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46.断罪②
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「ユリアナを貴族牢へ」
リチャード様が、私の腕を掴んでいる騎士へ告げた。
するとシャルルアンが、
「え?貴族牢ですか?リチャードさまぁ、私怖いです!貴族牢だとユリアナ様が…その…また…お金で!そう!お金を使って周りの人を騙して、牢から出てきそうで!」
リチャード様の腕にしがみつき、グスグスと泣き出す。
「そうか、今まで怖い思いをしてきたから、それは不安だね。大丈夫だよシャルル、もう二度と君の心を苦しめることは無いよ。
ユリアナを地下牢へ入れる」
私の腕を掴んでいるカイル様の手がピクッと動く。
「殿下、その…国王陛下が不在の今、そのような判断は…」
「…君はどの立場で口を開いているのかな。ユリアナは、これから聖人となるシャルルの命を脅かした大罪人だよ。
被害を受けたシャルルの気持ちを最優先にするのは当たり前だ。騎士として役目が果たせないのなら辞めていいよ。君の家族も困るだろうね」
私の腕を掴んでいるカイル様の手に僅かに力がこもる。
「……申し訳ありません。…地下牢へ収監します」
シャルルアンの、ユリアナが怖いと言う一言で、平民の重罪人と同じ牢に入れられることが決まった。
また引きずられるようにこの場を離れる。
応接室の扉が閉まる前に聞こえた。
「リチャードさまぁー、私ホッとしたらお腹が空いちゃいました!いつものように一緒に美味しいお菓子が食べたいです!」
もう立っていることも、一歩足を踏み出すことも出来ないくらい体が辛くて、なぜこんなことになっているのか考える気力も無かった。
「どうして…」
と、小さくかすれた声と同時に、涙がポタポタと流れ出た。
カイル様が歩けない私を横抱きに抱えて歩きだした。
他の第二の騎士は、ユリアナが地下牢に入る事が決定したため、カイル様を咎めること無くニヤニヤしながら着いてくるだけだった。
「おいヒューリー、その女を牢に入れたらジミール団長のとこに行けよ、お前も牢かもな!ハハハッ」
騎士達は笑いながらどこかへ行った。
カイル様はその言葉を無視して、薄暗い悪臭の漂う地下牢に入った。
「ユリアナ様…、俺のせいで申し訳ありません…」
カイル様は涙声になっていた。
「カイル様、私のためにありがとうございました」
その瞬間、牢の中でガシャンガシャンと鎖が当たっている音が響いた。
「…お嬢、さま…」
「っ!…ジュリ?ジュリなの!?」
カイル様が音の鳴った牢に向きを変えると、奥の一際暗い牢に、右手右足を鎖で繋がれたジュリがいた。
「ジュリ、ジュリ…!」
ジュリは凡そ人とは思えない状態だった。
右手を繋いでいる鎖は壁に固定され、手を肩から下に下ろすことは出来ない短さで、足の鎖は見たこともない太さだった。
黒く輝いていた髪は、一部が固まって石のように見えた。
首には何かが取り付けられており、その周りの皮膚は引っ掻き傷があり、ただれているようだった。
伸ばした左腕は、手首から先が無かった。
「ジュリ!ジュリ…!」
カイル様が、ジュリの牢の前で抱えていた私を下ろしてくれた。
牢の鉄格子の間から手を伸ばし、ジュリも手の無い左腕を伸ばした。
「ジュリ、ジュリごめんなさい、私はもうあなたを治せない…」
ジュリの黄金色の瞳に、一瞬力が宿ったように美しく輝いた。
それは、いつもユリアナが見ていた、幸せだった頃のジュリの優しい瞳だった。
伸ばした手がジュリの痛々しい左腕に触れようとした時、
「ねえ、何してるのぉ?」
後ろで甲高い声がした。
「ねえ、そこの騎士の人、何でこの女を早く牢屋に入れないのー?
アンタもリチャード様に言って牢屋にいれてもらうからねぇ! ……?
