文字の大きさ
大
中
小
256 / 1,396
第二十章 マロード男爵領とジンさんの結婚式
四百五十二話 襲撃された人の正体
さてさて、このよく分からない状況を確認する為に、刺されていた二人に話を聞くことにします。
「大丈夫ですか? 私は王国王族のティナです」
「ああ、良かった。手紙が届いたんですね。僕はランディ、ブランターク男爵家の当主です」
ティナおばあさまの手で起こされたのは、やはりブランターク男爵家の当主だった。
ランディ様は何とか半身を起こして、話を始めました。
「実はそこの執事が横領している事が分かったので追求していたら、いきなりナイフで刺されました」
「私はちょうどその場面に遭遇しまして、同じく執事に刺されました」
ランディ様と侍従の話を聞いたティナおばあさまは、怒り心頭です。
タブレットで情報を王城に伝えた後、組み伏せられている執事に丁寧だけど冷酷な口調で話し始めました。
「貴方の身柄は王城に送られる事になりました。殺人未遂もありますが、どうやら先代の頃から横領していたのでしょう。まあ、厳しい取り調べを受ける事を覚悟してください」
「ぐっ」
拘束された執事は、王城の軍の施設にゲートを繋いだ後連行されました。
そして、数人の兵が代わりにやってきて、屋敷の捜索を手伝ってくれるそうです。
ともあれランディ様と侍従は出血した後なので、ベッドに運ばれました。
ランディ様は、ベッドから身を起こして僕達に話しかけました。
「僕は三月に学園を卒業したばかりで、他に兄弟はおりません。そして、学園卒業と時を同じくして両親が相次いで亡くなりました」
「その辺りは王城にも連絡があったわ。確か、突然死だとか」
「はい、胸を押さえて急に倒れました。まあ、かなり太っていて今まで贅沢三昧をしてきたツケが回ってきたのでしょう」
ランディ様の話を聞く限り、両親は心臓病だったのだろう。
太り過ぎは良くないですね。
「その後、帳簿を調べたらかなりの借金を背負っている事が分かりました。その為、屋敷にある売れるだけの物を売却しました。しかし、売却額と実際に返済された額が違うので再度調べたら、執事が横領していた事が分かりました」
「そうこうしている内に、沢山の動物や魔物が現れた訳ね」
「はい、執事は様々な所から横領を繰り返していて、防衛費も横領していました。その為に、かなり前から十分に動物や魔物を狩ることが出来ていませんでした。そこで僕は信頼する兵に手紙を託して、辺境伯領に向かってもらいました」
「そして、執事を追求したら執事が蛮行を働いたって訳ね。大変だったわね。でも、その判断は正しかったわよ」
ティナおばあさまが、優しく話しながらランディ様から事情を聞いてくれた。
恐らく、執事は相当前から横領を繰り返してきたはずだな。
「実は数日前から商隊の往来が滞っていました。往来が減った背景に執事が絡んでいるのか分からないのですが、餓えている人もいたので炊き出しを行っておりました」
「いい判断だわ。あなたはきっと良い領主になるわ。今は私達に任せて、あなたはしっかりと療養して下さい」
「はい、ありがとうございます」
まだ学園を卒業したばっかりなのに、ランディ様はかなりしっかりとした人物だ。
両親の反面教師とはいえ、今の危機を乗り切ればブランターク男爵領の未来は明るいだろう。
ランディ様にはしっかりと養生して貰って、その間は僕達が頑張らないといけないな。
「大丈夫ですか? 私は王国王族のティナです」
「ああ、良かった。手紙が届いたんですね。僕はランディ、ブランターク男爵家の当主です」
ティナおばあさまの手で起こされたのは、やはりブランターク男爵家の当主だった。
ランディ様は何とか半身を起こして、話を始めました。
「実はそこの執事が横領している事が分かったので追求していたら、いきなりナイフで刺されました」
「私はちょうどその場面に遭遇しまして、同じく執事に刺されました」
ランディ様と侍従の話を聞いたティナおばあさまは、怒り心頭です。
タブレットで情報を王城に伝えた後、組み伏せられている執事に丁寧だけど冷酷な口調で話し始めました。
「貴方の身柄は王城に送られる事になりました。殺人未遂もありますが、どうやら先代の頃から横領していたのでしょう。まあ、厳しい取り調べを受ける事を覚悟してください」
「ぐっ」
拘束された執事は、王城の軍の施設にゲートを繋いだ後連行されました。
そして、数人の兵が代わりにやってきて、屋敷の捜索を手伝ってくれるそうです。
ともあれランディ様と侍従は出血した後なので、ベッドに運ばれました。
ランディ様は、ベッドから身を起こして僕達に話しかけました。
「僕は三月に学園を卒業したばかりで、他に兄弟はおりません。そして、学園卒業と時を同じくして両親が相次いで亡くなりました」
