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第三章
替え玉作戦
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「リル……本当に大丈夫だろうか」
「大丈夫です。私が保証します」
三日後、リルは王宮を訪れていた。王宮と言っても今は離れにある建物の中にいる。ここでルッツとアミルの婚約者を見繕う会が催されていた。ちなみに、一週間後に申請の結果を聞きに行く予定だったが、ルッツの一声でカル島はリルの土地として認められた。なので、今は二人の手助けに集中している。
「ぷぷ……うふふ……」
ルッツとルッツの婚約者役を見つめるアミルがついに我慢ならず笑い始めた。
「アミル様。笑いごとでは御座いません」
ルッツの横にいる女性が絶望した表情で言った。アミルはそれを聞いて口元に手を当ててみるが、それでも肩が震えていた。婚約者役、先ほどまでロンズだった者は静かに虚空を見つめた。
そう、ルッツの婚約者役は現在ロンズが担っている。変化魔法をかけて女性に変化させ、ドレスも着てもらった。リルは自分以外にも変化魔法をかけることができるが、事情を知る者がロンズ以外にいなかったからだ。アミルの手により長い黒髪が綺麗に結われ、先ほどまで上背のある男性だったとはとても思えない。
リルはリルでアミルの婚約者役として男性の姿になっている。男魔法士に変化した時と同じ姿だが、格好が貴族の恰好なので前回とは全くの別人に見える。アミルがリルを手放しに褒めた。
「素敵ですわ、リルさん。どこからどう見ても高貴な生まれの方。まるで、元々貴族の方のようです」
「有難う御座います」
──本当に貴族の出だから気まずいなぁ。
こんなことでバレやしないが、少しだけひやひやする。まだ絶望しているロンズにルッツが説明を始めた。
「──という流れでお父様お母様に報告をする。以上だ」
適当な名前では信憑性がないので、第一皇子の婚約者の遠縁にしてもらうことになっている。そこまでしっかりする程次の婚約者を決めたくないらしい。
「あ、元婚約者の方をまだ想っていらっしゃるとか」
「それはない。一度しか会ったことがないから」
「一度……それはお互い大変な立場でしたね」
よく知りもしない相手を婚約者だと言われてはいそうですかと納得しなければならない世界を垣間見て、リルは背中が寒くなった。もしかしたら、自分もあの家にいたら今頃そういう相手がいたのかもしれない。
リルに興味の無さそうな父親だったから相手を決めなかったかもしれないが、どちらにせよあの家にリルの居場所は無かった。
「さて、ちゃっちゃと済ませましょう。帰って寝たいので」
「リルはいつも寝ているな。寝るのが趣味なのか?」
「そうです」
魔法士としては魔法の研究を一番に考えるべきなのかもしれないが、リルにとっては寝る方が重要だ。開発は二番目の趣味ということにしておく。
四人連れ立って歩く。途中、アミル付きのメイドだという女性が加わった。彼女はいちおう仮の婚約者だと知っているものの、相手が変化魔法を使っていることは知らない。
「アミル様は幼少期からの想い人がいらっしゃいますので、このたびはご協力いただき誠に感謝いたします」
メイドにそっと礼を言われる。幼少期からとは随分一途だとリルは感心した。
──色恋は興味持ったことないや。そもそも、人と会うことが少ないし。
今のところいずれ結婚するだろうとも思っていない。人の心は変わるので未来は分からないが、現状ではこの生活に満足しているのでおそらく変わらないだろう。
「大丈夫です。私が保証します」
三日後、リルは王宮を訪れていた。王宮と言っても今は離れにある建物の中にいる。ここでルッツとアミルの婚約者を見繕う会が催されていた。ちなみに、一週間後に申請の結果を聞きに行く予定だったが、ルッツの一声でカル島はリルの土地として認められた。なので、今は二人の手助けに集中している。
「ぷぷ……うふふ……」
ルッツとルッツの婚約者役を見つめるアミルがついに我慢ならず笑い始めた。
「アミル様。笑いごとでは御座いません」
ルッツの横にいる女性が絶望した表情で言った。アミルはそれを聞いて口元に手を当ててみるが、それでも肩が震えていた。婚約者役、先ほどまでロンズだった者は静かに虚空を見つめた。
そう、ルッツの婚約者役は現在ロンズが担っている。変化魔法をかけて女性に変化させ、ドレスも着てもらった。リルは自分以外にも変化魔法をかけることができるが、事情を知る者がロンズ以外にいなかったからだ。アミルの手により長い黒髪が綺麗に結われ、先ほどまで上背のある男性だったとはとても思えない。
リルはリルでアミルの婚約者役として男性の姿になっている。男魔法士に変化した時と同じ姿だが、格好が貴族の恰好なので前回とは全くの別人に見える。アミルがリルを手放しに褒めた。
「素敵ですわ、リルさん。どこからどう見ても高貴な生まれの方。まるで、元々貴族の方のようです」
「有難う御座います」
──本当に貴族の出だから気まずいなぁ。
こんなことでバレやしないが、少しだけひやひやする。まだ絶望しているロンズにルッツが説明を始めた。
「──という流れでお父様お母様に報告をする。以上だ」
適当な名前では信憑性がないので、第一皇子の婚約者の遠縁にしてもらうことになっている。そこまでしっかりする程次の婚約者を決めたくないらしい。
「あ、元婚約者の方をまだ想っていらっしゃるとか」
「それはない。一度しか会ったことがないから」
「一度……それはお互い大変な立場でしたね」
よく知りもしない相手を婚約者だと言われてはいそうですかと納得しなければならない世界を垣間見て、リルは背中が寒くなった。もしかしたら、自分もあの家にいたら今頃そういう相手がいたのかもしれない。
リルに興味の無さそうな父親だったから相手を決めなかったかもしれないが、どちらにせよあの家にリルの居場所は無かった。
「さて、ちゃっちゃと済ませましょう。帰って寝たいので」
「リルはいつも寝ているな。寝るのが趣味なのか?」
「そうです」
魔法士としては魔法の研究を一番に考えるべきなのかもしれないが、リルにとっては寝る方が重要だ。開発は二番目の趣味ということにしておく。
四人連れ立って歩く。途中、アミル付きのメイドだという女性が加わった。彼女はいちおう仮の婚約者だと知っているものの、相手が変化魔法を使っていることは知らない。
「アミル様は幼少期からの想い人がいらっしゃいますので、このたびはご協力いただき誠に感謝いたします」
メイドにそっと礼を言われる。幼少期からとは随分一途だとリルは感心した。
──色恋は興味持ったことないや。そもそも、人と会うことが少ないし。
今のところいずれ結婚するだろうとも思っていない。人の心は変わるので未来は分からないが、現状ではこの生活に満足しているのでおそらく変わらないだろう。
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