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75.騎士たちの後悔
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国王ロードリックは、退位を表明し、後継はレオンハルト殿下となった。
その際、第二騎士団の解体とその処罰を決定した。
第二騎士団団長ジミールは、職権を乱用し、数々の横暴な振る舞いと非道な行為、聖人ユリアナに対する不遜な態度と、それを部下にも指示した重罪人として、騎士団から追放し、辺境の未開拓の地での労役刑となった。
その際、利き腕の右手を斬り落とし、断種をして送った。
「なんで俺が罰を受けるんだよっ!俺は最強の戦士だぞ!俺がいなければ、魔物で溢れかえるんだぞ!それでも良いのか!バカどもめが!」
他にも直接聖人ユリアナに暴言を吐き、危害を加えた者、怪我ばかりしてろくに討伐もせず、給金だけを受け取っていた者も、同様に未開拓の地に送られた。
檻のような馬車に、縄で動けないように縛られ、目隠しをされ、荷物のように馬車の中に積み込まれ、あとどれくらいこの激しい揺れに耐えるのかと絶望してきた頃に到着した。
「おい、誰が喋って良いと言った?勝手に口を開くな。お前が息をするのも喋るのも、何かするときは、すべて俺の許可を得てからだ」
馬車からまた放り投げるように降ろされ、目隠しだけ外され立たされた。
そして、目の前に立つ、兵服のような服を着た巨大な男に向かって喚くと、恐ろしく低い声で忠告された。
「うるせえ!俺は第二騎士団団長だぞっ!なんで、てめえの許可がいるんだ、ふざけるな!早く縄を解け、命令だ!」
その瞬間ジミールは、数メートル後ろに蹴り飛ばされ、その兵服を着た男に気絶するまで蹴られ続けた。
「おい、この馬鹿に水をかけろ、気絶してる暇はない。目が覚めたらまた思いしらせろ」
「わかりました」
その兵服を着た巨大な男の横にいた二人の男は、これまた大きな身体がすべて筋肉で出来ているような屈強な身体をしていた。
大きな桶に水を汲み、ジミールが目覚めるまでその水をぶっ掛けた。
「うぅっ…、うぁっ…やめろ、やめてくれ…」
ジミールが目を覚ますと、その巨大な男の指示通り、その男二人はまたジミールを蹴り続けた。
「…やめ…ろ!やめてくれ…!」
「親方どうします?生かしておきますか?このゴミ」
ものすごい力と早さで蹴り続ける男二人は、まったく疲労を見せず、親方と呼んだ巨大な男に声を掛ける。
「ああ、ゴミだけど殺すな、そういう指示をもらっている、殿下からな。殺さない程度で、長く生かして働かせろという指示だから、とりあえずその辺にしておけ」
「わかりました」
その男は、蹴るのをやめると、ジミールの足を片手で掴み、引きずって親方の前に置いた。
「ぐぅ…、はぁ、はぁ…」
ジミールは身体を折り曲げ、言葉を発することもできない。口と鼻から血を流し、顔は原型を留めていなかった。ジミールが呼吸をする度に変な音が聞こえた。
「他15人、コイツと同じ目に遭いたい者はいるか」
縄で縛られた無抵抗のジミールを、なんのためらいもなく、激しく痛めつけた様を、目の前で見ていた元第二の騎士たちは、声を出すことも出来なかった。
「今まで随分と生ぬるいところにいたようだな。この程度で気を失うとは、情けない奴だ。俺たちは殴らない。手を怪我したら痛いからな。頭の悪い奴は足で教えることにしている。この鉄の塊が仕込まれた靴でな」