「その辺りは王城にも連絡があったわ。確か、突然死だとか」
「はい、胸を押さえて急に倒れました。まあ、かなり太っていて今まで贅沢三昧をしてきたツケが回ってきたのでしょう」
ランディ様の話を聞く限り、両親は心臓病だったのだろう。
太り過ぎは良くないですね。
「その後、帳簿を調べたらかなりの借金を背負っている事が分かりました。その為、屋敷にある売れるだけの物を売却しました。しかし、売却額と実際に返済された額が違うので再度調べたら、執事が横領していた事が分かりました」
「そうこうしている内に、沢山の動物や魔物が現れた訳ね」
「はい、執事は様々な所から横領を繰り返していて、防衛費も横領していました。その為に、かなり前から十分に動物や魔物を狩ることが出来ていませんでした。そこで僕は信頼する兵に手紙を託して、辺境伯領に向かってもらいました」
「そして、執事を追求したら執事が蛮行を働いたって訳ね。大変だったわね。でも、その判断は正しかったわよ」
ティナおばあさまが、優しく話しながらランディ様から事情を聞いてくれた。
恐らく、執事は相当前から横領を繰り返してきたはずだな。
「実は数日前から商隊の往来が滞っていました。往来が減った背景に執事が絡んでいるのか分からないのですが、餓えている人もいたので炊き出しを行っておりました」
「いい判断だわ。あなたはきっと良い領主になるわ。今は私達に任せて、あなたはしっかりと療養して下さい」
「はい、ありがとうございます」
まだ学園を卒業したばっかりなのに、ランディ様はかなりしっかりとした人物だ。
両親の反面教師とはいえ、今の危機を乗り切ればブランターク男爵領の未来は明るいだろう。
ランディ様にはしっかりと養生して貰って、その間は僕達が頑張らないといけないな。
感想 306
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約者が心酔している盲目の聖女は私ですが
オトナシマソラ血を見ると倒れてしまうため、目隠しをして治療をしていたら「盲目の聖女」と呼ばれるようになってしまった聖女セレナ。
幼馴染の婚約者アレンは、セレナ=盲目の聖女だと気づかず、彼女を冷遇し婚約破棄を言い出す。
婚約を解消したセレナは、過保護な神官見習いのルカに溺愛され、新たな道を歩むことに。一方、夜会でついに真実を知った元婚約者はすべてを失い絶望するが、もう手遅れで……。血が苦手な訳あり聖女の逆転ラブストーリー
※本作品はになろうにも掲載しています小説家
捨てられた赤ちゃんを拾ったら、創世神様でした。世界を救うより、お父さんを幸せにしたいそうです
由香山で捨てられていた赤ちゃんを拾い、家族として育てることを決めた青年。
その日から、枯れた大地は実り、病は癒え、伝説のもふもふ神獣たちが次々と家へ集まってくる。
実はその赤ちゃんの正体は、この世界を創った創世神だった。
「いっぱい育ててくれてありがとう。今度は私がお父さんを幸せにする番だよ。」
これは、神様が初めて手に入れた”家族”との、優しくて温かな奇跡の物語。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有 子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。
水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います
黒木 楓 伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。
異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。
そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。
「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」
そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。
「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」
飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。
これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【流血】とある冒険者ギルドの会議がカオスだった件【沙汰】
一樹とある冒険者ギルド。
その建物内にある一室、【会議室】にてとある話し合いが行われた。
それは、とある人物を役立たずだからと追放したい者達と、当該人物達との話し合いの場だった。