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56.ジュリアンのために
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ジュリはすぐに回復した。
お医者様は、感情を表さないジュリの精神面が一番心配だと仰っていたが、私が診察時に同席した時のジュリの瞳を見て、それがジュリの通常運転だとわかると、もう回復しているだろうと言った。
「お嬢様…俺を助けてくれてありがとうございました」
「ジュリ…私は私のせいで、あなたを辛い目に合わせたわ。あなたに償いがしたいの。何か欲しいものや、して欲しいことはある?お給金は増やすとお父様が言っていたけど」
ジュリは黄金色の瞳を輝かせると、
「給金はあまり興味はありませんが、俺をずっとお嬢様のそばにおいてください、ずっとです。それが俺の望みです」
こんな酷い目に遭っても、私の護衛を希望してくれるなんて、お父様に忠誠を誓ったから、その役割を全うするつもりなのね。
なんだか申し訳ないわ…
「ジュリ、あなたの本当の願いがそれなら何も言わないけど、気が変わったらいつでも言ってね?私はあなたに幸せになって欲しいのよ?」
ジュリは私を真っ直ぐに見つめると、柔らかく微笑んだ。
「お嬢様、あと一つお願いがあります。……手を、…お嬢様の手を…」
ん?私の手…?
「私の手がどうしたの?」
私が右手を出すと、ジュリはその私の手をそっと掴み、自分の左頬に当て、その上から自分の手も重ね、目を閉じた。
ジュリ?まだしっかり回復してないのね、疲れたんだわ。
私は私の左手もジュリの頬に当てた。両手でジュリの頬を包み、回復魔法をゆっくり流した。
すると、突然ジュリが苦しみ出した。胸のあたりを押さえ、唸っている。
「うぅっ!」
「ジュリ!?大変、お医者様を…」
お医者様を呼びに出ていこうとする私の腕を、ジュリが掴んだ。
「…お嬢様…そばに…俺のそばに…」
「ジュリ?でもっ!お医者様を!」
ジュリの両腕を掴んで、なんとか説得しようとすると、ジュリがゆっくり顔を上げた。
そして私と目が合うと、ニヤッと笑った。
「……!ジュリ?…もうっ!心配させて!」
私はジュリをバシバシと叩いた。こんな時にふざけて!心臓が止まりそうだった。
ジュリはアハハハ!と笑うと、バシバシと叩く私の腕を掴んで、ゆっくりと私を抱き締めた。優しく、それでも私が逃げられない強さで。
「お嬢様、俺をずっとそばにおいてください。俺はお嬢様を守るために生きています」
耳元で囁くように、切ない低い声で話すジュリに、胸がドクンと跳ねた。
「ジュリ、あなたを辛い目に遭わせないと誓うわ」
ジュリは腕に力を入れ、私をギュッと更に強く抱き締めた。そしてしばらくそうしたあと、私の前に跪き、
「お嬢様に忠誠を誓います。俺の生涯をかけて貴女をそばで守ります」
と言って、私の手を取り、自分の額にあて、その後微かに触れる程度に私の手の甲に唇を付けた。
ジュリの私を見上げている瞳がとても優しくて、何故か泣きそうになった。
「ジュリ、ありがとう」
ジュリは立ち上がるとまた私をギュッと抱き締めた。そして、私の頭に口づけをした。
それが終わると今度は私を横抱きにしてソファーに座り、ギュウギュウと抱き締め、鼻歌でも歌いそうなほどご機嫌だった。
…気が付いたけど、なんだかさっきから好き勝手してるわね…まあ、良いけど。
それからジュリは私の専属護衛となり、私がバスルームに行く以外は、常にピッタリと私のそばにいた。
聖人ユリアナは狼に護衛されている、ユリアナを害することは不可能だと知れ渡った。
ジュリが侯爵邸に戻って10日程経った時、お兄様が第一騎士団団長ジョーデンについての情報を得たと、私の部屋に来た。
しかし、その前にと、
「ユリアナ、婚約式のあとからお前は人が変わったように、何というか…強くなったね?俺にジョーデンのことを探らせたり…。お兄様に何か話すことは無いのかい?」
普段私を溺愛しているお兄様が、初めて私に怪訝な表情を向けている。
いつかはお兄様に話そうと思っていたのだ、これは良いタイミングだった。
「お兄様、私がこれから話すことを信じて欲しいのです」
私は前回起きた悪夢のような出来事をすべてお兄様に話した。
そして、あの婚約式の前日に死に戻ったのだと。
「なんてことだ…!リチャードのやつ、殺してやる!ゴルドー伯爵家も潰してやる…!」
お兄様が今にも私兵を引き連れて出兵しそうになるのを何とか止めた。
「でもお兄様、まだリチャードとは何も起きていません。シャルルアンにも何もされてはいないので、こちらから何かすることはできないでしょ?
