39 / 89
33.伯爵家の侍女①
しおりを挟む
私は没落した男爵家の人間だった。
男爵家は魔力のある家系で、お祖父さんの代で魔力のあるものが生まれなくなり、それまでは魔道具を作り販売していたが、それも出来なくなり爵位を返上した。
今まで魔力に頼って生きてきた者が、他の商売も出来ず、領地も無かった。爵位に執着もなかったので、一族は皆平民となった。
その生き残りが私とお母さんだった。
私とお母さんは、貧しい生活でも二人で支え合い幸せに生活していた。
10歳の魔力判定の日、お母さんは、
「キイラ、魔力はあれば助かるけど、男爵家からもう誰ひとり生まれなくなってしまったし、期待してはだめよ。魔力が無くてもあなたが健康でいてくれたら私は幸せだから」
そう言って私を抱き締めて、二人で神殿に入った。
結果は、魔力の核はあるようだが、神官長様の神力を流しても目覚めない。このような子はたまにいる。結局魔力は無いという判定になった。
「お母さん、ごめんね。私が聖人様になったら、お母さんに美味しいものたくさん食べさせてあげたかったのに」
「私の愛するキイラ、あなたはなんて優しいの。お母さんはその言葉だけで嬉しくてお腹いっぱいよ!」
お母さんは私の燃えるような赤毛を愛おしそうに撫でてくれた。そのあと二人で手を繋いで帰った。
このままお母さんと楽しく生きていければ良いんだ。貧しくてもお母さんがいてくれれば幸せだわ!
私たちは小さな家の横に畑を作り、そこで育った野菜を売って生活していた。自分たちが食べる分と、余ったら売ってお金にして、生活費にしていた。
ある朝起きるとお母さんがいなかった。
前の晩に雨が降ると、畑の土が流されてたりするので、お母さんは早起きして見に行っていることがあったから、今朝もそうだと思っていた。
でも、私が顔を洗っても、着替えをしてもお母さんが戻って来ない。
雨の被害が酷かったのかと心配になり、私も畑に走った。
畑にお母さんが見当たらない。さらに森に近い方まで行くと、お母さんが倒れていた。
「お母さん!お母さん!どうしたのっ!?」
見るとお母さんの服が赤黒く変色している。
「…キイラ、来てはダメ、逃げて…」
お母さんが死んじゃう、泣きながらそばに行こうと走ると、森の中から唸り声が聞こえた。
魔物だった。
お母さんは持っていたクワで魔物に対抗したようで、魔物も弱っているようだった。
今なら隣のおじさんを呼べば間に合うかもしれない。お母さん待ってて!絶対に助けるから!
ゆっくり振り返り、隣のおじさんの家まで泣きながら走った。
お母さんお母さんお母さんっ!死んじゃいや、私をひとりにしないで!
おじさんと他の村人にも助けてもらい、街の大きな病院に運んでもらった。
病院の先生は、今は何とか魔物にやられた傷を塞いだけど、傷が深くてこれは聖人様じゃないと治せない、聖人様のお力をお貸し戴けるか王宮に連絡するからね、と言ってくれた。
お母さんの顔は真っ白だったけど、手はまだ温かい。お母さんお願い死なないで!
それから、2日後お母さんは女神様のもとへ帰った。聖人様は来てくれなかった。
先生は3回連絡したが返事が無かったと言った。
どうして?どうして?どうして来てくれなかったの!?平民だから助けてくれないの!?
冷たくなっていくお母さんの横で呆然としていた。
すると、他の病室から、
「信じられない…治ってる!ありがとうございます、聖人ユリアナ様!娘の命の恩人です!」
と、喜び叫ぶ声が聞こえた。
「ユリアナ様、ありがと!」
幼い女の子の元気な声も。
なんで…?どうして?どうしてその子は助けて、私のお母さんは助けてくれなかったの…?
あと半日、いや数時間早く来てくれていたら、お母さんはこんなに冷たくならなくて済んだのに、どうして……
連絡したと先生は言っていた。
瀕死の状態だったのに、それなのに、今頃呑気にやって来て、ほかの病人は治していった。
許せない…!
私たちが、私とお母さんが何をしたって言うの?貧しくても幸せに生きていたのに、それ以上は望まなかったのに、なんで、なんで私からお母さんを奪ったの!
