロの液体。
 コレを見てもきっと雫は言うのだろうな………。

「兄さんに似てる君はどこから来たの?」

 やっぱり言うか。
 君は何度作り替えても兄を求めるのか。
 皓月さんが現れる度に、その動物や昆虫を消していった。魚も猫もトカゲも犬も、存在しない世界にした。
 雫が思い出さない様に、徐々に世界から生き物の種類が消えていった。
 一体何十、何百消しただろうか…。
 それでも皓月さんはやってくる。
 仮想空間を強制消去すれば、中にいる人間はただでは済まない。
 隣の雫の意識は朦朧とし、感情も朧げだ。
 貼り付けた記憶で会話はするが、元の雫が残っているだろうか。
 それでも隣に雫がいて欲しかった。
 皓月さんの存在が忌々しかった。
 
 魔物が喋った。

「帰っておいで、雫、識…………。待ってる、から……。」

 ああ、魔物って喋れるんだと、乾いた笑いが漏れた。

「ふっ……、ははっ!あはははっ!執念いよ!?何で来るの!?いい加減、諦めてよ!!!」

 魔物の皓月さんの瞳は静かだった。
 哀れみも、同情も、怒りもない。
 ただ静かに帰って来いと言う。

「しき、しき、大丈夫、だから帰って、こい。」

 私は涙を流したことがなかった。
 どんなに苦しくても、育った環境が劣悪でも、仲間が次々に死んでいっても、どこか冷めていて泣かなかった。
 だけど、今は涙がボロボロと流れてくる。
 現実はなんて苦しい!
 仲間が現実は嫌だと言って死んでいった。
 私は特別だったわけではない。一人生き残ったのは感情が鈍かっただけだ。
 仮想空間の万能感も、現実の無能感も比較的どうでも良かったから生き残れた。

「ねえ、アンタだって何度も精神を切られて辛いはずだ……。なんで、来るの?」

 私は慣れている。そう言う身体に脳になってしまっている。
 でも皓月さんも雫と一緒でダメージを負っている筈だ。

「………分かって、いるなら、帰って来い……。」

 涙が止まらないから、目を瞑った。
 見下ろしている魔物が雫と私を優しく抱きしめるから、涙が止まらない。

「憎いよ………、皓月さん。」

「……………。」

 謝らないんだね。
 そうだよね、アンタはいつも最善をとっている。
 皓月さんも雫を愛している。
 だけど、アンタは雫に手を伸ばさない。
 雫も兄を選ばない。
 兄弟だから。
 
 ゆっくりと世界を閉じていった。
 二人の精神が壊れない様に、ゆっくりと。
 
 私は、どうしたらいい?
 あまりにも経験がなさ過ぎてどうしたらいいのか分からない。
 賢い皓月さんが命令してくれればいいのに。
 あの研究所の奴らと同じように、人間ではなく家畜のように見下してくれればいいのに。

 そうしたらどんなことだって何も感じずに実行出来る。






 あれから現実に戻った。
 何も出来ない無力な人間に。
 皓月さんは回復しては仮想空間に入るという無茶をやったが、医療の助けを借りて無事だった。
 入りっぱなしだった雫は記憶障害を負った。

「こんにちは、雲井雫と言います。」

 何度会ってもこの挨拶。
 同じ家に住んでても、顔を合わせる度に見知らぬ人間となった私に、初めましてと挨拶をしてくる。
 何年耐えた?
 二年?三年?
 皓月さんに別居すると伝えた。
 大学は休学扱いになっていたけど、退学した。学べる気にはならなかった。
 成長してくる仁彩は懐いてこなかった。
 月に一度しか会わないのだから当然だ。
 
 大分経ってから知ったが、皓月さんも仁彩と同じ歳の子供が出来ていた。
 よく政略結婚の女と子供を作れるなと思ったが、皓月さんが本当に愛しているのは雫なのだから、相手が誰だろうと一緒なのかもしれないと思った。

 雫と離婚したいと皓月さんに伝えると、駄目だと拒否された。
 例え一緒に住んでいなくても、お前達は夫夫だろうと説得された。
 何度会っても忘れられるのに、それでも夫夫なのだろうか?
 番になってみたらと勧めもされた。
 それは無理だろう。
 雫は何度会っても私とは初対面だ。初対面の男と番うなんてするわけがない。それこそ発情期に無理矢理でもしない限り、無理な話だ。


「…………そうか、番いか………!」



 突然顔を輝かせた私に、皓月さんがホッとした顔をした。なかなか上手くいかない弟夫夫が、漸く番になると思ったのだろう。
 すっかり自分がアルファだということを忘れていた。
 学生時代に毎朝飲んでいた抑制剤も、引きこもりの今は全く飲んでおらず、そんな常識も思いつかなかった。

 今度の発情期が待ち遠しい。

 