それに関しては、今後もし同じように私を陥れるようなら、お兄様にもまた力を借りたいのです。
ですが、ジュリの件は、すでにジュリに傷を負わせています。私は首謀者であるジョーデンと陛下を許さない。
まずはコイツらを先に片付けます」
「う、うん、ユリアナ、本当に強くなったね?片付けるとは、そっちの片付けるということ?違うよね…?」
「いやですわ、お兄様。では、ジョーデンはジュリに対して、嫉妬のような感情を持っているんですね?」
「ああ、自分がこの時代の最強の騎士でいたい。そんな時にジュリアンのスキルが見付かり、尚且つ剣の腕前も強い。ジュリアンに対して妬みと恐怖心から、悪意を持ってあのような仕打ちをしたんだ。
ルイ師団長が自白魔法で聞き出したから、間違いないよ。聞き出した時のジョーデンの記憶を消してるから、心配ないって言ってた」
許せない。
自分の立場や地位を維持したいがために、ジュリをあんな目に遭わせた。亡き者にしても構わないと。
そのせいで、前回のジュリは獣以下の扱いで、残酷な最後だった。
今回は早目に救出できたけど、それにしたって酷すぎる。人間のすることではない。
「お兄様、まずはジョーデンを一番痛い目に遭わせる方法がありますわね、近く」
お兄様は少し考えると、ニッコリと笑って、
「そうだね、ユリアナ。我が侯爵家から最強の兵士を出そう。王家主催の剣術大会に」
やられた本人がやり返す方が良いね!と言って笑った。
お医者様は、感情を表さないジュリの精神面が一番心配だと仰っていたが、私が診察時に同席した時のジュリの瞳を見て、それがジュリの通常運転だとわかると、もう回復しているだろうと言った。
「お嬢様…俺を助けてくれてありがとうございました」
「ジュリ…私は私のせいで、あなたを辛い目に合わせたわ。あなたに償いがしたいの。何か欲しいものや、して欲しいことはある?お給金は増やすとお父様が言っていたけど」
ジュリは黄金色の瞳を輝かせると、
「給金はあまり興味はありませんが、俺をずっとお嬢様のそばにおいてください、ずっとです。それが俺の望みです」
こんな酷い目に遭っても、私の護衛を希望してくれるなんて、お父様に忠誠を誓ったから、その役割を全うするつもりなのね。
なんだか申し訳ないわ…
「ジュリ、あなたの本当の願いがそれなら何も言わないけど、気が変わったらいつでも言ってね?私はあなたに幸せになって欲しいのよ?」
ジュリは私を真っ直ぐに見つめると、柔らかく微笑んだ。
「お嬢様、あと一つお願いがあります。……手を、…お嬢様の手を…」
ん?私の手…?
