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71.処罰が決まる
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「ユリアナ、随分と優しい処分だね…?本当にそれで良いのか?」
「ユリアナ嬢、その罰では全然足りないよ?私たちに任せてくれてもいいんだよ?」
レオンハルト王太子殿下も、ライナルト殿下も、眉毛を下げて私を見ている。
私は、リチャードとシャルルアンの処罰を、我が侯爵家に一任してくれた両殿下に報告に来た。
リチャードもシャルルアンも片腕を斬り落とし、リチャードは断根して男たちの慰み者に、シャルルアンも男たちの慰み者、と言っても、シャルルアンにとっては喜びしかないかも知れないので、両親から知識やマナーを学び、合格できたら未開拓の地から、地下牢に戻す、とした。
「そんな甘い処分で、あのリチャードに思い知らせることができるかなー?城の地下牢の最奥に、拷問部屋があるんだよ?
そこで死なない程度に、10年は間違いなく苦しめることができるのに。拷問部屋の看守も、ぜひ引き受けたいと言ってたよ?」
レオンハルト様が、私の説得を始める気だ。
「レオンハルト様、お気遣いありがとうございます。私の父が激怒していて手を付けられないので、私から父に、あの二人に与えたい罰を伝えて、それを父が引き受けてくれました」
リチャードにとっては恐怖の魔王であるお父様に、想像もつかない恐ろしい罰を宣告してもらう。
あの男は、お父様をとても恐れていたし、私が宣告するのと受ける恐怖が数段違うわ。
そして、あの女はお父様の恐ろしさを知らないし、お父様が刑を宣告すれば半年後と1年後に、まさか私が来るとは思わないでしょう。
あの状況になっても、あの女が幼い子供でもできる基本マナーを、習得できるわけがない。
恐らく私の顔をみたら、正気ではいられないはず。そうなれば、自分のせいで地獄よりもつらい未開拓の地から、一生出てこれない。出てこなくていいのよ。
それでも万が一、心を入れ替えて、私を見ても穏やかに丁寧な対応ができて、心から謝罪するなら、また地下牢に戻してあげるわ。
まあでも、恐らく生涯、未開拓の地でしょうけど。
恐怖の魔王であるお父様を、適材適所で使えるのは私だけね。お父様ごめんなさい。
私はまた半年後に、優雅にアイツらの前に現れるのよ。
「そうか、フォンベルト侯爵の逆鱗に触れたらどうなるか、貴族たちも、自分や、その子どもたちに、貴族としてあるべき姿を振り返り、己を律するようになるだろうね」
レオンハルト様がそう言うと、ライナルト様も、
「フォンベルト侯爵は怖いけど、そうするだけの仕事をしてるし、我が国に多大な貢献もしている。兄上、この度のことは、聖人ユリアナ殿が一番の被害者です。侯爵家にお任せしましょう」
と言うと、レオンハルト様も、そうだなと私を見てうなずいた。
「それからな、ユリアナ。我が父、現国王は退位とした。ユリアナ、君にも国王としての役割を果たせず、すまなかった。そして、その罪は重い。国王の全財産は没収して、何も持たせず、僻地に住まいを移すことにした。
もちろん従者やメイドも誰一人付けない。私の母上と二人だけで、城とも呼べない住まいで余生を過してもらう」
表向きは体調不良による隠居としたが、その城の周囲には影を潜ませ、逃亡しないよう見張らせると言っていた。要は監禁だ。
レオンハルト様のお母様である正妃様は、斬首でも毒杯でも、覚悟はできているわ、と言っていたそうだが、簡単に死ぬことは許さないと、レオンハルト様に言われ、僻地への移住を受け入れた。
