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74.やり直す人生
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私は、キイラが絶望の中で処刑されることを想像すると、心が苦しくなった。
キイラは処刑を望んでいた。
最初から、この闇魔術を使うことになった時から、母親の元に逝こうと決めていたから。
「聖人ユリアナ様… 私は、許されないことをしました…死んで償いたいと思っています… 」
すっかりやつれてしまったその表情は、ただ絶望だけではなかった。
「キイラ、貴女の言う通り、貴女のしたことはとても重い処罰を受ける罪よ。でもね、そうせざる負えなかった貴女の事情に、その処罰はあまりにも重すぎる。大好きなお母様のそばにいきたいと思う気持ちはよくわかるわ」
私は前回処刑された時、また私の大好きな家族の元に生まれたいと思った。それが叶わないのは、家族がそばにいないことは、とても辛いことだということもよくわかる。
でもそれは…
「でもねキイラ、貴女のお母様は貴女を守るために、魔物に対したのでしょう?貴女の命を守るために。
そのお母様が守った大切な命を、失わずに済むのなら、貴女はその命を大切にしないとならないわ」
「…!でも私は、私は、お母さんの元にいきたいです… 私のたった一人の家族で、大好きなお母さんが居ないなら、生きていたくない…です」
「そう… それなら、貴女のお母さんを助けることが出来なかった私は?私も処罰を受けないとならないわ」
「それは違います!それは、伯爵様が、あの伯爵が書類を処分したからです!聖人ユリアナ様は悪くありません…」
「それなら、貴女もそうでしょ?ゴルドーは、貴女がゴルドーに加担するように、貴女の誤解を、あの男の都合の良いように利用した。
純粋な少女の気持ちを誘導して。
でもその誤解を作ったのは、あの男よ?その証拠に、貴女はすぐにレオンハルト殿下と私の解術をした。貴女は悪くない」
キイラは、お母さんごめんなさい、お母さんごめんなさいと何度も言いながら泣いた。
私はキイラに癒しの力と、回復魔法を流した。
キイラは泣き疲れて眠ってしまった。
少しゆっくりと眠った方が良いわ、あの顔はまったく眠れていない顔だもの。
それから、キイラが自死しないか心配だったため、ルイ師団長に見守りをお任せして、侯爵家から侍女とメイドをキイラに付けた。
それから1週間後、ルイ師団長から連絡があり、キイラが目覚めると、聖人ユリアナ様のお役に立ちたいと言っていると、お母さんに物凄く叱られた夢を見た、まだお母さんの元へは逝けない、また叱られるからと言い、微かに笑ったそうだ。
それからキイラは、少しずつ体調を回復させ、精神的にも落ち着いてきたため、ルイ師団長から、今後のことについて説明を受けた。
「私は平民で、勉強は少ししかしてないので、皆さんにご迷惑をお掛けするかもしれませんが、やってみます、やりたいです…!」
キイラは、名前をナナカと変えた。
キイラの大好きだったお祖母様の名前だそうだ。
そして、ルイ師団長の魔法で燃えるような赤髪を黒くした。瞳はもともと茶色だったため、一般的な色だからと変更しなかった。
「私じゃないみたいだけど、でも生まれ変わった気持ちで頑張ります」
キイラ改めナナカは、元は素直で真面目な子なのだろう。
私の家庭教師だった先生を派遣し指導してもらったが、飲み込みも早く、言われた通りきちんと復習もして、とても優秀だと言っていた。
ナナカが生きる選択をしてくれて良かったと思った。
そして、ルイ師団長には、魔法について指導を受けた。
ルイ師団長は、ジュリアンに比べたら本当に穏やかに指導できるから助かってるよ!と言い、ジュリが無になっていた。
それからナナカは、想像以上の成果を見せた。
2年間毎日勉強し、貴族学院高等部のカリキュラムを終え、その間にルイ師団長の魔法訓練もこなした。
私の侯爵家でナナカの後見人となり、ナナカにまつわるすべてを支援した。
それでもやはり住む場所は王宮でとなり、魔法訓練が終わるまで王宮に住み続けた。
そして更にその2年後、ナナカは私の侯爵家の養子となった。
「ナナカ!待っていたわ!貴女の部屋の準備も完璧よ?」
「ユリアナ様、今日からよろしくお願いします!」
「ええ、短い間だけど、ゆっくり式の準備をしていきましょう!」
ナナカはあれから、ルイ師団長の作った魔術を発動し、国のために数々の功績を立てた。
そして、なんとルイ師団長にプロポーズされ、来年に婚姻式を行うことになったのだ。