それからは、地獄の方がまだマシなのではないかと思った。
朝日も登らないうちから、鬱蒼とした森の草を薙ぎ払い、木を切り倒し、邪魔な岩を掘り返して運び、土をならし平らにして道を作る。
大勢いる他の罪人たちと、数人の班に分けて役割を分担し、切った木を運ぶ者たち、岩を転がし移動させる者たちなど、その中で一人でもサボったり、動けなかった者がいると連帯責任で、食事が一食抜かれる。
疲労と空腹で衰弱し、労働できなくなった者は、宿舎の横にいる魔物の餌になる。
その小屋には、小型の魔物を数十匹飼育しており、その魔物は、口は小さいが骨をも噛み砕く鋭い牙を持ち、その牙には激痛を起こす毒がある。激痛ではあるが、死に至る毒ではないため、絶命するまで地獄のような苦痛を味わうのだ。
その群れに捕まれば、毒による激痛を味わいながら、自分の骨が砕かれる音を聞きながら息絶えるのだ。
「コイツにだけは喰われたくない…」
魔物討伐で、嫌というほど魔物を見てきたが、この小型にやられる仲間だけは助けることが出来なかった。助けようとすれば、次の犠牲者は自分だ。
激しく苦しみながら息絶えるのを待つしか無いのだ。
その事を知っているだけに、とにかく真面目に働いた。働いた分だけ食事が支給されるのだ。
「おい!俺は右手が無いんだ、この石はお前が持て」
しばらくは、揉め事も起こさず真面目に働いた。しかし、未だに己の状況を理解しない者に、皆がうんざりしていた。
「…おいお前、とは俺のことか…?」
「当たり前だ、お前しかいないだろう。なんだ?団長の俺に刃向かうのか?」
「団長… ここではもうアンタは団長でも何でもない。俺達は皆同じ罪人だ。アンタの指示は受けない」
「なんだと!?貴様、俺は第二騎士団団長ジミール様だぞ?この俺に生意気な口を聞くな!叩きのめすぞ!」
「…やれよ…、やってみろよ、右手も剣もないお前なんか、怖くもなんともない…やってみろよっ!」
「貴様ぁ!殺してやる!」
そのまま、元部下と素手での乱闘となったが、利き腕の無いジミールは、叩きのめすどころか勝負にもならなかった。
元部下に、地面に抑え込まれ、
「お前のせいで…!お前が聖人は淫乱な女で、男にうつつを抜かして仕事もろくにしない女だから、わからせてやれって、入団した時から毎日毎日言うから、だから、その通り聖人を馬鹿にして、無駄に働かせたら、この有様だっ!
お前のせいだ!お前のせいで俺は俺たちは、人生めちゃくちゃだよ!このクソ野郎!」
「…ぐっ…あの、クソ生意気な…女は、…悪い奴なんだよ…!」
「いつだよ!?いつ聖人が悪いことをしたんだよっ!俺は一度も見てねーよ!俺たちが、聖人をこき使って、どんなに罵ったって、からかったって、聖人はいつも言い返さずに、黙々と仕事をしてたよ!
それなのに、お前が、もっとわからせてやれって言うから…!
…言えよ!聖人がいつ、何を悪いことしたんだ!言ってみろよっ!」
「…知らねーよ…!これからするんだろっ…!」
「じゃあまだ何もしてねーじゃねーかっ!この嘘つき野郎!てめえはクズの上に能無しのゴミだ!責任取れよ!このクズ野郎!」
そこに、ジミールと元部下が殴り合うところから見ていた、親方が声を掛けた。
「お前ら、何をしてるのかわかっているのか?作業を中断し、程度の低い罵り合いか?馬鹿は本当にいつまでも馬鹿だな?
己の罪もわからず、こうなってもまだ立場すら分からない。生きているだけで害になるなんて、な?なかなか居ないぞ?