え?…カイル・ヒューリー?ふーん、そういうことね。アンタも死罪ね」
シャルルアンがいた。
後ろに第二の騎士を引き連れ、口にハンカチを当てている。
「ねー、この中にいるの何?人なの?何これ怖い!本当に人なの?やだぁ臭いー」
ジュリがシャルルアンに向かって動いた。鎖がガシャンガシャンと激しく鳴った。
「キャッ、やだー!怖い何これっ!こんなの早く始末してよっ!」
シャルルアンの後ろにいた第二の騎士達が、
「了解しました!聖人シャルルアン様のご指示に従い、すぐさま処分致します!」
その指示を待っていたとばかりに、騎士達は鍵番の看守騎士を呼びに行った。
「ジュリ…」
私がジュリにまた手を伸ばすと、後ろから髪を引っ張られ引きずられた。
「なぁーに、この女!悲劇の乙女にでもなったつもり?早くこの女も牢屋に入れてよー!もう!アンタたちも使えないわねっ!聖人になった私は王様と同じなんだからね!」
私が引きずられると、ジュリが激しく動いた。
「ぐうあぁぁーっっ!!」
鎖の繋がれた壁が壊れそうなほど叫びながら暴れるジュリを、遠巻きに見るしかできない騎士が、
「早く立てっ!早くしろ、このノロマ!」
と、ユリアナを無理矢理立たせ、ユリアナが入る牢屋に引きずり、蹴り入れた。
「……ジュリ!私は大丈夫だからっ!もう暴れないで、お願い……」
ジュリは私が乱暴に扱われたことで、更に暴れた。
「か、鍵番はまだか!?急ぐように言え!」
見張っている騎士が声を荒げる。
「もうぉ、何これー、うるさいし臭いし最悪ぅ。でも、今日は私の人生最高の日よー!大大大っ嫌いなアンタが牢屋に入ったからー!もう最高!私、アンタのこと死ねばいいって、ずっと思ってたのよねぇ」
そう言うと、なぜユリアナを激しく嫌い、貶める言動をしてきたかを話し出した。
幼い頃から、私を褒める言葉を聞き続けイライラしていたこと、リチャードとお茶会での運命の出会いをしたこと、魔力判定の日のこと。
「私のものを奪ったんだから、その罰よ!でももう全部返してもらったから!リチャードさまもぉ、聖人の地位も力もぉ、本当は私のものだったんだから、罰は受けなさいよね!
あっ、そうそう!どうやってアンタからその力を返してもらったか、教えてあげる!アンタの誕生日の日よ!私の侍女が、闇魔術を使えるのよー!スゴイでしょ!?
それじゃあ、さようならぁー。その暗い臭いとこでお幸せにぃ、ふふふ」
何を言っているのか、何一つ意味がわからなかった。
私が奪った?リチャード様を?聖人の力を?それに闇魔術って…まさか、あの時だったのね…!
私に死んで欲しいとまで思うあの憎しみは何なの?関わったことすらないのに…!
「やめろ!それ以上はもういいだろう!」
カイル様の叫ぶ声が聞こえた。
「どけよヒューリー、聖人様の命令なんだよ。こいつを処分しろとな!」
「おい!こいつを縛ってジミール団長のとこに連れていけ!」
「やめろ!こんなことをして心が痛まないのか!お前らのやってることはならず者と同じだ!騎士じゃない!恥を───」
ガシャンガシャンとジュリアンの鎖の音が響いた。
そのあと、カイル様の声が聞こえなくなった。
「こいつを──反逆罪で──ということにしとけ」
ガシャンガシャンと鎖の音が鳴り、ジュリアンが暴れているのか、カイル様の声も聞こえず、騎士が何を言っているのかわからない。
ジュリ、お願い暴れないで!あなたが痛め付けられるのは嫌よ…
「おい、俺たちの仲間を容赦なく殺りやがって!こいつを押さえろ!」
ガシャンガシャンガシャン、ガシャン…………
鎖の音が鳴らなくなった。
「こんな奴、もっと早く殺っておけば良かったものを、刺されても声ひとつあげないとはな、本当に不気味な奴だったぜ」
「ジュリ…?ジュリ?………ジュリアン!ジュリアン!」
鉄格子にしがみつき、出せるだけの声を張り上げた。
「ジュリ!ジュリ!お願い返事して……」
ガンッ!と私が掴んでいる鉄格子を誰かが蹴った。
