転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第三十四章 三年生

千四百四十八話 もの凄い茶番劇

 程なくすると、どう考えても今年学園を受験する少年とは思えない、横に大きい中年男性が応接室に入ってきたのです。
 直ぐ様僕が鑑定して、ルーカスお兄様に耳打ちをしました。

「お、お待たせして申し訳ありません。ポールが忙しいので、前領主の弟である私が対応します」

 ハンカチで汗を拭きながら、前領主の弟はどっかりとソファーに座りました。
 もしかしたら、この場を誤魔化そうとしたのかもしれません。
 ということで、ルーカスお兄様の怒りメーターが徐々に上がって行きました。

「では、国からの命令で今すぐ領主を連れてきて下さい。もしくは、領主補佐の前領主夫人を連れてきて下さい。王太子である、私からの命令としても構いません」
「うぐっ……」

 ルーカスお兄様の真剣な表情に、前領主の弟は完全に言葉に詰まってしまいました。
 すると、前領主の弟はこんな事を言ってきたのです。

「そ、その、二人とも病気になっておりまして……」

 さっきは忙しいと言って、今度は病気だと言ってきたのです。
 もしかしたら、病気なら僕達が引き下がるのだと思ったのでしょう。
 でも、その手は僕たちには通用しません。

「それでは、ここにいる【双翼の天使】たる副宰相のアレクとリズを治療に向かわせよう。【勇敢な天使】のミカエルでもよい。そうそう、【救国の勇者】のクロスロード子爵もいる。私の妹のエレノアでもいいぞ」
「へぁ?」

 前領主の弟は、何でそんなメンバーがここにいるのという疑問の表情に変わった。
 ふふふ、治療なら僕たちは大得意だよ。
 更に、ルーカスお兄様が正論をぶち込みます。

「貴方は何か勘違いしているが、領主の立場としての書類なので私と話が出来るのも領主か領主代理だ。決定権のない貴方と話をしても、こちらは時間の無駄です」
「うぐっ……」

 ルーカスお兄様の正論に、前領主の弟はノックアウト寸前です。
 ということで、そろそろ前領主には退場頂きましょう。

 ガチャ。

「叔父上、私と母上を監禁するとは一体どういう事ですか!?」
「げーーー!」

 応接室に、背の高い栗毛の少年がかなり怒りながら入ってきたのです。
 しかも、殴られた様な痕もあるし、着ている服もボロボロです。
 前領主の弟はとんでもなくビックリしていて、目玉が飛び出しそうな位ってこのことを言うんですね。

「不正な補助金申請もあるが、それ以上に領主を監禁するのはもっと罪が重い。かなり悪巧みをしていたみたいだが、関係している者は既に王城へ連行した。後は、貴様の番だな」
「うぐっ、くそっ、動け!」

 あーあ、前領主の弟は腰を抜かして全く動けないね。
 前領主の弟は呆気なくお縄につき、スラちゃんの念動で浮かんだ状態で王城の兵の詰め所へゲートを繋いで運ばれました。
 ちなみに、他の協力者は既にポッキーのゲートで王城の兵の詰め所に運ばれました。

「ルーカス様、助けて頂き本当に感謝しております」
「いや、私も領主の任命式で立ち会ったばかりだったので直ぐに分かっただけだ。名前の筆跡も違ったし、これはおかしいと分かったのだよ」

 前領主であるポール君の父親が急死し、王城で任命式があったんだ。
 僕は学園があるから不在だったけど、だからこそ陛下とルーカスお兄様はおかしいと思ったんだね。

「あと、母上や何人かの体調が良くありません。ルーカス様、どうかお助け下さいませ」
「直ぐに対応しよう。ミカエルとブリットを向かわせる。念のために、鑑定魔法が使える兵もつけよう」

 ということで、ここからは手分けしての作業だ。
 ミカエルとブリットは、数人の兵とマジカルラットと共に前領主夫人が監禁されていた所に向かった。

 シュイン、ぴかー!

「はい、これで大丈夫だよ!」
「リズ様、ありがとうございます」
「全然大丈夫だよ。なんていったって、学園の後輩になるんだからね!」

 ポール君の怪我も、リズがササッと治療した。
 試験も明後日に迫っているし、今はとにかく元気にならないとね。
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