それから、どうしたかわからない。
気が付いたら、お母さんは共同墓地に埋葬され、私は家に帰っていた。
これから一人で生きていかないとならない。お母さんと一緒に寝ていたベッドに、倒れるように横になった。お母さんの優しい匂いがした。
私は声を張り上げて泣いた。
いつまで泣いていたのか、もうこのまま私も女神様のもとへ連れていって…と泣き続けた。
それから何日経ったのかわからない。
目の前に女の人が二人いた。支援院から来たと言っていた。
私のように、魔物で家族を失った人を助けるところだから一緒に行きましょう、と言われた。
お母さんとの思い出の家から出たくなかったが、拒否する体力も無かった。
それからは支援院で生活しながら、頼まれた仕事をして体と心の回復を目指した。
徐々に回復し、元気になればなるほどあの時の事を思い出す。
聖人ユリアナ、私のお母さんを見殺しにした女。あんなのは聖人なんかじゃない、自分勝手で傲慢な悪魔よ!
いつか、いつか思い知らせてやる!私からお母さんを奪った苦しみを味合わせてやる。
その時は想像以上に早くきた。
「お前か?母親が魔物で死んだっていうのは」
胡散臭い貴族が支援院に来て、私に会いたいと言った。支援院の面談室でそのおじさんと二人で話しをした。
「お前の母親は聖人が治療すれば助かったのではないか?なぜ聖人に頼まなかった?」
「…病院の先生が頼んでくれたけど、来てくれませんでした」
「なんだって!?なんて酷いことを!頼んだのに来ないなんて、お前が平民だからか?」
そのおじさんの言い方にわざとらしさを感じたが、私は今まで聖人を恨んでいることを誰にも話せずにいたので、知らないおじさんだけど話しを聞いてくれるならと、その時のことを話した。
「酷いことを!なんて傲慢なんだ!自分の力を気分で使っているのだ。お前の母親も聖人の気が向けば助けてもらえたのだろう、残念だったな…辛かったろう。そんなのは聖人なんかじゃない!悪魔だ!」
話し始めてから、私の目から涙が溢れ止まらなかった。おじさんは私の思いを理解してくれた。
「私の家は伯爵家だ。お前には見込みがある。私のひとり娘の侍女を探していたんだ。お前のような、聖人に家族を見殺しにされたものを、我が家では優遇している。我が家に来て私と娘に仕えてくれないか?」
この人は伯爵様だった。そんな爵位の高い人が私みたいな平民と同じテーブルで話しをするなんて、普通ならあり得ない。
伯爵様は、私の気持ちも理解してくれて、かわいそうな私を雇ってくれると言う。
私は伯爵様のお屋敷で雇ってもらうことになった。支援院の人たちが、伯爵家の侍女なんてすごいわ!と喜んで送り出してくれた。
伯爵家のお嬢様は、私が生きてきた中で一番可愛かった。ふわふわの金色の髪に空色の瞳、桃色の唇。
初めてお会いした日に言われた。
「ねえキイラ、私にうるさい事を言ったらすぐクビよ!勉強とかマナーとか言ったら許さないから!私の言うことを絶対に守って。約束よ」
私は私で、聖人に復讐するという目的がある。お嬢様に構っている暇はないので、
「かしこまりました、お嬢様。お嬢様のために働きます」
と、無駄に反感を持たれないよう返事をした。
男爵家は魔力のある家系で、お祖父さんの代で魔力のあるものが生まれなくなり、それまでは魔道具を作り販売していたが、それも出来なくなり爵位を返上した。
今まで魔力に頼って生きてきた者が、他の商売も出来ず、領地も無かった。爵位に執着もなかったので、一族は皆平民となった。
その生き残りが私とお母さんだった。
私とお母さんは、貧しい生活でも二人で支え合い幸せに生活していた。
10歳の魔力判定の日、お母さんは、
「キイラ、魔力はあれば助かるけど、男爵家からもう誰ひとり生まれなくなってしまったし、期待してはだめよ。魔力が無くてもあなたが健康でいてくれたら私は幸せだから」
そう言って私を抱き締めて、二人で神殿に入った。
結果は、魔力の核はあるようだが、神官長様の神力を流しても目覚めない。このような子はたまにいる。結局魔力は無いという判定になった。
「お母さん、ごめんね。私が聖人様になったら、お母さんに美味しいものたくさん食べさせてあげたかったのに」
「私の愛するキイラ、あなたはなんて優しいの。お母さんはその言葉だけで嬉しくてお腹いっぱいよ!」
お母さんは私の燃えるような赤毛を愛おしそうに撫でてくれた。そのあと二人で手を繋いで帰った。
このままお母さんと楽しく生きていければ良いんだ。貧しくてもお母さんがいてくれれば幸せだわ!
