センパイ番外編 

ジャム

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アキタ x イズミサワ

夢で会えたら③

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サイト250万ヒット記念に書いたSS 第3弾 です。
※夢オチですが、男同士の妊娠ネタが出てきます。嫌悪感のない方のみお楽しみ下さい。
『夢で会えたら①、②』は『DEAD OR~』にアップしてあります。
興味のある方、良かったら覗いてやって下さい。


では、ちょっと未来のアキイズのお話です。
どうぞ。







ケイタの様子がおかしい。

話掛けても、どこかぼんやりしていて、元々やる気のない不機嫌そうな顔をしてる方だけど、それがいつにも増して気怠け。


何か悩んでる。

それも、かなり大事な事で、しかも、オレ絡みっぽい。

いや、ぶっちゃけ、オレとの事で、だろう。

高校の時から今まで、オレ達の間にこんな事起きた事なかった。

オレが求めたら、ケイタは150%応えてくれる。

倦怠期なんて、一度もない。

会えない時期も、会いたくて無理して、怒られて、それでも愛しくて、どうしようもなくて、時々無茶をした。

事が済めば、いつだって、最後には溶合うようなキスと抱擁で、朝まできつく抱き合って眠る。

お互いに、密着する体温に、ホッとするからだ。


傍から見たら、熟睡する子猫同士が相手の体の上に乗っかり合い、べちゃっと潰れているような感じかも知れない。

それが。
もぞり、と、寝返りを打たれて、気づいた。

ケイタがオレに背中を向けて寝ている。

体は離れてはいないし、ちゃんと腕の中にケイタはいる。

けれど、背中を向けれられて、何か違和感を感じた。

いや、寝返りくらい打つ。
普通の事だ。


きっと今まで、自分が気づかなかっただけーーー



そう、思おうとした。

でなきゃ、オレは自分を保てない。

ケイタの気持ちがオレから離れてる・・なんて、考えたくない。考えられない。そんなのは、有り得ないからだ。

それでも、胸がキシキシと痛む。

心臓を細い天蚕糸に巻かれ、じわじわと締められる。

心臓が脈打つ度に、その天蚕糸が交差する場所がキシキシと鳴る。

その痛みすら、ケイタに与えられていると思うと、自分の全てはケイタなのだ、と認めざるを得ない。

全てが、ケイタに繋がっている。

それは、もし、ケイタから『嫌い』だと、『別れたい』と言われたとしても、きっと変わらない。

オレはケイタだけが全てで、そんなケイタの我が侭さえ、オレは酷く傷つきながらも笑うだろう。


『だから、何?オレに、「別れたくない」ってケイタが言いたくなるくらい、ヤって欲しいって意味か?』


でも、それは仕方が無い。
オレは、もう二度と手放せない物を、手に入れてしまったのだから。







そんな、ある日。

ミチル(長兄)からの電話に、オレは声を失う。

『ケイタ君、妊娠してるぞ』

一瞬で、頭の中はパニックになり、絶句していると、ミチルが『おい、聞いてるか?おい?セイジ?セイジ?』と耳元で繰り返した。

「ごめん・・よく聞こえなかった。もう一回言っ」

『妊娠してるって言ってんだろ。ケイタ君がお前の子、妊娠してる。ケイタ君のお腹に、お前の子がいるんだよ。どうだ?聞こえたか?もう一回言うか?』

電話の向こうで笑うミチルの声に、体がブルブルと震え出した。

『おい、セイジ?』

長兄の呼び掛けにも答えず、通話を切って、車のキーを取ると、寝起きのそのまんまの格好で家を飛び出した。



この時の感情を一言でいい表すとしたら、『歓喜』。


『熱情』、『喜悦』、『高揚』、『狂喜』ーーー

いや、一言でなんて言い表せない。


ケイタはオレのものだ・・!



この瞬間、あの命は永遠に自分のものだと、オレは、神にすら認めさせたのだ。





「ケイタ!!」

都内のマンション、ケイタの部屋に飛び込むと、ケイタはソファーの上で寝ていたのか、肘をついて起き上がろうとしているところだった。

ドカドカとリビングの中を大股で歩いて、ケイタがいるソファーの前に跪き、その体を無茶苦茶に抱き締め、キスをして、あぐらをかいた自分の膝の上にケイタの体をゆっくりと座らせる。

