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鬼の世界へ

30 イマの仕事1

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 翌日。屠殺予定時刻…。

「美玖、ホントに見るのか? きっと、想像してるのと全然違うぞ」
「そうだぞ。止めるなら、今だぞ。止める方をお勧めする」

「いや、見ます。大丈夫です」

「そ、そうか? 警告はしたからな。きっと後悔すると思うぞ。じゃあ、カリ、頼む」
「分かったイマ。任された」

 イマさんは作業に専念し、解説はカリさんがしてくれます。
 場所は住居区域内の、専門の建物。繁殖施設は牧場にも農場にも隣接していましたが、こちらは、どちらとも少し離れています。何故か…。
 それは、最後の叫び声が聞こえたりしないようにとの配慮だとか。防音にはなっているようですけど、念のためだそうです。

 今日みたいに二人同時というのは、年末以外には珍しいとのこと。一人は12歳になった男の子で、もう一人は17歳相当(実年齢13歳)の女の子です。
 最初に処理されるのは男の子の方。イマさんに連れられ、農場の通用口から住居区域に入れられ、施設の方へ入室してきました。既に首輪は外されています。
 当然本人は、自分が殺されるなんてことは知りません。そして、送り出した仲間たちも…。
 本人は、それで良いでしょう。いや、その方が良いでしょう。でも仲間たちは、帰ってこなければ不審に思います。

「牧場勤務になると説明されているのだ。
これは名誉なこととされて、皆に祝われて出て来ている」

 お祝いされて出て来て、食肉にされる…。やっぱり、可哀想……。

 私とカリさんは特殊ガラスの監視室内にいます。繁殖施設と同じで、こちらからはハッキリ見えますが、向こう側からは見えない仕組みです。
 小声でなら話しても大丈夫だそうですが、大きな声は控えるように言われました。
カリさんが小声で説明してくれています。

「牧場勤務に入る前に、詳しく体の検査をすると説明されている」

 男の子は、自分で裸になりました。今のところ、不安そうな素振りはありません。
 奇妙な台が用意されています。ベッド状ですが、端に近い方に縦長の大きい木枠がついています。

 屠殺場の方からの声。イマさんです。
向こう側の音は、こちらでも聞き取りやすい構造になっているようです。
 そのイマさんは、いつの間にか手術着のような格好に着替えていました。

「今日は、牧場勤務前の大切な検査だから、念入りにする。
いつもより器具を中まで入れるから、動かないように首を固定するぞ」

 男の子、不安そうな顔。

「大丈夫だ。たぶん、いつもよりもずっと気持ちイイ。
気持ち良過ぎて動くと危ないから、固定するだけだ」

「そ、そうですか」

 全裸の男の子は自分から台に乗っかります。四つん這いになるようにして、首は木枠下部の半円の凹みに置く感じです。
 お尻を突き出した結構卑猥な格好。お尻の穴が丸見え。あ、当然『男の子の部分』もです。
年下の男子とはいえ、私、ちょっと赤面です…。

 木枠の上部から半円の部品が下ろされ、首が丸い穴に入った状態で固定されます。

「えっと、あれ、もしかして、ギロチンですか?」

 直ぐ隣のカリさんに小声で訊きました。

「そうだ。木枠の最上部に刃が隠れている。でも、本人は、そんなこと知らない。検査されるだけだと思っている」

「検査?」

「そう検査。美玖もやられなかったか。肛門に器具を突っ込んで、大便を抜き取る」

 むううっ…。ナユさんにやられた、あ、あの屈辱的な検便!
 そう、やられたんですよ、検診時に。検査の為だって言われて、お尻からウンチを抜き取られました!
「今、自分で排泄しても良いよ」って言いますけどね。そんなの直ぐに出るもんじゃないんですからね。
「それなら抜く」って言って、何かクチュクチュお尻の穴に塗られて、ズブズブズブッて、変な器具をカナリ奥の方まで突っ込まれて、中身をグググ~ッて抜きとられたんですううう~!
 入れられたモノは硬くなかったから痛くはなかったけど……というか、ちょっと、気持ち良かったけど……。

「白首輪の男は、ときどき、あの検査を受ける。美玖の場合は本当の検査だったろうけど、アイツらの場合は検査自体に殆ど意味はない。あれに慣れさせるためだ。
自分であの台に乗らせるため。首を固定されても、違和感を抱かせない為。そして、あの気持ち良い検査を期待しながら楽に死なせる為。更には処分後の腸内汚物処理の都合」

「へ? 腸内汚物処理?」

「そう。死ぬとニンゲンは失禁するし、大便も漏らす。汚い。
ここに来る前に尿は排泄させてある。後は大便。
すべては抜けないが、あれで出口近くにある分は除去できる。
この後は速やかに解体してハラワタを抜けば、外に漏れ出ない」

 う、うへえ~、そんな理由・・・。

「見ろ、美玖。あいつの顔。明らかに検査を期待している。
ナユはイカレテいるが、こういう変態的器具を考えたり作ったりするのは天才」

 あ~、これもナユさん作か。こういうので気持ち良い思いをさせて、更に手なずけているのね。なるほど変態的だけど、確かに天才かもね。
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