場所を聞くと、治安が良いとも言えない地域で、そこで自分のことすら何もできない二人が、どれだけ生き延びれるか、また、二人で協力して生き延びたとしても、いつ賊が押し入り、辱めを受け、亡き者にされるかわからない場所だ。
そんなところに、ご自分の両親を送る決断をした、レオンハルト殿下。私が見つめると、
「国を統べるものは、間違いを犯してはいけないんだ。国民一人ひとりの命を守り、安全を保証する。その最も基本的なところを見失うのであれば、王と名乗ってはならない。父だから、家族だからと、そこに目をつぶることは許されない」
そう言ったレオンハルト様は、まったく表情を変えず、少しの感傷も見せなかった。
ジョーデンと共謀して、ジュリを亡き者にしても構わない企てをし、第二騎士団の数を減らしたくないからと、私が何も言わないのを良いことに、私が常時暴言を受けているのを知りつつ対処しなかった。
ライナルト殿下は、トルラン国から帰国し、レオンハルト次期国王の補佐として、王宮に入ることになった。
トルラン国で、魔法技術を学び、これからルイ師団長と、魔法面からこの国を発展させるよと言って笑っていた。
その国王となる異母兄を亡き者にしようしたリチャード。
「もう…もう…イヤだ…!助けてくれ…頼むよっ…!」
「ダメだよ…!リチャードくん、私の娘も頑張っているんだ。夫の君が頑張らないでどうする」
リチャードは利き腕を斬り落とされ、断根された。
フォンベルト侯爵は、この未開拓の地の管理者に、この度の罪人について説明していた。
「片腕は要らない。斬り落とした腕は、目の前で魔物に喰わせてやって欲しい。それと断根して、男色の巣に入れてくれ。そうだな、せめて20年は生かして欲しい。
ただな、性病があったらすまない。相手が野良犬だったんだ。それがわかったら、迷わず処分で構わない。蔓延して、労働力が全滅するのも良くない。その際は、小型の魔物で数日かけて頼む」
侯爵の依頼を受けた管理者は、
「フォンベルト侯爵様の仰せのままに、すべて滞りなく完遂致します」
と言い、舌舐めずりでもしそうな表情で微笑んだ。
「すまないな、いつもと違って面倒な奴らだが、許してくれ。愛する我が娘の依頼でね。最近は私に似てきて、頼もしい限りだ。金はいつもの場所に届けさせるよ」
「そうでございますか、お嬢様が?それでは代々で侯爵家にご依頼を頂けそうですね、嬉しい限りです。侯爵様、私は報酬には興味はありませんが、3人目が近く産まれますもので、有り難く頂戴致します」
「そうかだったのか、それならお前の夫人にも贈り物を届けさせよう。まったく、金に興味がないとは、少しは夫人に使ってやれよ?」
「ええ、もちろんです。私はこの地の管理が天職であり、妻には裕福な生活をさせられる。侯爵様のお陰です」
「お前を信頼している。これからも頼む」
「かしこまりました」
管理者は、フォンベルト侯爵に挨拶すると、直ぐ様リチャードの元に来た。
「さあ始めましょうか」
一切のためらいもなく、指示されたリチャードの身体の一部分は、呆気なく斬り落とされた。
泣き喚き暴れ、気を失うリチャードに水をかけ、目を覚させる。
その繰り返しだった。
「傷口は、出血と感染症で死なれたら困るから、聖人ユリアナ様が作ってくださった万能薬の、怪我に対応できる塗り薬を付けますよ。感謝してください」
転んだ傷にでも薬を塗るような感覚で、ガーゼに薬を塗り、切断面にあてられた。