「ケイタ・・ケイタ・・ッ」

「ちょ、セージ・・!問答無用すぎ・・っ」

「お前が悪い。あー!チクショ!!なんでミチルの方が先に・・!ケイタ!妊娠してる事、ミチルに言って、オレに言わねえってどういう事だよ!?」

「ええ・・なんでそれ!っていうか、ミチルさんから聞いたの!?オレ、・・言ってないけど・・誰にも言ってない。いつかは、セージには言わなきゃとは思ってたけど・・」

「は!?」

「いや、ほんと、言ってない。こっそり医者には通ってるけど・・」

そう言って、ケイタがテーブルの横に置いてあった鞄に手を伸ばし、中から母子手帳を取り出して見せた。

そのなんとも言えない適当なウサギの絵の表紙を目の前に差し出され、顔が強ばる。

「だから・・だったんだな」

なんとなく体を離されて寝たり、どこかぼんやりしていたり、バックでHするのを嫌がったり・・。

避けられている訳では無かったのだ。お腹の赤ちゃんのために、ケイタは気をつけていたのだ。


「なんで言わねえんだよ・・」
「なんでかな・・もしもって考えたら、恐くなって・・」

「もしも?」
「・・・もしも・・・子どもなんかいらないって言われたら、イヤだなって」

「ケイタの子ども、・・オレが、堕ろせって言うと思うか?」
「思わない・・けど、オレは産む気だったから・・。もし、ダメって言われても産む。産みたい。セージの赤ちゃん抱っこしたい・・セージ大好き、大好きだ」


そう言って、ケイタの目から涙がポロっと零れ落ちた。

慌てて、それを手の甲で拭うケイタ。

その体をやさしく抱き締め、ケイタの胸に顔を埋めると、ケイタがオレの頭を腕の中に抱き締めた。





それから半年後、ケイタは無事に男子を出産。

真夜中に陣痛が始まったケイタを車に乗せ、そのままオレも一緒に付き添った。が、一旦陣痛が収まってしまい、小休止。

自販機へ買い物へ行こうと廊下に出ると、ヤクザ丸出しのダークスーツに身を包んだミチルとシロウが当たり前のようにそこに居て、飛び上がった。


「な、なんで居るんだよ!?」

「そりゃ、ケイタ君の事なら、なんでもわかるさ。お前の大切な恋人だ。彼とお前の成り行きを見守るのは、長兄であるオレの使命だろ?」


溜め息しか出ない。


「いつ産まれるか、わかんないぜ?」

「知ってる。産まれるまで、待つさ」

そう笑うミチルの顔に攣られて、なんとなく口元が弛んだ。


「忙しいくせに・・」
「こんな時くらいサボらせてやれ」

ミチルのすぐ隣で壁に背を預け、腕組みするシロウに頷く。

「じゃ、コーヒー買ってくる」
「早く戻ってやれよ?」
「うん」

世間からははみ出してしまった兄貴達だが、こんな時はいつにも増して、心強かった。


一度は切った絆だった。

それでも、大事な時は、何も言わなくても傍に居てくれる。

ケイタ、案外オレ達って、孤独なようでいて、そうじゃない。

そう思ったら、親友の声を聞きたくなった。

あいつがケイタの妊娠を知ったら、何て言うだろう。

きっと、対抗心剥き出しにして、モリヤに今まで以上に挑むんだろうな・・。

それを少し可哀想と思いながら・・携帯を片手に、ニヤリとしてしまう。

どうせなら。
モリヤも産んじゃえばいいんだよな。

「もしもし、綿貫?・・






「もしもし・・」
と、自分の口が本当に動いているのに気づいた。

目を開けると、膝を枕に提供してくれているケイタが笑っている。

「おっきい寝言」
「え・・?なんか言ってたオレ?・・」

「言ってた、ヤバい。なんか夢、見てた?」
「・・見てた。すげえいい夢。ケイタが妊娠する夢・・」

「ええ・・!?オレ!?」
「そう。だから、もうちょっと寝る。ケイタの赤ちゃん抱いてくる・・」
そうして、オレは再び眠りに落ちていった。








困った事になった。

ケイタがエロい。

出産後のケイタが、異常にエロい。

素肌にパーカーを身に付け、前のジッパーを3分の一だけ上げた内側に、カンガルーよろしく、赤ん坊を抱えている。

その赤ん坊に、なんとなく乳首を吸わせているのが、とんでもなくエロいのだ。

出る筈のないミルクを求め、赤ん坊がハフハフと小さな口でケイタの乳首を咥える。

それを見つめるケイタの顔が、どことなく恥ずかしそうでエロいし、乳首を咥えられた瞬間の、『あ』と力が抜けたような顔が凄絶にエロい。

もちろん、ミルクが出ないなんて知らない赤ん坊は一生懸命にケイタの乳首を吸い、結局ミルクが出ない事に赤ん坊が諦めて、そこから口を離すと、真っ赤に充血して唾液に濡れたケイタの乳首が露わになって、それも相当にエロい。

本当に、とにもかくにも、エロいのだ。

オレは背中からケイタを抱き、そのぷっつりと腫れた乳首に手を伸ばし、指先で下からそっと撫でたら、ケイタが真っ赤になってオレを振り返った。

「ンッ・・もう、吸われたばっかだと、ヒリヒリして痛いって言って・・っ」
「オレも、舐めたい。こいつばっかズルイ。だいたい、なんで吸わせるんだよ?」

「赤ちゃんって・・乳首が・・おっぱいが好きなんだよ・・。オレにはおっぱい出無いけどさ・・おしゃぶりと一緒で、口の中でチュパチュパするものがあると安心するんだって・・だから、時々、吸わせてあげないと・・って」
「それ、オレもなんだけど・・」