おい、準備しろ」
親方の後ろにいた、あの大きな二人組の一人が、わかりましたと言いこの場を離れた。
「お前ら全員連帯責任で檻に入れる」
その男は激しく後悔していた。
ただ剣の腕が優れているだけの無能な男に心酔し、その男の言葉通り行動した。
なぜ疑問に思わなかったのか。
いつ聖人が団長の言う淫乱な行動を取ったのか、まだ10歳程度の子供だった、我が子となんら変わらない子供だったのに…
少し考えればわかったことだった。
言われるがままに、聖人をこれでもかと罵り、嘲笑い、攻撃した。
それでも聖人は、俺たちの怪我や傷を何も言わず治していた。
家族を失った。
可愛い息子も、愛していた嫁も、目の前で魔物に喰われた。
でももう俺もすぐにそっちにいくよ。
男は激しい痛みを全身に感じながら、仲間の泣き叫ぶ声を聞き、自分身体の骨が噛み砕かれる音を聞きながら、意識が遠のいていった。
せめてもの救いは、元部下たちより先にジミールが、
「…痛いっ!助けて!許してください!お願い助けて…!」
と叫ぶ姿を見れたことで、少しは溜飲が下がったことくらいだった。
しかし、このまま死なせてはもらえなかった。
聖人ユリアナが、国民のために作っているという万能薬を飲まされた。
あの体の大きな二人に抑え込まれ、口を開けられ、口の中に流し込まれた。
信じられないくらい、すぐに身体は回復した。痛みも傷も苦痛も、あっという間に消え失せた。
毎度俺たちが虐げ、暴言を浴びせ、暴力まで奮った、小さくてか弱い聖人が、こんなに凄い効果のある薬を作れるなんて…
小型の魔物による激痛と恐怖を味わい、もういっそ死んだほうがマシだと思うほどの苦痛だったが、死ねなかった。死なせてもらえなかった。
それからは、この繰り返しだった。
いつまで経っても己の立場を理解せず、檻の罰を忘れるジミールは、すぐに揉め事を起こした。
少しの揉め事でも、すぐに檻の罰を受けた。
毎度ジミールから魔物の檻に入れられた。
ジミールは何度目かの罰から、泣いて助けてくれと喚き、失禁するようになっていた。その姿を見てから、俺たちの番だった。
そして、毒による激痛と、骨を咬み砕く激痛で気を失うと、万能薬を無理矢理飲まされ回復する。
俺たちの罪だと言われた。
これは、なんの罪もない聖人を痛めつけた、俺たちの罰だ。
小さな聖人も、お前たちから同じような苦しみと痛みを受けていたと言われた。
それからも、何度も揉め事を起こすジミールに、殺意しかなかった。
腕の無いコイツを殺すのは簡単だ。しかしそれは、この地獄のような痛みや苦しみから、解放してやることになる。
生きていることが地獄だった。
今思うことは、
なんであんなことを、なんで聖人にあんなことをしてしまったのか、それだけだった。
その際、第二騎士団の解体とその処罰を決定した。
第二騎士団団長ジミールは、職権を乱用し、数々の横暴な振る舞いと非道な行為、聖人ユリアナに対する不遜な態度と、それを部下にも指示した重罪人として、騎士団から追放し、辺境の未開拓の地での労役刑となった。
その際、利き腕の右手を斬り落とし、断種をして送った。
「なんで俺が罰を受けるんだよっ!俺は最強の戦士だぞ!俺がいなければ、魔物で溢れかえるんだぞ!それでも良いのか!バカどもめが!」
他にも直接聖人ユリアナに暴言を吐き、危害を加えた者、怪我ばかりしてろくに討伐もせず、給金だけを受け取っていた者も、同様に未開拓の地に送られた。
檻のような馬車に、縄で動けないように縛られ、目隠しをされ、荷物のように馬車の中に積み込まれ、あとどれくらいこの激しい揺れに耐えるのかと絶望してきた頃に到着した。
「おい、誰が喋って良いと言った?勝手に口を開くな。お前が息をするのも喋るのも、何かするときは、すべて俺の許可を得てからだ」
馬車からまた放り投げるように降ろされ、目隠しだけ外され立たされた。
そして、目の前に立つ、兵服のような服を着た巨大な男に向かって喚くと、恐ろしく低い声で忠告された。
「うるせえ!俺は第二騎士団団長だぞっ!なんで、てめえの許可がいるんだ、ふざけるな!早く縄を解け、命令だ!」