「うるせーよ!お前のとこの気持ち悪い犬はたった今永遠に大人しくなったぜ、あははっ!せいせいした!」
騎士が私の目の前で笑っていた、血の付いた剣を持って。
ここに人間の心を持つものはいない。
だったらジュリはもういない。
リチャード様が、私の腕を掴んでいる騎士へ告げた。
するとシャルルアンが、
「え?貴族牢ですか?リチャードさまぁ、私怖いです!貴族牢だとユリアナ様が…その…また…お金で!そう!お金を使って周りの人を騙して、牢から出てきそうで!」
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「そうか、今まで怖い思いをしてきたから、それは不安だね。大丈夫だよシャルル、もう二度と君の心を苦しめることは無いよ。
ユリアナを地下牢へ入れる」
私の腕を掴んでいるカイル様の手がピクッと動く。
「殿下、その…国王陛下が不在の今、そのような判断は…」
「…君はどの立場で口を開いているのかな。ユリアナは、これから聖人となるシャルルの命を脅かした大罪人だよ。
被害を受けたシャルルの気持ちを最優先にするのは当たり前だ。騎士として役目が果たせないのなら辞めていいよ。君の家族も困るだろうね」
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「……申し訳ありません。…地下牢へ収監します」
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また引きずられるようにこの場を離れる。
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「リチャードさまぁー、私ホッとしたらお腹が空いちゃいました!いつものように一緒に美味しいお菓子が食べたいです!」
もう立っていることも、一歩足を踏み出すことも出来ないくらい体が辛くて、なぜこんなことになっているのか考える気力も無かった。
「どうして…」
と、小さくかすれた声と同時に、涙がポタポタと流れ出た。
カイル様が歩けない私を横抱きに抱えて歩きだした。
他の第二の騎士は、ユリアナが地下牢に入る事が決定したため、カイル様を咎めること無くニヤニヤしながら着いてくるだけだった。
「おいヒューリー、その女を牢に入れたらジミール団長のとこに行けよ、お前も牢かもな!ハハハッ」
騎士達は笑いながらどこかへ行った。
カイル様はその言葉を無視して、薄暗い悪臭の漂う地下牢に入った。
「ユリアナ様…、俺のせいで申し訳ありません…」
カイル様は涙声になっていた。
「カイル様、私のためにありがとうございました」
その瞬間、牢の中でガシャンガシャンと鎖が当たっている音が響いた。
「…お嬢、さま…」
「っ!…ジュリ?ジュリなの!?」
カイル様が音の鳴った牢に向きを変えると、奥の一際暗い牢に、右手右足を鎖で繋がれたジュリがいた。
「ジュリ、ジュリ…!」
ジュリは凡そ人とは思えない状態だった。
右手を繋いでいる鎖は壁に固定され、手を肩から下に下ろすことは出来ない短さで、足の鎖は見たこともない太さだった。
黒く輝いていた髪は、一部が固まって石のように見えた。
首には何かが取り付けられており、その周りの皮膚は引っ掻き傷があり、ただれているようだった。
伸ばした左腕は、手首から先が無かった。
「ジュリ!ジュリ…!」
カイル様が、ジュリの牢の前で抱えていた私を下ろしてくれた。
牢の鉄格子の間から手を伸ばし、ジュリも手の無い左腕を伸ばした。
「ジュリ、ジュリごめんなさい、私はもうあなたを治せない…」
ジュリの黄金色の瞳に、一瞬力が宿ったように美しく輝いた。
それは、いつもユリアナが見ていた、幸せだった頃のジュリの優しい瞳だった。
伸ばした手がジュリの痛々しい左腕に触れようとした時、
「ねえ、何してるのぉ?」
後ろで甲高い声がした。
「ねえ、そこの騎士の人、何でこの女を早く牢屋に入れないのー?
アンタもリチャード様に言って牢屋にいれてもらうからねぇ! ……?
