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第三章
カル島クエスト
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「これは随分小さな……近付けると袋が吸い込むのですね」
最近開発したビー玉サイズの魔法袋だ。これならいくら入れてもポケットに仕舞っておける。
「はい。重くもならなくて便利なんです」
「なるほど。失礼ですが、こちらはどこでお買い求めになられましたか?」
「私が作りました」
「え!」
店主が驚いたところで話しすぎたことに気が付く。
「では、連れを待たせているので。有難う御座いました」
「有難う御座います……またのお越しを……」
次の話題になる前にさっさと店を出る。外でおとなしく待っていたチョコが尻尾を振ってすり寄ってきた。
「ごめん。待たせちゃったね」
「ワン」
鳴き声がいつもと違って微笑ましくなる。いつものチョコが一番だが、変化したチョコもまた愛らしい。親ではないのに親になった気分だ。前世は子どもがいなかった。というか、結婚はおろか恋人もいなかった。実に寂しい、と言えばそうだが、そういうことにあまり興味がなかったという方が正しいかもしれない。
今だって同じだ。前世の疲れが癒されるまで、のんびりと過ごしたい。できれば、毎日大地に寝転んで空を眺めていたい。雲の形がソフトクリームに似ているだとか考えながら一日を終えたい。
ずいぶん贅沢な望みだと思う。人間は誰かの力を借りたり、働いたりして何かの一部にならなければならない時がある。その歯車から外れるのは並大抵のことではないのだ。
「それができているのも魔法のおかげ。開発は結構楽しいから、それだけは続けていこう」
このまま続けていくと、どこまで開発できるだろうか。今のところ不便だと思ったことを順に潰していっているので、それが無くなった時はどうしようか。
「ん? なんだろう」
王都の奥、王宮の方角がざわざわと騒がしくなった。まさかルッツだろうかと顔を向けると、王宮軍が数名歩いていた。甲冑は着ているものの物々しい雰囲気ではないので、パトロールの一種だろうか。
戦いの際王宮軍を見たが、あの時は人数が多すぎてどのような人物がいるのか全く分からなかった。隊長の顔すら覚えていない。そのため、今歩いている王宮軍の面々が重要人物なのか判断がつかず、なるべく距離を取ってこちらの姿は見えないようにした。
王宮軍たちが王都の入り口である門の方へ歩いていく。このまま王都を出るのだろうか。リルはその中にどことなく見覚えのある顔を見つけた。
「誰だっけ……まあいいや。関わりにはならないだろうし」
また戻ってきて巻き込まれたら大変なので、近くにあったギルドに入る。ここなら冒険者だらけなので長居しても目立たない。
受付には前回いた女性が立っていた。冒険者が何人かいてクエスト一覧を見ている。リルもそれらをぼーっと眺めた。幸い、ミリィはいなかった。
「あれ」
クエストの中に島にいる魔物の退治というものを発見した。島の形を見る限り、どうにもリルが別荘を作ったところに似ている。他の人の邪魔にならないよう、テーブルに地図を置き、島の部分だけ広げて見比べる。
──あそこカル島って言うんだ……クエストにもカル島って書いてある。知らない間にクエスト達成していたみたい。
すると、魔法袋に入れっぱなしだった石がクエスト達成の証拠になるだろうか。身分証明書も無い状態で不安だが、このクエストが掲載されたままだと冒険者があの島に入ってしまう。ついでにあの島に持ち主がいるのか確認するべく、リルは受付に向かった。
「すみません。このクエスト完了しているのですが、確認していただけますか?」
「はい、こちらを……お一人でですか?」
「はい。これが魔物から出てきた石です」
「これが……! あの、鑑定いたしますので、奥の部屋でお待ちいただけますでしょうか?」
最近開発したビー玉サイズの魔法袋だ。これならいくら入れてもポケットに仕舞っておける。
「はい。重くもならなくて便利なんです」
「なるほど。失礼ですが、こちらはどこでお買い求めになられましたか?」
「私が作りました」
「え!」
店主が驚いたところで話しすぎたことに気が付く。
「では、連れを待たせているので。有難う御座いました」
「有難う御座います……またのお越しを……」
次の話題になる前にさっさと店を出る。外でおとなしく待っていたチョコが尻尾を振ってすり寄ってきた。
「ごめん。待たせちゃったね」
「ワン」
鳴き声がいつもと違って微笑ましくなる。いつものチョコが一番だが、変化したチョコもまた愛らしい。親ではないのに親になった気分だ。前世は子どもがいなかった。というか、結婚はおろか恋人もいなかった。実に寂しい、と言えばそうだが、そういうことにあまり興味がなかったという方が正しいかもしれない。
今だって同じだ。前世の疲れが癒されるまで、のんびりと過ごしたい。できれば、毎日大地に寝転んで空を眺めていたい。雲の形がソフトクリームに似ているだとか考えながら一日を終えたい。
ずいぶん贅沢な望みだと思う。人間は誰かの力を借りたり、働いたりして何かの一部にならなければならない時がある。その歯車から外れるのは並大抵のことではないのだ。
「それができているのも魔法のおかげ。開発は結構楽しいから、それだけは続けていこう」
このまま続けていくと、どこまで開発できるだろうか。今のところ不便だと思ったことを順に潰していっているので、それが無くなった時はどうしようか。
「ん? なんだろう」
王都の奥、王宮の方角がざわざわと騒がしくなった。まさかルッツだろうかと顔を向けると、王宮軍が数名歩いていた。甲冑は着ているものの物々しい雰囲気ではないので、パトロールの一種だろうか。
戦いの際王宮軍を見たが、あの時は人数が多すぎてどのような人物がいるのか全く分からなかった。隊長の顔すら覚えていない。そのため、今歩いている王宮軍の面々が重要人物なのか判断がつかず、なるべく距離を取ってこちらの姿は見えないようにした。
王宮軍たちが王都の入り口である門の方へ歩いていく。このまま王都を出るのだろうか。リルはその中にどことなく見覚えのある顔を見つけた。
「誰だっけ……まあいいや。関わりにはならないだろうし」
また戻ってきて巻き込まれたら大変なので、近くにあったギルドに入る。ここなら冒険者だらけなので長居しても目立たない。
受付には前回いた女性が立っていた。冒険者が何人かいてクエスト一覧を見ている。リルもそれらをぼーっと眺めた。幸い、ミリィはいなかった。
「あれ」
クエストの中に島にいる魔物の退治というものを発見した。島の形を見る限り、どうにもリルが別荘を作ったところに似ている。他の人の邪魔にならないよう、テーブルに地図を置き、島の部分だけ広げて見比べる。
──あそこカル島って言うんだ……クエストにもカル島って書いてある。知らない間にクエスト達成していたみたい。
すると、魔法袋に入れっぱなしだった石がクエスト達成の証拠になるだろうか。身分証明書も無い状態で不安だが、このクエストが掲載されたままだと冒険者があの島に入ってしまう。ついでにあの島に持ち主がいるのか確認するべく、リルは受付に向かった。
「すみません。このクエスト完了しているのですが、確認していただけますか?」
「はい、こちらを……お一人でですか?」
「はい。これが魔物から出てきた石です」
「これが……! あの、鑑定いたしますので、奥の部屋でお待ちいただけますでしょうか?」
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