その瞬間ジミールは、数メートル後ろに蹴り飛ばされ、その兵服を着た男に気絶するまで蹴られ続けた。
「おい、この馬鹿に水をかけろ、気絶してる暇はない。目が覚めたらまた思いしらせろ」
「わかりました」
その兵服を着た巨大な男の横にいた二人の男は、これまた大きな身体がすべて筋肉で出来ているような屈強な身体をしていた。
大きな桶に水を汲み、ジミールが目覚めるまでその水をぶっ掛けた。
「うぅっ…、うぁっ…やめろ、やめてくれ…」
ジミールが目を覚ますと、その巨大な男の指示通り、その男二人はまたジミールを蹴り続けた。
「…やめ…ろ!やめてくれ…!」
「親方どうします?生かしておきますか?このゴミ」
ものすごい力と早さで蹴り続ける男二人は、まったく疲労を見せず、親方と呼んだ巨大な男に声を掛ける。
「ああ、ゴミだけど殺すな、そういう指示をもらっている、殿下からな。殺さない程度で、長く生かして働かせろという指示だから、とりあえずその辺にしておけ」
「わかりました」
その男は、蹴るのをやめると、ジミールの足を片手で掴み、引きずって親方の前に置いた。
「ぐぅ…、はぁ、はぁ…」
ジミールは身体を折り曲げ、言葉を発することもできない。口と鼻から血を流し、顔は原型を留めていなかった。ジミールが呼吸をする度に変な音が聞こえた。
「他15人、コイツと同じ目に遭いたい者はいるか」
縄で縛られた無抵抗のジミールを、なんのためらいもなく、激しく痛めつけた様を、目の前で見ていた元第二の騎士たちは、声を出すことも出来なかった。
「今まで随分と生ぬるいところにいたようだな。この程度で気を失うとは、情けない奴だ。俺たちは殴らない。手を怪我したら痛いからな。頭の悪い奴は足で教えることにしている。この鉄の塊が仕込まれた靴でな」
それからは、地獄の方がまだマシなのではないかと思った。
朝日も登らないうちから、鬱蒼とした森の草を薙ぎ払い、木を切り倒し、邪魔な岩を掘り返して運び、土をならし平らにして道を作る。
大勢いる他の罪人たちと、数人の班に分けて役割を分担し、切った木を運ぶ者たち、岩を転がし移動させる者たちなど、その中で一人でもサボったり、動けなかった者がいると連帯責任で、食事が一食抜かれる。
疲労と空腹で衰弱し、労働できなくなった者は、宿舎の横にいる魔物の餌になる。
その小屋には、小型の魔物を数十匹飼育しており、その魔物は、口は小さいが骨をも噛み砕く鋭い牙を持ち、その牙には激痛を起こす毒がある。激痛ではあるが、死に至る毒ではないため、絶命するまで地獄のような苦痛を味わうのだ。
その群れに捕まれば、毒による激痛を味わいながら、自分の骨が砕かれる音を聞きながら息絶えるのだ。
「コイツにだけは喰われたくない…」
魔物討伐で、嫌というほど魔物を見てきたが、この小型にやられる仲間だけは助けることが出来なかった。助けようとすれば、次の犠牲者は自分だ。
激しく苦しみながら息絶えるのを待つしか無いのだ。
その事を知っているだけに、とにかく真面目に働いた。働いた分だけ食事が支給されるのだ。
「おい!俺は右手が無いんだ、この石はお前が持て」
しばらくは、揉め事も起こさず真面目に働いた。しかし、未だに己の状況を理解しない者に、皆がうんざりしていた。
「…おいお前、とは俺のことか…?」
「当たり前だ、お前しかいないだろう。なんだ?団長の俺に刃向かうのか?」
「団長… ここではもうアンタは団長でも何でもない。俺達は皆同じ罪人だ。アンタの指示は受けない」
「なんだと!?貴様、俺は第二騎士団団長ジミール様だぞ?この俺に生意気な口を聞くな!叩きのめすぞ!」
「…やれよ…、やってみろよ、右手も剣もないお前なんか、怖くもなんともない…やってみろよっ!」
「貴様ぁ!殺してやる!」
そのまま、元部下と素手での乱闘となったが、利き腕の無いジミールは、叩きのめすどころか勝負にもならなかった。
元部下に、地面に抑え込まれ、
「お前のせいで…!お前が聖人は淫乱な女で、男にうつつを抜かして仕事もろくにしない女だから、わからせてやれって、入団した時から毎日毎日言うから、だから、その通り聖人を馬鹿にして、無駄に働かせたら、この有様だっ!