え?…カイル・ヒューリー?ふーん、そういうことね。アンタも死罪ね」
シャルルアンがいた。
後ろに第二の騎士を引き連れ、口にハンカチを当てている。
「ねー、この中にいるの何?人なの?何これ怖い!本当に人なの?やだぁ臭いー」
ジュリがシャルルアンに向かって動いた。鎖がガシャンガシャンと激しく鳴った。
「キャッ、やだー!怖い何これっ!こんなの早く始末してよっ!」
シャルルアンの後ろにいた第二の騎士達が、
「了解しました!聖人シャルルアン様のご指示に従い、すぐさま処分致します!」
その指示を待っていたとばかりに、騎士達は鍵番の看守騎士を呼びに行った。
「ジュリ…」
私がジュリにまた手を伸ばすと、後ろから髪を引っ張られ引きずられた。
「なぁーに、この女!悲劇の乙女にでもなったつもり?早くこの女も牢屋に入れてよー!もう!アンタたちも使えないわねっ!聖人になった私は王様と同じなんだからね!」
私が引きずられると、ジュリが激しく動いた。
「ぐうあぁぁーっっ!!」
鎖の繋がれた壁が壊れそうなほど叫びながら暴れるジュリを、遠巻きに見るしかできない騎士が、
「早く立てっ!早くしろ、このノロマ!」
と、ユリアナを無理矢理立たせ、ユリアナが入る牢屋に引きずり、蹴り入れた。
「……ジュリ!私は大丈夫だからっ!もう暴れないで、お願い……」
ジュリは私が乱暴に扱われたことで、更に暴れた。
「か、鍵番はまだか!?急ぐように言え!」
見張っている騎士が声を荒げる。
「もうぉ、何これー、うるさいし臭いし最悪ぅ。でも、今日は私の人生最高の日よー!大大大っ嫌いなアンタが牢屋に入ったからー!もう最高!私、アンタのこと死ねばいいって、ずっと思ってたのよねぇ」
そう言うと、なぜユリアナを激しく嫌い、貶める言動をしてきたかを話し出した。
幼い頃から、私を褒める言葉を聞き続けイライラしていたこと、リチャードとお茶会での運命の出会いをしたこと、魔力判定の日のこと。
「私のものを奪ったんだから、その罰よ!でももう全部返してもらったから!リチャードさまもぉ、聖人の地位も力もぉ、本当は私のものだったんだから、罰は受けなさいよね!
あっ、そうそう!どうやってアンタからその力を返してもらったか、教えてあげる!アンタの誕生日の日よ!私の侍女が、闇魔術を使えるのよー!スゴイでしょ!?
それじゃあ、さようならぁー。その暗い臭いとこでお幸せにぃ、ふふふ」
何を言っているのか、何一つ意味がわからなかった。
私が奪った?リチャード様を?聖人の力を?それに闇魔術って…まさか、あの時だったのね…!
私に死んで欲しいとまで思うあの憎しみは何なの?関わったことすらないのに…!
「やめろ!それ以上はもういいだろう!」
カイル様の叫ぶ声が聞こえた。
「どけよヒューリー、聖人様の命令なんだよ。こいつを処分しろとな!」
「おい!こいつを縛ってジミール団長のとこに連れていけ!」
「やめろ!こんなことをして心が痛まないのか!お前らのやってることはならず者と同じだ!騎士じゃない!恥を───」
ガシャンガシャンとジュリアンの鎖の音が響いた。
そのあと、カイル様の声が聞こえなくなった。
「こいつを──反逆罪で──ということにしとけ」
ガシャンガシャンと鎖の音が鳴り、ジュリアンが暴れているのか、カイル様の声も聞こえず、騎士が何を言っているのかわからない。
ジュリ、お願い暴れないで!あなたが痛め付けられるのは嫌よ…
「おい、俺たちの仲間を容赦なく殺りやがって!こいつを押さえろ!」
ガシャンガシャンガシャン、ガシャン…………
鎖の音が鳴らなくなった。
「こんな奴、もっと早く殺っておけば良かったものを、刺されても声ひとつあげないとはな、本当に不気味な奴だったぜ」
「ジュリ…?ジュリ?………ジュリアン!ジュリアン!」
鉄格子にしがみつき、出せるだけの声を張り上げた。
「ジュリ!ジュリ!お願い返事して……」
ガンッ!と私が掴んでいる鉄格子を誰かが蹴った。
「うるせーよ!お前のとこの気持ち悪い犬はたった今永遠に大人しくなったぜ、あははっ!せいせいした!」
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