「ギャァァァ……!……? 痛くない…痛みが無くなった」
聖人ユリアナの薬だと言われ、無くなった腕の断面、股間の大切に思っていた自分のモノがあった場所に、その薬を塗った途端、すぐに痛みが取れ、何事もなかったかのように回復した。
こんなことが、こんな凄いことが… たった今、痛みと恐怖で何度も気を失っていたのに、一瞬で回復するなんて… ユリアナ、ユリアナ、…俺はなんで、なんでユリアナを蔑ろにしてしまったんだ…こんな凄い万能薬を作れる聖人だったのに…
しかし、後悔したところで自身の環境が変わるわけもない。
未開拓の地の労働を終えた屈強な男たちが、鼻息荒く、リチャードの仕事部屋に列をなして待っている。
その順番や、翌日の予約、部屋の清掃やリチャードの洗浄などを、義理の父であるゴルドーが行っている。
「リチャードくん、あと5人お待ちだよ、なるべく早く、丁寧にお慰めが終わるように頑張ってくれ!」
「…!イヤだっ!もうイヤだ!助けてくれ!」
「おやおや、お坊ちゃん、駄々をこねてるのか?」
「リチャードくん…!困るよっ!…頼むっ!文句を言わないで!」
「イヤだ!お前らの相手はもうイヤだ!帰れっ!そばに寄るな!」
「なんだ、困ったな。それじゃあ仕方ないな、おっさん」
リチャードは、男たちの相手を受け入れず、拒否することがあった。
己の罰を受け容れないなど、あり得ないのだが、その際は、お世話係のゴルドーが、男たちに殴られることになっていた。
大事な道具を傷付けるわけには行かないから。
しかし、中年で小太り体型の、身体を鍛えたこともないゴルドーが、屈強な男に何発も殴られては命がない。取り敢えず腹いせに、一発だけ殴っても良いことになっていた。
その代わりリチャードには、その日の男たちの相手が終わったあとに、聖人ユリアナが作った万能薬を飲めることになっていたが、その管理はゴルドーがしていた。
「……うぐっ…かはっ…!痛い…リチャードくん…!今日の万能薬は…無しだぞ…!くそっ」
ゴルドーの左顔面は腫れ上がっていた。
「なん…!くそっ……万能薬……」
「そうだ、坊っちゃん、いい子だな?グズった罰として、今日はまず、その可愛いお口で慰めてくれ」
リチャードの日常は、多くて20人少なくて10人の男を相手にする、未開拓の地にはなくてはならない存在になった。
この地の男どもは、リチャードのいない生活は考えられないほどになり、リチャードを死なせない程度に扱った。
リチャードが言うことを聞かなければ、ゴルドーを痛めつける。そのゴルドーは、リチャードの欲するユリアナの万能薬を管理する。
この地獄の日々は、リチャードが
ゆっくりと性病を発症する25年後まで続いた。
そう、リチャードが、ユリアナの万能薬と信じて飲んでいた物は、ただの井戸水だった。
事切れる間際にその事実を知ったリチャードは、絶望した表情のまま絶命した。
「ユリアナ嬢、その罰では全然足りないよ?私たちに任せてくれてもいいんだよ?」
レオンハルト王太子殿下も、ライナルト殿下も、眉毛を下げて私を見ている。
私は、リチャードとシャルルアンの処罰を、我が侯爵家に一任してくれた両殿下に報告に来た。
リチャードもシャルルアンも片腕を斬り落とし、リチャードは断根して男たちの慰み者に、シャルルアンも男たちの慰み者、と言っても、シャルルアンにとっては喜びしかないかも知れないので、両親から知識やマナーを学び、合格できたら未開拓の地から、地下牢に戻す、とした。
「そんな甘い処分で、あのリチャードに思い知らせることができるかなー?城の地下牢の最奥に、拷問部屋があるんだよ?