お前のせいだ!お前のせいで俺は俺たちは、人生めちゃくちゃだよ!このクソ野郎!」
「…ぐっ…あの、クソ生意気な…女は、…悪い奴なんだよ…!」
「いつだよ!?いつ聖人が悪いことをしたんだよっ!俺は一度も見てねーよ!俺たちが、聖人をこき使って、どんなに罵ったって、からかったって、聖人はいつも言い返さずに、黙々と仕事をしてたよ!
それなのに、お前が、もっとわからせてやれって言うから…!
…言えよ!聖人がいつ、何を悪いことしたんだ!言ってみろよっ!」
「…知らねーよ…!これからするんだろっ…!」
「じゃあまだ何もしてねーじゃねーかっ!この嘘つき野郎!てめえはクズの上に能無しのゴミだ!責任取れよ!このクズ野郎!」
そこに、ジミールと元部下が殴り合うところから見ていた、親方が声を掛けた。
「お前ら、何をしてるのかわかっているのか?作業を中断し、程度の低い罵り合いか?馬鹿は本当にいつまでも馬鹿だな?
己の罪もわからず、こうなってもまだ立場すら分からない。生きているだけで害になるなんて、な?なかなか居ないぞ?
おい、準備しろ」
親方の後ろにいた、あの大きな二人組の一人が、わかりましたと言いこの場を離れた。
「お前ら全員連帯責任で檻に入れる」
その男は激しく後悔していた。
ただ剣の腕が優れているだけの無能な男に心酔し、その男の言葉通り行動した。
なぜ疑問に思わなかったのか。
いつ聖人が団長の言う淫乱な行動を取ったのか、まだ10歳程度の子供だった、我が子となんら変わらない子供だったのに…
少し考えればわかったことだった。
言われるがままに、聖人をこれでもかと罵り、嘲笑い、攻撃した。
それでも聖人は、俺たちの怪我や傷を何も言わず治していた。
家族を失った。
可愛い息子も、愛していた嫁も、目の前で魔物に喰われた。
でももう俺もすぐにそっちにいくよ。
男は激しい痛みを全身に感じながら、仲間の泣き叫ぶ声を聞き、自分身体の骨が噛み砕かれる音を聞きながら、意識が遠のいていった。
せめてもの救いは、元部下たちより先にジミールが、
「…痛いっ!助けて!許してください!お願い助けて…!」
と叫ぶ姿を見れたことで、少しは溜飲が下がったことくらいだった。
しかし、このまま死なせてはもらえなかった。
聖人ユリアナが、国民のために作っているという万能薬を飲まされた。
あの体の大きな二人に抑え込まれ、口を開けられ、口の中に流し込まれた。
信じられないくらい、すぐに身体は回復した。痛みも傷も苦痛も、あっという間に消え失せた。
毎度俺たちが虐げ、暴言を浴びせ、暴力まで奮った、小さくてか弱い聖人が、こんなに凄い効果のある薬を作れるなんて…
小型の魔物による激痛と恐怖を味わい、もういっそ死んだほうがマシだと思うほどの苦痛だったが、死ねなかった。死なせてもらえなかった。
それからは、この繰り返しだった。
いつまで経っても己の立場を理解せず、檻の罰を忘れるジミールは、すぐに揉め事を起こした。
少しの揉め事でも、すぐに檻の罰を受けた。
毎度ジミールから魔物の檻に入れられた。
ジミールは何度目かの罰から、泣いて助けてくれと喚き、失禁するようになっていた。その姿を見てから、俺たちの番だった。
そして、毒による激痛と、骨を咬み砕く激痛で気を失うと、万能薬を無理矢理飲まされ回復する。
俺たちの罪だと言われた。
これは、なんの罪もない聖人を痛めつけた、俺たちの罰だ。
小さな聖人も、お前たちから同じような苦しみと痛みを受けていたと言われた。
それからも、何度も揉め事を起こすジミールに、殺意しかなかった。
腕の無いコイツを殺すのは簡単だ。しかしそれは、この地獄のような痛みや苦しみから、解放してやることになる。
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