私たちは小さな家の横に畑を作り、そこで育った野菜を売って生活していた。自分たちが食べる分と、余ったら売ってお金にして、生活費にしていた。
ある朝起きるとお母さんがいなかった。
前の晩に雨が降ると、畑の土が流されてたりするので、お母さんは早起きして見に行っていることがあったから、今朝もそうだと思っていた。
でも、私が顔を洗っても、着替えをしてもお母さんが戻って来ない。
雨の被害が酷かったのかと心配になり、私も畑に走った。
畑にお母さんが見当たらない。さらに森に近い方まで行くと、お母さんが倒れていた。
「お母さん!お母さん!どうしたのっ!?」
見るとお母さんの服が赤黒く変色している。
「…キイラ、来てはダメ、逃げて…」
お母さんが死んじゃう、泣きながらそばに行こうと走ると、森の中から唸り声が聞こえた。
魔物だった。
お母さんは持っていたクワで魔物に対抗したようで、魔物も弱っているようだった。
今なら隣のおじさんを呼べば間に合うかもしれない。お母さん待ってて!絶対に助けるから!
ゆっくり振り返り、隣のおじさんの家まで泣きながら走った。
お母さんお母さんお母さんっ!死んじゃいや、私をひとりにしないで!
おじさんと他の村人にも助けてもらい、街の大きな病院に運んでもらった。
病院の先生は、今は何とか魔物にやられた傷を塞いだけど、傷が深くてこれは聖人様じゃないと治せない、聖人様のお力をお貸し戴けるか王宮に連絡するからね、と言ってくれた。
お母さんの顔は真っ白だったけど、手はまだ温かい。お母さんお願い死なないで!
それから、2日後お母さんは女神様のもとへ帰った。聖人様は来てくれなかった。
先生は3回連絡したが返事が無かったと言った。
どうして?どうして?どうして来てくれなかったの!?平民だから助けてくれないの!?
冷たくなっていくお母さんの横で呆然としていた。
すると、他の病室から、
「信じられない…治ってる!ありがとうございます、聖人ユリアナ様!娘の命の恩人です!」
と、喜び叫ぶ声が聞こえた。
「ユリアナ様、ありがと!」
幼い女の子の元気な声も。
なんで…?どうして?どうしてその子は助けて、私のお母さんは助けてくれなかったの…?
あと半日、いや数時間早く来てくれていたら、お母さんはこんなに冷たくならなくて済んだのに、どうして……
連絡したと先生は言っていた。
瀕死の状態だったのに、それなのに、今頃呑気にやって来て、ほかの病人は治していった。
許せない…!
私たちが、私とお母さんが何をしたって言うの?貧しくても幸せに生きていたのに、それ以上は望まなかったのに、なんで、なんで私からお母さんを奪ったの!
それから、どうしたかわからない。
気が付いたら、お母さんは共同墓地に埋葬され、私は家に帰っていた。
これから一人で生きていかないとならない。お母さんと一緒に寝ていたベッドに、倒れるように横になった。お母さんの優しい匂いがした。
私は声を張り上げて泣いた。
いつまで泣いていたのか、もうこのまま私も女神様のもとへ連れていって…と泣き続けた。
それから何日経ったのかわからない。
目の前に女の人が二人いた。支援院から来たと言っていた。
私のように、魔物で家族を失った人を助けるところだから一緒に行きましょう、と言われた。
お母さんとの思い出の家から出たくなかったが、拒否する体力も無かった。
それからは支援院で生活しながら、頼まれた仕事をして体と心の回復を目指した。
徐々に回復し、元気になればなるほどあの時の事を思い出す。
聖人ユリアナ、私のお母さんを見殺しにした女。あんなのは聖人なんかじゃない、自分勝手で傲慢な悪魔よ!