「私の手がどうしたの?」
私が右手を出すと、ジュリはその私の手をそっと掴み、自分の左頬に当て、その上から自分の手も重ね、目を閉じた。
ジュリ?まだしっかり回復してないのね、疲れたんだわ。
私は私の左手もジュリの頬に当てた。両手でジュリの頬を包み、回復魔法をゆっくり流した。
すると、突然ジュリが苦しみ出した。胸のあたりを押さえ、唸っている。
「うぅっ!」
「ジュリ!?大変、お医者様を…」
お医者様を呼びに出ていこうとする私の腕を、ジュリが掴んだ。
「…お嬢様…そばに…俺のそばに…」
「ジュリ?でもっ!お医者様を!」
ジュリの両腕を掴んで、なんとか説得しようとすると、ジュリがゆっくり顔を上げた。
そして私と目が合うと、ニヤッと笑った。
「……!ジュリ?…もうっ!心配させて!」
私はジュリをバシバシと叩いた。こんな時にふざけて!心臓が止まりそうだった。
ジュリはアハハハ!と笑うと、バシバシと叩く私の腕を掴んで、ゆっくりと私を抱き締めた。優しく、それでも私が逃げられない強さで。
「お嬢様、俺をずっとそばにおいてください。俺はお嬢様を守るために生きています」
耳元で囁くように、切ない低い声で話すジュリに、胸がドクンと跳ねた。
「ジュリ、あなたを辛い目に遭わせないと誓うわ」
ジュリは腕に力を入れ、私をギュッと更に強く抱き締めた。そしてしばらくそうしたあと、私の前に跪き、
「お嬢様に忠誠を誓います。俺の生涯をかけて貴女をそばで守ります」
と言って、私の手を取り、自分の額にあて、その後微かに触れる程度に私の手の甲に唇を付けた。
ジュリの私を見上げている瞳がとても優しくて、何故か泣きそうになった。
「ジュリ、ありがとう」
ジュリは立ち上がるとまた私をギュッと抱き締めた。そして、私の頭に口づけをした。
それが終わると今度は私を横抱きにしてソファーに座り、ギュウギュウと抱き締め、鼻歌でも歌いそうなほどご機嫌だった。
…気が付いたけど、なんだかさっきから好き勝手してるわね…まあ、良いけど。
それからジュリは私の専属護衛となり、私がバスルームに行く以外は、常にピッタリと私のそばにいた。
聖人ユリアナは狼に護衛されている、ユリアナを害することは不可能だと知れ渡った。
ジュリが侯爵邸に戻って10日程経った時、お兄様が第一騎士団団長ジョーデンについての情報を得たと、私の部屋に来た。
しかし、その前にと、
「ユリアナ、婚約式のあとからお前は人が変わったように、何というか…強くなったね?俺にジョーデンのことを探らせたり…。お兄様に何か話すことは無いのかい?」
普段私を溺愛しているお兄様が、初めて私に怪訝な表情を向けている。
いつかはお兄様に話そうと思っていたのだ、これは良いタイミングだった。
「お兄様、私がこれから話すことを信じて欲しいのです」
私は前回起きた悪夢のような出来事をすべてお兄様に話した。
そして、あの婚約式の前日に死に戻ったのだと。
「なんてことだ…!リチャードのやつ、殺してやる!ゴルドー伯爵家も潰してやる…!」
お兄様が今にも私兵を引き連れて出兵しそうになるのを何とか止めた。
「でもお兄様、まだリチャードとは何も起きていません。シャルルアンにも何もされてはいないので、こちらから何かすることはできないでしょ?
それに関しては、今後もし同じように私を陥れるようなら、お兄様にもまた力を借りたいのです。
ですが、ジュリの件は、すでにジュリに傷を負わせています。私は首謀者であるジョーデンと陛下を許さない。
まずはコイツらを先に片付けます」
「う、うん、ユリアナ、本当に強くなったね?片付けるとは、そっちの片付けるということ?違うよね…?」
「いやですわ、お兄様。では、ジョーデンはジュリに対して、嫉妬のような感情を持っているんですね?」
「ああ、自分がこの時代の最強の騎士でいたい。そんな時にジュリアンのスキルが見付かり、尚且つ剣の腕前も強い。ジュリアンに対して妬みと恐怖心から、悪意を持ってあのような仕打ちをしたんだ。
ルイ師団長が自白魔法で聞き出したから、間違いないよ。聞き出した時のジョーデンの記憶を消してるから、心配ないって言ってた」
許せない。
自分の立場や地位を維持したいがために、ジュリをあんな目に遭わせた。亡き者にしても構わないと。
そのせいで、前回のジュリは獣以下の扱いで、残酷な最後だった。
今回は早目に救出できたけど、それにしたって酷すぎる。人間のすることではない。
「お兄様、まずはジョーデンを一番痛い目に遭わせる方法がありますわね、近く」
お兄様は少し考えると、ニッコリと笑って、
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