そこで死なない程度に、10年は間違いなく苦しめることができるのに。拷問部屋の看守も、ぜひ引き受けたいと言ってたよ?」
レオンハルト様が、私の説得を始める気だ。
「レオンハルト様、お気遣いありがとうございます。私の父が激怒していて手を付けられないので、私から父に、あの二人に与えたい罰を伝えて、それを父が引き受けてくれました」
リチャードにとっては恐怖の魔王であるお父様に、想像もつかない恐ろしい罰を宣告してもらう。
あの男は、お父様をとても恐れていたし、私が宣告するのと受ける恐怖が数段違うわ。
そして、あの女はお父様の恐ろしさを知らないし、お父様が刑を宣告すれば半年後と1年後に、まさか私が来るとは思わないでしょう。
あの状況になっても、あの女が幼い子供でもできる基本マナーを、習得できるわけがない。
恐らく私の顔をみたら、正気ではいられないはず。そうなれば、自分のせいで地獄よりもつらい未開拓の地から、一生出てこれない。出てこなくていいのよ。
それでも万が一、心を入れ替えて、私を見ても穏やかに丁寧な対応ができて、心から謝罪するなら、また地下牢に戻してあげるわ。
まあでも、恐らく生涯、未開拓の地でしょうけど。
恐怖の魔王であるお父様を、適材適所で使えるのは私だけね。お父様ごめんなさい。
私はまた半年後に、優雅にアイツらの前に現れるのよ。
「そうか、フォンベルト侯爵の逆鱗に触れたらどうなるか、貴族たちも、自分や、その子どもたちに、貴族としてあるべき姿を振り返り、己を律するようになるだろうね」
レオンハルト様がそう言うと、ライナルト様も、
「フォンベルト侯爵は怖いけど、そうするだけの仕事をしてるし、我が国に多大な貢献もしている。兄上、この度のことは、聖人ユリアナ殿が一番の被害者です。侯爵家にお任せしましょう」
と言うと、レオンハルト様も、そうだなと私を見てうなずいた。
「それからな、ユリアナ。我が父、現国王は退位とした。ユリアナ、君にも国王としての役割を果たせず、すまなかった。そして、その罪は重い。国王の全財産は没収して、何も持たせず、僻地に住まいを移すことにした。
もちろん従者やメイドも誰一人付けない。私の母上と二人だけで、城とも呼べない住まいで余生を過してもらう」
表向きは体調不良による隠居としたが、その城の周囲には影を潜ませ、逃亡しないよう見張らせると言っていた。要は監禁だ。
レオンハルト様のお母様である正妃様は、斬首でも毒杯でも、覚悟はできているわ、と言っていたそうだが、簡単に死ぬことは許さないと、レオンハルト様に言われ、僻地への移住を受け入れた。
場所を聞くと、治安が良いとも言えない地域で、そこで自分のことすら何もできない二人が、どれだけ生き延びれるか、また、二人で協力して生き延びたとしても、いつ賊が押し入り、辱めを受け、亡き者にされるかわからない場所だ。
そんなところに、ご自分の両親を送る決断をした、レオンハルト殿下。私が見つめると、
「国を統べるものは、間違いを犯してはいけないんだ。国民一人ひとりの命を守り、安全を保証する。その最も基本的なところを見失うのであれば、王と名乗ってはならない。父だから、家族だからと、そこに目をつぶることは許されない」
そう言ったレオンハルト様は、まったく表情を変えず、少しの感傷も見せなかった。
ジョーデンと共謀して、ジュリを亡き者にしても構わない企てをし、第二騎士団の数を減らしたくないからと、私が何も言わないのを良いことに、私が常時暴言を受けているのを知りつつ対処しなかった。
ライナルト殿下は、トルラン国から帰国し、レオンハルト次期国王の補佐として、王宮に入ることになった。
トルラン国で、魔法技術を学び、これからルイ師団長と、魔法面からこの国を発展させるよと言って笑っていた。
その国王となる異母兄を亡き者にしようしたリチャード。
「もう…もう…イヤだ…!助けてくれ…頼むよっ…!」
「ダメだよ…!リチャードくん、私の娘も頑張っているんだ。夫の君が頑張らないでどうする」
リチャードは利き腕を斬り落とされ、断根された。
フォンベルト侯爵は、この未開拓の地の管理者に、この度の罪人について説明していた。
「片腕は要らない。斬り落とした腕は、目の前で魔物に喰わせてやって欲しい。それと断根して、男色の巣に入れてくれ。そうだな、せめて20年は生かして欲しい。
ただな、性病があったらすまない。相手が野良犬だったんだ。それがわかったら、迷わず処分で構わない。蔓延して、労働力が全滅するのも良くない。その際は、小型の魔物で数日かけて頼む」