最初は分不相応だと言ってプロポーズを断っていたが、ルイ師団長の好みが黒髪の女性だと聞き、なぜ相談もされず赤髪から黒髪になったのか、その理由がその時にわかった。
ルイ·エンバリーは、現代では凡そ使うことのできない闇魔術を、いとも簡単に発動させた女性に興味があった。
どのような魔力で、どのくらいの魔力量なのか。
彼女の、闇魔術を使わないとならなかった事情を知ると、同情するような気持ちで彼女を見ていた。
間違いなく、処刑だろう。
しかし、あの難解な闇魔術を発動させたのだ。その魔力を鑑定したい。
そして、もしかしたら、私が長年研究している魔術を発動できるかも知れない。
聖人ユリアナが、闇魔術を掛けられた本人であるにもかかわらず、キイラの処刑に難色を示した。
同情できる彼女の背景に、処刑は重すぎる罰だと。
確かにキイラは、あのゴルドーの奸計に嵌められ、躊躇いなく闇魔術を使ったが、私は正直、彼女の魔力が知りたかった。
処刑するのは簡単だ。しかし、後世に残す研究対象としては貴重な人物だった。
それから彼女は、処刑を免れ、別の人物として生を受けた。
名前を変え、あの特徴的な赤髪の色を変えた。
私にその依頼がきたので、なんとなく黒髪に変更した。よく似合っていた。
それから彼女は、人が努力すると得られる結果の大きさを、身を持って示した。
貴族としてのマナーや教養を習得しながら、学院の高等部のカリキュラムを終わらせた。
私との魔法訓練も、必死に慎重に取り組み、とても真面目で素直な性格だとわかると、生徒以上の感情が湧いてきた。
「はい!ルイ先生」と言い、必死に私の指導に付いてこようとする姿に、いよいよ愛おしさまで湧いてきた。
恐らくこうなる運命だったのだろう。
この魔力を持つ彼女との付き合いは、師弟関係として一生続く。
罪を免れたとしても、彼女は恐ろしい罪を犯した。その彼女を、監視の意味も込めて、殿下は私に任せたのだ。
しかし、指導していく中で、私の感情は彼女の素直で努力家なところに揺さぶられ、惹かれていった。
私の中ではもはや、罪人だったという事実は薄れ、生涯監視対象というのではなく、生涯共に生きて行きたい存在となっていた。
「ナナカ、私と共に生きていってくれないか。貴女をとても好ましく思っている。貴女に惹かれているんだ。貴女を生涯愛し、大切にできる男は私しかいない」
何度目かになるプロポーズに、
「私もルイ先生をお慕いしています。こんな私ですが、よろしくお願い致します」
と言い、綺麗な涙をポロポロと流した。
その2年後、私は黒髪の美しい婚姻ドレス姿のナナカを見て、人目も憚らず泣いた。
キイラは処刑を望んでいた。
最初から、この闇魔術を使うことになった時から、母親の元に逝こうと決めていたから。
「聖人ユリアナ様… 私は、許されないことをしました…死んで償いたいと思っています… 」
すっかりやつれてしまったその表情は、ただ絶望だけではなかった。
「キイラ、貴女の言う通り、貴女のしたことはとても重い処罰を受ける罪よ。でもね、そうせざる負えなかった貴女の事情に、その処罰はあまりにも重すぎる。大好きなお母様のそばにいきたいと思う気持ちはよくわかるわ」
私は前回処刑された時、また私の大好きな家族の元に生まれたいと思った。それが叶わないのは、家族がそばにいないことは、とても辛いことだということもよくわかる。
でもそれは…
「でもねキイラ、貴女のお母様は貴女を守るために、魔物に対したのでしょう?貴女の命を守るために。
そのお母様が守った大切な命を、失わずに済むのなら、貴女はその命を大切にしないとならないわ」
「…!でも私は、私は、お母さんの元にいきたいです… 私のたった一人の家族で、大好きなお母さんが居ないなら、生きていたくない…です」
「そう… それなら、貴女のお母さんを助けることが出来なかった私は?私も処罰を受けないとならないわ」
「それは違います!それは、伯爵様が、あの伯爵が書類を処分したからです!聖人ユリアナ様は悪くありません…」
「それなら、貴女もそうでしょ?ゴルドーは、貴女がゴルドーに加担するように、貴女の誤解を、あの男の都合の良いように利用した。
純粋な少女の気持ちを誘導して。
でもその誤解を作ったのは、あの男よ?その証拠に、貴女はすぐにレオンハルト殿下と私の解術をした。貴女は悪くない」
キイラは、お母さんごめんなさい、お母さんごめんなさいと何度も言いながら泣いた。
私はキイラに癒しの力と、回復魔法を流した。
キイラは泣き疲れて眠ってしまった。
少しゆっくりと眠った方が良いわ、あの顔はまったく眠れていない顔だもの。
それから、キイラが自死しないか心配だったため、ルイ師団長に見守りをお任せして、侯爵家から侍女とメイドをキイラに付けた。