いつか、いつか思い知らせてやる!私からお母さんを奪った苦しみを味合わせてやる。
その時は想像以上に早くきた。
「お前か?母親が魔物で死んだっていうのは」
胡散臭い貴族が支援院に来て、私に会いたいと言った。支援院の面談室でそのおじさんと二人で話しをした。
「お前の母親は聖人が治療すれば助かったのではないか?なぜ聖人に頼まなかった?」
「…病院の先生が頼んでくれたけど、来てくれませんでした」
「なんだって!?なんて酷いことを!頼んだのに来ないなんて、お前が平民だからか?」
そのおじさんの言い方にわざとらしさを感じたが、私は今まで聖人を恨んでいることを誰にも話せずにいたので、知らないおじさんだけど話しを聞いてくれるならと、その時のことを話した。
「酷いことを!なんて傲慢なんだ!自分の力を気分で使っているのだ。お前の母親も聖人の気が向けば助けてもらえたのだろう、残念だったな…辛かったろう。そんなのは聖人なんかじゃない!悪魔だ!」
話し始めてから、私の目から涙が溢れ止まらなかった。おじさんは私の思いを理解してくれた。
「私の家は伯爵家だ。お前には見込みがある。私のひとり娘の侍女を探していたんだ。お前のような、聖人に家族を見殺しにされたものを、我が家では優遇している。我が家に来て私と娘に仕えてくれないか?」
この人は伯爵様だった。そんな爵位の高い人が私みたいな平民と同じテーブルで話しをするなんて、普通ならあり得ない。
伯爵様は、私の気持ちも理解してくれて、かわいそうな私を雇ってくれると言う。
私は伯爵様のお屋敷で雇ってもらうことになった。支援院の人たちが、伯爵家の侍女なんてすごいわ!と喜んで送り出してくれた。
伯爵家のお嬢様は、私が生きてきた中で一番可愛かった。ふわふわの金色の髪に空色の瞳、桃色の唇。
初めてお会いした日に言われた。
「ねえキイラ、私にうるさい事を言ったらすぐクビよ!勉強とかマナーとか言ったら許さないから!私の言うことを絶対に守って。約束よ」
私は私で、聖人に復讐するという目的がある。お嬢様に構っている暇はないので、
「かしこまりました、お嬢様。お嬢様のために働きます」
と、無駄に反感を持たれないよう返事をした。
114
あなたにおすすめの小説
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
婚約破棄された公爵令嬢ですが、戻らなかっただけです
鷹 綾
恋愛
王太子カイル殿下から、社交界の場で婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リュシエンヌ。
理由は――
「王太子妃には華が必要だから」。
新たに選ばれたのは、愛らしく無邪気な義妹セシリア。
誰もが思った。
傷ついた令嬢は泣き、縋り、やがて戻るのだと。
けれどリュシエンヌは、ただ一言だけ告げる。
「戻りません」
彼女は怒らない。
争わない。
復讐もしない。
ただ――王家を支えるのをやめただけ。
流通は滞り、商会は様子を見始め、焦った王太子は失点を重ねる。
さらに義妹の軽率な一言が決定打となり、王太子妃候補の座は静かに消えた。
強いざまあとは、叫ぶことではない。
自らの選択で、自らの立場を削らせること。
そして彼女は最後まで戻らない。
支えない。
奪わない。
――選ばれなかったのではない。
彼女が、選ばなかったのだ。
これは、沈黙で勝つ公爵令嬢の物語。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。
山田 バルス
恋愛
結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。
また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。
大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。
かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。
国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。
スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。
ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。
後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。
翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。
価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
【完結】最愛から2番目の恋
Mimi
恋愛
カリスレキアの第2王女ガートルードは、相手有責で婚約を破棄した。
彼女は醜女として有名であったが、それを厭う婚約者のクロスティア王国第1王子ユーシスに男娼を送り込まれて、ハニートラップを仕掛けられたのだった。
以前から婚約者の気持ちを知っていたガートルードが傷付く事は無かったが、周囲は彼女に気を遣う。
そんな折り、中央大陸で唯一の獣人の国、アストリッツァ国から婚姻の打診が届く。
王太子クラシオンとの、婚約ではなく一気に婚姻とは……
彼には最愛の番が居るのだが、その女性の身分が低いために正妃には出来ないらしい。
その事情から、醜女のガートルードをお飾りの妃にするつもりだと激怒する両親や兄姉を諌めて、クラシオンとの婚姻を決めたガートルードだった……
※ 『きみは、俺のただひとり~神様からのギフト』の番外編となります
ヒロインは本編では名前も出ない『カリスレキアの王女』と呼ばれるだけの設定のみで、本人は登場しておりません
ですが、本編終了後の話ですので、そちらの登場人物達の顔出しネタバレが有ります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる