成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「ーーそれは思い違いだったと、まだ理解できませんの?」
「証拠もないのに、こんな大勢の前で“人殺し”だなんて……」
「貴女の態度は目に余ります! この件については、実家を通してフォルステル家に苦情を入れさせていただきますわ!」

 そしてそんな女性陣の後に続きゼクスも言葉を続けた。

「ーー当然だけどラッフィナート男爵家とラッフィナート商会も正式に苦情を入れさせてもらうよ? ……俺の婚約者は人殺しなどでは無い」

 ビアンカたちの言葉には唇を噛み締め、ギリギリと手を握りしめていたユリアだったが、続くゼクスの言葉に驚愕の表情を浮かべ、まるで裏切られたかのような様子で喚き始めた。

「ーーどうして! なんでゼクス君まで……脅されてるんでしょ⁉︎ 本当はこんな子と結婚なんてしたく無いんでしょ⁉︎ 今ならその子の悪事を世間に知らしめられるのに! ボスハウトなんか怖くないのにっ!」
「……またその話? 何回も説明したと思うけど、この婚約を持ちかけたのはラッフィナート側。 ーー事実でもないことを事実かのように言われるのは不愉快でしかない」

 そんなゼクスの言葉に唇を噛み締めたがユリアだったが、ハッと気がついたかのように背後を振り返り、自分を支えてくれている友人に向かって怒鳴りつけるように口を開いた。

「ねぇ貴女からもちゃんと説明して⁉︎ 貴女がちゃんと説明してくれないからゼクス君全然分かってくれないじゃないっ!」

 そう声をかけられたベッティは、気まずそうにウロウロと視線を彷徨わせたが、思いの外周りの人々と目が合ってしまったのか、肩をすくめながらコソコソとユリアに話しかける。

「ね、ねぇ……こんな騒ぎにするの良くないよ……? 今は授業中なんだし、一度冷静になってからーー」

 ユリアを落ち着かせようと思ったベッティの言葉は全くの逆効果で、その言葉を聞いた途端、ユリアは顔を赤く染め目をキリキリと釣り上げる。

「冷静⁉︎ 私のギフトが取られたのよ⁉︎ ベッティが言ったんじゃない! そのギフトがあれば、絶対にレオンと結ばれるって!」
「そ、れは……」

 ベッティは気圧されるかのようにジリジリと後退り、顔色を悪くしながらチラチラとゼクスたちの反応を伺いはじめる。

(ーーえ? 守護のギフトがあれば、絶対にレオンと結ばれるーー? どういうこと? なんでそれをベッティが⁇ ……お助けキャラにはそんな知識がデフォで備わっている……?)

 一人首を傾げるリアーヌだったが、興奮し切ったユリアの言葉はまだ止まらない。

「なによ! 言ったでしょ⁉︎ 貴女のギフトでーー」

 そこまで言ったユリアを慌てて止めようとするベッティ。
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