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第二百八十三話

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無理矢理にも陛下の自腹にする事に成功した俺であったが、なんだかんだ表彰だとか色々やらなければならない事は多かった。
事実上の後処理は全て俺が行った様なものだ。

安価なレシピの考案だったり、トロフィーの贈呈など…。

ここで一つだけ良かった事がある。
優勝した盾持ちのSランク冒険者のイーフィリアさんもニコニコしていらっしゃる。
序盤からずっと怖い顔をしていらっしゃったのでこちらが何か粗相をしたかと思っていたが…。

惨敗したはずの陛下はもう一切落ち込んでおらず、新たな英雄の誕生を我先に祝ってやろうと言う気概が見えるような立ち振る舞いをしている。
さっきまであんなにも苦しそうだったのに…。
まぁ、こういうお祭り…と言うかイベントであれば仕方ないと言えばそうなるのか。

「うぇっぷ…」

いや、この陛下を放っておいたら放送事故になりかねないのは誰もが思っている事だろう。
そっと医務室へと運んでもらう事にしよう。

…と思いキングを呼ぼうとしたらもう目の前に居るではないか。
なんて仕事の出来る家臣な事か。

「ていりゅ~さけをよこせぇ~」

「いや、飲みすぎなんですよ。 頭を冷やして下さい」

と言うのはキングと綺麗にハモった。

「おやおや、旦那様と爺めは同じ考えにございますな! はっはっは!」

「たまたまだから陛下を早く連れて行って…」

「む、確かにそうですな。 では、失礼します」

そう言って陛下を連れて行くキング。
ヴァンパイアキングだけあって軽々と陛下を抱きかかえている様に見える。

「そろそろ、旦那様からは見えませぬぞ」


「そうか。 君には迷惑ばかり賭けてしまっているね。 テイルの事となるとどうもいかんな…」

「彼は世界に…いえ、それどころか…全てに認められた方ですからな…。 あぁ、それと陛下は此度の大会の酒やツマミの飲食代はきっちりと払ってもらうとのことでしたぞ」

「て、テイルめ!!! 一国の王にそんな仕打ちをするなどっ!!!」

「ですが、それを真似た大会などで潤う領地を考えれば陛下の懐なぞ全く痛みませぬな? それ以上に旦那様に褒賞を授与しても良い程ではありませぬか??」

「む…確かにその方の言う通りである。 しかし、新興貴族であるからすぐには…」

「ほう? では、貴方は…成果を上げた臣下に相応の事をしないと。 公爵と同等以上の英雄爵であれば、大公殿と同じ扱いでも良いでしょう? …言いたい事は分かりますかな?」

「独立…であるな?」

大きくキングは頷く。

「であれば、なおの事…早めに招集をかけ、貴族達を説得すると誓おう」

「そのお言葉で十分です。 して、この大会の決勝に出た酒のつまみ。 まだ余っているのですが…」

「買った!!! 余の今夜の酒の肴じゃ! 無論ポケットマネーから出す。 それに、領民にも振るまおうではないか!!!」

俺が知らない間に陛下の株が地味に上がっていたのはいけ好かない事案である。

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