月の影に隠れしモノは

しんいち

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襲撃

140 鬼狩り!3

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 周りに集まって、静かに聴いていた皆…。テルの話で、事情は理解した。
 が、まだ環奈が捕らわれたままで放置されているのだ。早く助けたいと、杏奈・沙織・えみが、特にソワソワして落ち着かない。

「よ~し、環奈ちゃんも放って置けないから~、つき、お願い!」

 恵美は、自分の子を指名した。
 しかし、指名されたつきは何のことか分からず、首を傾げる。

「ん? 金縛り解除よ~! 鬼ちゃんの金縛りを解除してやって」

 と、具体的に言われて、やっと理解はしたが…。

「え? 私、出来ないよ。あんなの!」

との回答…。

「あ、あれ~? じゃあ、うたは~?」

 ならばと、続けて恵美は、近くにいた杏奈の子を指名…。

「無理、無理! あんなのできるの、さとちゃんだけ!」

 うたも、ブンブンと首を横に振った。

「そうなの~? じゃあ、さと、お願い~」

 暗がりにまぎれるようにしていたさとに依頼するも…。

「嫌だ~! 母様だからやったのよ。なんで私が、鬼とキスしなければならないの!」

 さとは、あいを盾にしてサッと身を隠した。

「こら、さと。 そんなこと言わずに、やってやれよ。一生あのままでは可哀想であろうが」

 母親の祥子も、さとに促す。…が、

「嫌なものは嫌! ぜ~ったい、イヤ!」

 さとは、そっぽを向いてしまう。
 彼女は、けっこう頑固がんこ者だ。こうなると、意地になって言うことを聞かない。困って、慎也がさとの頭をでた。

さとちゃん。お願いだよ。君しか出来ないんだから…」

 さとうつむいてしまう。そして小声で言った。

「キスは嫌だもん…。でも、動けるようにすればいいんでしょう?」

「他にも、方法あるのかい?」

「たぶん、出来る!」

「じゃあ、それでお願い」

 さとは慎也に向かって頷いて、ふところに手を突っ込む。
 そして、やおら、あやしい物を取り出した。
 皆、それを見て、ギョッとする。

 …張形はりがた。つまり、男根の作り物…。白いシリコン樹脂製。それも、かなり大き目。

「ななな、何でそんなもの!」

 月光だけの暗い中、間近で愛娘まなむすめから見せつけられたものに、一番驚いたのは慎也だった。
 が、やはり、他の皆も一様に引いていた。

「昨日、恵美母様からもらったの」

 さらっと出てきたさとの言葉で、白い視線がツツーッと恵美に集中…。

「あ、い、いや~。だって、この子たち、鬼の嫁になる運命らしかったし~、性生活についても教えておかないと、やっぱ駄目でしょう~。
 それの教材として使った後、欲しそうにしてたから上げたんだけど~」

「あ、あんたという人は~!」

 沙織が、ツカツカと恵美の前に歩み寄った。今にも引っぱたきそうな雰囲気である。

「沙織、落ち着いて! 別に、入れてはいないわよ。彼女たちは、まだバージン! こんな形で、こんな大きさのものが入れられるって、分かってた方が良いでしょ!」

「あ~、もういい! 口に出すな。恥ずかしい!」

 沙織は怒鳴って、そっぽを向いた。
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