 それからずっと抑制剤を飲み続けた。
 いつ雫が発情期に入ってもいいように。
 ピアスの緊急抑制剤もちゃんと補充されているか確認する。
 皓月さんから連絡が入り、雫が発情期に入ったから来るようにと呼び出された。
 
「仁彩は私が見ておくから。」
 
 皓月さんに抱っこされた仁彩はよく懐いていた。
 
「久しぶりに仁彩に会ったから抱っこさせてよ。」

 雫が居る個室の前まで来て、仁彩を抱っこさせてくれと頼んだ。
 何の疑問もわかずに仁彩を渡してくれる。
 いつもどこか油断しないように気を張っている皓月さんが、珍しく緩んでいた。
 きっとずっと心配させていたのだろう。
 仁彩を抱っこしたまま部屋の扉を開けると、皓月さんの動きが止まった。
 そうだよね?好きなオメガの匂いがするもんね?
 思わず身体が引き寄せられるよね?
 ドンっと押すと、皓月さんは簡単に中に入り込んでしまった。
 急いで扉を閉める。
 家のセキュリティに侵入して、誰も開けれないようにロックした。

「識!?しき!!何をするんだっ!開けなさいっ!!」

「一週間篭れるようにしてあるんだよね?雫をよろしくね。」

 そう言って皓月さんと雫のピアスにアクセスし、緊急抑制剤の注入を停止させる。
 私のはさっきの雫のフェロモンで発情しかかった為、ちゃんと作動してくれた。
 よかった、よかった。

「駄目だっ!識!う゛っ……開け、なさいっ…………!………あ、ぁし、き……お願い、だっ!」

「アンタからお願いなんて初めてだ。だけどダメだよ。雫はどうやったって私のものにならない。アンタしかなれない。諦めたいんだ………。だから、手伝ってよ。」

 私を助けたのはアンタだ。
 だからちゃんと面倒見てくれないと。

「………………あ゛、はっ、あ……識……。」

 部屋は二重扉になっている。
 奥の扉を開いて入れば防音も完璧。
 暫くすると皓月さんが扉から遠ざかる音がして、重い扉が開き閉じる音が聞こえた。
 
 アンタが仮想空間に迎えに来た時は涙が出たのに、今は全く涙が出ないんだ。
 不思議なもんだね、人間って。

「さー、仁彩。ほぼ子育てした事ないんだけど、二人で一週間頑張ろうなぁ~。」






 一週間して、出てきた皓月さんに思いっきり殴られた。
 人から殴られるなんて初めてだった。
 二人は無事に番になってたのに、離婚はさせてくれなかった。
 皓月さんは滅多に雫に会いにこない。
 発情期の時だけやってきて、仁彩はベビーシッターに預けていた。
 私にその時だけでも仁彩と過ごさないかと言われたけど、辛くなるから嫌だと拒否すれば、諦めてくれた。

 数年は頑張って月一程度の面会もやったけど、段々心が萎んできた。
 番や、番になりたいと心から愛していた者がいなくなると、アルファでも精神的に病んでしまうのだと医師から説明された。
 
「皓月さん、疲れたから仮想空間で眠りたい。」

「…………………。」

 アンタの了解は得られなかったけど、勝手に入院して眠りについた。
 費用はきっと皓月さんが惜しげもなく払ってくれるだろう。
 このまま眠って、最後に静かに夢も見ることなく死ねたらいいな………。




 なんて現実は辛いのか。
 昔の仲間の心を知った気がした。











しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

さかなのみるゆめ

ruki
BL
発情期時の事故で子供を産むことが出来なくなったオメガの佐奈はその時のアルファの相手、智明と一緒に暮らすことになった。常に優しくて穏やかな智明のことを好きになってしまった佐奈は、その時初めて智明が自分を好きではないことに気づく。佐奈の身体を傷つけてしまった責任を取るために一緒にいる智明の優しさに佐奈はいつしか苦しみを覚えていく。

「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜

鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。 そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。 あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。 そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。 「お前がずっと、好きだ」 甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。 ※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。

《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

世界が僕に優しくなったなら、

熾ジット
BL
「僕に番なんていない。僕を愛してくれる人なんて――いないんだよ」 一方的な番解消により、体をおかしくしてしまったオメガである主人公・湖川遥(こがわはる)。 フェロモンが安定しない体なため、一人で引きこもる日々を送っていたが、ある日、見たことのない場所――どこかの森で目を覚ます。 森の中で男に捕まってしまった遥は、男の欲のはけ口になるものの、男に拾われ、衣食住を与えられる。目を覚ました場所が異世界であると知り、行き場がない遥は男と共に生活することになった。 出会いは最悪だったにも関わらず、一緒に暮らしていると、次第に彼への見方が変わっていき……。 クズ男×愛されたがりの異世界BLストーリー。 【この小説は小説家になろうにも投稿しています】

処理中です...