真顔で申告すると、ケイタが頬を染めて、ウッと唸った。

「よ、夜、してるじゃん・・」
「夜とか昼とか関係ない。オレだってケイタの乳首無いと落ち着けない。だから、オレにも吸わせて。半分こでいいから」

「は、半分って・・!」
「オレ、こっちね」

そう言いつつ、赤ん坊が咥えていた乳首を指の腹で揉みながら、体勢を入れ替え、ケイタの前へ回ると、腕に赤ん坊を抱いたままのケイタの胸に吸付いた。


「セージ・・っ・・!」
「ん・・、なんか・・前より弾力ある・・?もしかして・・ミルク、出そう・・?」


「出ないよっ出るワケないじゃん・・っ」
「そっか残念・・。でも、なんかいい匂いする・・ケイタから甘い匂いが出てる・・」


甘く、鋭く、ケイタの胸の突起を吸い上げ、嘗め回し、時に強く揉みしだいた。


「もっもう、やめろって・・セージ!」
「ケイタ・・そんな感じまくってたら・・これ、赤ちゃんにしゃぶらせられないだろ」


ピンと、今口のなかで舐っていたモノを、指先で弾くとケイタが「ヒャンッ」と背筋を奮わせた。
「ヤラシイ・・ケイタ、エロい。こんなとこ、赤ん坊に吸わせてんだ・・」


意地悪くケイタの耳元に囁くと、ケイタが「吸わせてないっ」と、涙目で訴える。


「こっちの乳首の方が右より・・感じちゃうから、吸わせてない・・っ」


顔を真っ赤にして唇を噛むケイタに、衝動的に煽られ、オレは左の乳首にしゃぶりついていた。


「や・・やだって・・っセージ!あ、ア、ア、・・セ・・ジ・・ッ」


敏感になっているのは、出産のせいもあるのかも知れない。
出産した事により、何かしらのホルモンの作用によって、ケイタの体は自然と母親の形を作ろうとしているようだった。

吸われれば、ミルクが出ないまでも、反応が大きくなる。

受ける刺激が強ければ強い程、セイジの舌使いに比例するように乳首が硬くなった。


「もう・・!セージ・・っ」


ケイタが怒るのも無理はない。

左だけでは飽き足らず、ついに右の乳首にも舌を這わせて、自分のモノにしてしまったのだから。


「すげ・・エロい・・。乳首、真っ赤・・ほら、こんなに大っきくなった・・かわい・・ケイタ、すげえ可愛い・・」

「もう~~っセージのバカ・・!」


そう詰られても止められない。そのまま、自分の唾液塗れの乳首を指先で摘んで、圧して、引っ張って、更に舐める。


「こいつには・・おしゃぶり買ってやるから・・な?」

ケイタの腕から赤ん坊を抱き上げ、ベビーバスケットの中へ寝かせる。

「悪いが、少しの間ママを返して貰うぞ」

赤ん坊の額にチュッとキスをして、すぐにケイタの体を組み敷いた。

胸への愛撫が効いたのか、待ち受けていたように後ろの花弁が蕩けていた。


「セイジ・・もう、吸わないで・・」

「ムリ」


まだ体調が本調子でないケイタを労り、浅く軽く挿入を繰り返し、その間、過敏になった乳首をしゃぶりまくる。

すぐにケイタは逐上し、白くねっとりとした蜜を自分の腹の上へ吐き出した。

「ケイタ・・今、乳首で、イッタろ?」

そう口の端を歪めたら、ケイタは真っ赤になって首を横に振る。

「チガウッチガウッイッテない・・・!」

必死に弁解すればする程、それが正解だと示してしまう事に気づかず、ケイタは目を潤ませた。


そうか。ケイタは乳首でイケるようになったんだな・・・。



そう納得した途端、パチン!と顔の上で音がした。

目を開けると、ケイタが真っ赤な顔で睨んでいる。

「誰が乳首でイケるって?」
「え・・あれ?ケイタ・・乳首は?なんで、服着て・・あれ?」

「どんなエロい夢見てんだよ・・サイアク」
そう目を眇めたケイタの胸、小さくシャツを押し返している突起に、オレは服の上から齧りついた。

「痛ッ痛い!痛いってば・・!」
「絶対、乳首でイカしてやる・・」

「セージ・・もう、起き抜けに、何やって・・バカ・・!」

ケイタの手に頭を撫でられ、夢中で、ケイタの乳首を舐めてたのをストップする。


少しだけ芯の通ったケイタの右の乳首。
ああ、こっちはアイツに譲ってやるんだっけ・・。

今見た夢を思い出して、少し泣きたくなる。

しあわせな夢だ。

オレ達の間に子どもが出来るなんて、すごく幸せな夢だった。



それをケイタに話そうかと口を開き掛けて、止めた。

子どもが欲しい訳じゃないんだ。ケイタの子どもだったから欲しかっただけで、普通の男女の夫婦のような幸せを欲してる訳じゃない。


「ケイタ、愛してるよ・・」


目を瞑ったら、なんとなく輪郭のぼやけた赤ん坊の顔が目の裏に映った。


「愛してるよ・・」


もう一度呟いて、オレはケイタとキスをした。
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