貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

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第四章

兄様感知器

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「もともとあの家にいてもいなくてもいい存在だったんだから、私のことはどこかに存在する空気だと思ってもらえればいいんだ」

 万が一リルが近くに住んでいることをよく思わない場合は、口止め料としてあちらが望むものを渡すことも考えている。金は貴族でかつ働いている彼にはいらないだろうから、万能薬あたりなら喜ぶかもしれない。もともと王宮軍の為に作っていたものだからちょうどいい言い訳ができた。

「どうやって近づこう。一人の時を狙わないといけないけど、副隊長だから部下がいることが多いかも」

 王宮外で話したいが、王都に出る時は仕事時が多いだろう。王宮にはルッツかアミルに頼めば入れるが、そうなると理由を説明しなければならなくなる。

「あれ、秘密裏に会うのって結構難しいね……?」

 これまで逃げ回っていたのに、反対に追いかけようとすると難しくなる。遭遇した二回とも三番隊の面々といたので、彼らと一緒にいない時が分からない。

「チョコ、どう思う」
「ギャオ」

 問われたチョコが後ろ足だけで立ち上がったかと思うと、前足をバタバタさせた。

「もしかして、無理やり捕まえる?」
「ギャオッ」
「そうかぁ、それも手だけど、もうちょっと優しくいってみようか」

 チョコが首を可愛らしく傾げる。リルはそれに癒されながら、布団をゴロゴロしてあれこれ考えた。

「でもまあ、無理やりはダメだけど、姿を隠して近づいて、一人になったところで話しかけるっていうのが無難かなぁ」

 王宮外ともなると手段が限られてしまう。長期戦も覚悟しておいた方がよさそうだ。

「変化魔法を使えばいいか。王都近くに私の目と連動した魔法具を設置して……」

 ここまで考えて、まるでスパイのようだと思った。万が一これがバレたら王宮から責められてもおかしくない。

「王都に魔法具はダメ、か……じゃあ、王都からちょっと離したところに設置しよう。カラット兄様の姿を記憶させて私の目の感度を限界まで高めておけば一キロ先でもいける」

 残念ながら写真が無いので、リルの髪の毛を一本取り、これに加えて男性という情報をインプットさせる。兄妹だから使える作戦だ。

「よろしくね」

 一センチ程の小さな魔法具を空に飛ばす。これなら木々に隠れていれば簡単に見つかることはない。

 せっかく旅をして各地を回ろうと思っていたが、一旦中断しなければならない。それも、今後の平穏な生活を守るためだ。

「カル島なら魔法陣で行き来できるから大丈夫。カラット兄様の件が落ち着くまではカル島を開拓しよう」

 別荘としてだいぶ心地良い環境は整ったものの、森のほとんどは手つかずだ。魔物との共生を目指すためにも、迷惑のかからない場所を確認していろいろ遊べるものを作りたい。

 その日は夜まで感知することはなかった。明日は朝からカル島でのんびりしつつ開拓する予定なので、早めに就寝した。
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