それから1週間後、ルイ師団長から連絡があり、キイラが目覚めると、聖人ユリアナ様のお役に立ちたいと言っていると、お母さんに物凄く叱られた夢を見た、まだお母さんの元へは逝けない、また叱られるからと言い、微かに笑ったそうだ。
それからキイラは、少しずつ体調を回復させ、精神的にも落ち着いてきたため、ルイ師団長から、今後のことについて説明を受けた。
「私は平民で、勉強は少ししかしてないので、皆さんにご迷惑をお掛けするかもしれませんが、やってみます、やりたいです…!」
キイラは、名前をナナカと変えた。
キイラの大好きだったお祖母様の名前だそうだ。
そして、ルイ師団長の魔法で燃えるような赤髪を黒くした。瞳はもともと茶色だったため、一般的な色だからと変更しなかった。
「私じゃないみたいだけど、でも生まれ変わった気持ちで頑張ります」
キイラ改めナナカは、元は素直で真面目な子なのだろう。
私の家庭教師だった先生を派遣し指導してもらったが、飲み込みも早く、言われた通りきちんと復習もして、とても優秀だと言っていた。
ナナカが生きる選択をしてくれて良かったと思った。
そして、ルイ師団長には、魔法について指導を受けた。
ルイ師団長は、ジュリアンに比べたら本当に穏やかに指導できるから助かってるよ!と言い、ジュリが無になっていた。
それからナナカは、想像以上の成果を見せた。
2年間毎日勉強し、貴族学院高等部のカリキュラムを終え、その間にルイ師団長の魔法訓練もこなした。
私の侯爵家でナナカの後見人となり、ナナカにまつわるすべてを支援した。
それでもやはり住む場所は王宮でとなり、魔法訓練が終わるまで王宮に住み続けた。
そして更にその2年後、ナナカは私の侯爵家の養子となった。
「ナナカ!待っていたわ!貴女の部屋の準備も完璧よ?」
「ユリアナ様、今日からよろしくお願いします!」
「ええ、短い間だけど、ゆっくり式の準備をしていきましょう!」
ナナカはあれから、ルイ師団長の作った魔術を発動し、国のために数々の功績を立てた。
そして、なんとルイ師団長にプロポーズされ、来年に婚姻式を行うことになったのだ。
最初は分不相応だと言ってプロポーズを断っていたが、ルイ師団長の好みが黒髪の女性だと聞き、なぜ相談もされず赤髪から黒髪になったのか、その理由がその時にわかった。
ルイ·エンバリーは、現代では凡そ使うことのできない闇魔術を、いとも簡単に発動させた女性に興味があった。
どのような魔力で、どのくらいの魔力量なのか。
彼女の、闇魔術を使わないとならなかった事情を知ると、同情するような気持ちで彼女を見ていた。
間違いなく、処刑だろう。
しかし、あの難解な闇魔術を発動させたのだ。その魔力を鑑定したい。
そして、もしかしたら、私が長年研究している魔術を発動できるかも知れない。
聖人ユリアナが、闇魔術を掛けられた本人であるにもかかわらず、キイラの処刑に難色を示した。
同情できる彼女の背景に、処刑は重すぎる罰だと。
確かにキイラは、あのゴルドーの奸計に嵌められ、躊躇いなく闇魔術を使ったが、私は正直、彼女の魔力が知りたかった。
処刑するのは簡単だ。しかし、後世に残す研究対象としては貴重な人物だった。
それから彼女は、処刑を免れ、別の人物として生を受けた。
名前を変え、あの特徴的な赤髪の色を変えた。
私にその依頼がきたので、なんとなく黒髪に変更した。よく似合っていた。
それから彼女は、人が努力すると得られる結果の大きさを、身を持って示した。
貴族としてのマナーや教養を習得しながら、学院の高等部のカリキュラムを終わらせた。
私との魔法訓練も、必死に慎重に取り組み、とても真面目で素直な性格だとわかると、生徒以上の感情が湧いてきた。
「はい!ルイ先生」と言い、必死に私の指導に付いてこようとする姿に、いよいよ愛おしさまで湧いてきた。
恐らくこうなる運命だったのだろう。
この魔力を持つ彼女との付き合いは、師弟関係として一生続く。
罪を免れたとしても、彼女は恐ろしい罪を犯した。その彼女を、監視の意味も込めて、殿下は私に任せたのだ。
しかし、指導していく中で、私の感情は彼女の素直で努力家なところに揺さぶられ、惹かれていった。
私の中ではもはや、罪人だったという事実は薄れ、生涯監視対象というのではなく、生涯共に生きて行きたい存在となっていた。
「ナナカ、私と共に生きていってくれないか。貴女をとても好ましく思っている。貴女に惹かれているんだ。貴女を生涯愛し、大切にできる男は私しかいない」
何度目かになるプロポーズに、
「私もルイ先生をお慕いしています。こんな私ですが、よろしくお願い致します」
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