侯爵の依頼を受けた管理者は、
「フォンベルト侯爵様の仰せのままに、すべて滞りなく完遂致します」
と言い、舌舐めずりでもしそうな表情で微笑んだ。
「すまないな、いつもと違って面倒な奴らだが、許してくれ。愛する我が娘の依頼でね。最近は私に似てきて、頼もしい限りだ。金はいつもの場所に届けさせるよ」
「そうでございますか、お嬢様が?それでは代々で侯爵家にご依頼を頂けそうですね、嬉しい限りです。侯爵様、私は報酬には興味はありませんが、3人目が近く産まれますもので、有り難く頂戴致します」
「そうかだったのか、それならお前の夫人にも贈り物を届けさせよう。まったく、金に興味がないとは、少しは夫人に使ってやれよ?」
「ええ、もちろんです。私はこの地の管理が天職であり、妻には裕福な生活をさせられる。侯爵様のお陰です」
「お前を信頼している。これからも頼む」
「かしこまりました」
管理者は、フォンベルト侯爵に挨拶すると、直ぐ様リチャードの元に来た。
「さあ始めましょうか」
一切のためらいもなく、指示されたリチャードの身体の一部分は、呆気なく斬り落とされた。
泣き喚き暴れ、気を失うリチャードに水をかけ、目を覚させる。
その繰り返しだった。
「傷口は、出血と感染症で死なれたら困るから、聖人ユリアナ様が作ってくださった万能薬の、怪我に対応できる塗り薬を付けますよ。感謝してください」
転んだ傷にでも薬を塗るような感覚で、ガーゼに薬を塗り、切断面にあてられた。
「ギャァァァ……!……? 痛くない…痛みが無くなった」
聖人ユリアナの薬だと言われ、無くなった腕の断面、股間の大切に思っていた自分のモノがあった場所に、その薬を塗った途端、すぐに痛みが取れ、何事もなかったかのように回復した。
こんなことが、こんな凄いことが… たった今、痛みと恐怖で何度も気を失っていたのに、一瞬で回復するなんて… ユリアナ、ユリアナ、…俺はなんで、なんでユリアナを蔑ろにしてしまったんだ…こんな凄い万能薬を作れる聖人だったのに…
しかし、後悔したところで自身の環境が変わるわけもない。
未開拓の地の労働を終えた屈強な男たちが、鼻息荒く、リチャードの仕事部屋に列をなして待っている。
その順番や、翌日の予約、部屋の清掃やリチャードの洗浄などを、義理の父であるゴルドーが行っている。
「リチャードくん、あと5人お待ちだよ、なるべく早く、丁寧にお慰めが終わるように頑張ってくれ!」
「…!イヤだっ!もうイヤだ!助けてくれ!」
「おやおや、お坊ちゃん、駄々をこねてるのか?」
「リチャードくん…!困るよっ!…頼むっ!文句を言わないで!」
「イヤだ!お前らの相手はもうイヤだ!帰れっ!そばに寄るな!」
「なんだ、困ったな。それじゃあ仕方ないな、おっさん」
リチャードは、男たちの相手を受け入れず、拒否することがあった。
己の罰を受け容れないなど、あり得ないのだが、その際は、お世話係のゴルドーが、男たちに殴られることになっていた。
大事な道具を傷付けるわけには行かないから。
しかし、中年で小太り体型の、身体を鍛えたこともないゴルドーが、屈強な男に何発も殴られては命がない。取り敢えず腹いせに、一発だけ殴っても良いことになっていた。
その代わりリチャードには、その日の男たちの相手が終わったあとに、聖人ユリアナが作った万能薬を飲めることになっていたが、その管理はゴルドーがしていた。
「……うぐっ…かはっ…!痛い…リチャードくん…!今日の万能薬は…無しだぞ…!くそっ」
ゴルドーの左顔面は腫れ上がっていた。
「なん…!くそっ……万能薬……」
「そうだ、坊っちゃん、いい子だな?グズった罰として、今日はまず、その可愛いお口で慰めてくれ」
リチャードの日常は、多くて20人少なくて10人の男を相手にする、未開拓の地にはなくてはならない存在になった。
この地の男どもは、リチャードのいない生活は考えられないほどになり、リチャードを死なせない程度に扱った。
リチャードが言うことを聞かなければ、ゴルドーを痛めつける。そのゴルドーは、リチャードの欲するユリアナの万能薬を管理する。
この地獄の日々は、リチャードが
ゆっくりと性病を発症する25年後まで続いた。
そう、リチャードが、ユリアナの万能薬と信じて飲んでいた物は、ただの井戸水だった。
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