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〈悪役王子〉と〈ヒロイン〉花街編
【14】三日目――騎士様と、大剣で −1− ★
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ばちゅん、ばちゅんっと濡れた肌のぶつかり合う音が閨に響く。
淡い金色の髪をした男は、女の腰を後ろから掴み、張りつめた雄茎をその陰唇と花芽に何度も擦り付けていた。彼の青紫色の瞳の前では、娼妓の白く華奢な背が、汗の粒によってきらきらと輝いている。
「やぁっ、ふぃ――ゆ、ユウ、さま、またぁ……!」
色を纏った声を上げたかと思えば、娼妓はぶるりと身を震わせ、今宵何度目かの絶頂を迎えた。しかし客の動きは止まらない。挿入はしないまま、己の雄芯と女の蜜口とを重ねたまま。
「あ、あぁっ、あ。やらっ、止ま――」
嫌な感覚をおぼえた娼妓は、ふたりの重ね合わされたところへと手を伸ばそうとするも、数拍遅く。
(だめ、また、出ちゃう……ッ!)
ぱしゃ、ぱしゃ、と音を立て、シーツの上の水溜まりに新たな潮が落ちていく。こうなると、腰を打ち付けられる度に吹いてしまう。
アリシアはそれを知っていた。この夜のうちに、もう分からせられていた。
「ひあぁ……はぁ、あぁぁ……」
昨晩以上にぐじゅぐじゅにされ、高く掠れた声が唇から漏れる。
(びしょびしょにさせたがるお客様は、多いから、って。楽に吹ける感じ方を習って、そのための食事や薬も、とっていたけれど。ユウ様は特にすごいらしい、って、仕込みもさせていただ――あっ)
根元は媚肉に触れさせたまま、アリシアの臍の下あたりまで届いた切先に、彼は己の手を添えた。それから、グッ、グッ、と彼女の下腹部を押すような動きをする。
「あぁっ、そこ、一緒、だめぇぇええ……!」
青楼に来るより前から知る感覚に、アリシアは叫ぶ。
(だめ、だめっ、これは、だめ。こんな、感じてるのに、いまっ、子宮、揺れ、ちゃ……!)
フィリップらしい責め方だ。と心のどこかが冷静にときめく。彼との思い出が積もった責め方に、彼女の身体はぴくぴくと跳ねた。
肌の上から触れられ、押され、揺らされるだけで、彼女は情けなく絶頂させられる。そのように、もうフィリップに開発されている。
(おなか、きもちいい……っ)
いつものように手だけでマッサージされるのではなく、彼の雄に外から押され、大事な子宮を揺さぶられて――そんな初めての状況に興奮してしまったのか、いつもより早く、アリシアの感覚はあっという間に頂まで達した。
「やあああぁぁ! い、イく、また、イきます……!」
深く広がる快感に、ぷしゃあああっとより勢いよく潮を吹く。もう出ない。空っぽだ。でも、さっきもそう思ったはずなのにまた吹いてしまった。またすぐに溜まって吹いてしまうのかもしれない……。
アリシアは自分の身体の変化に恐怖を感じつつ、この快楽を手放せる気がしないと喜びながら憂いた。
「イリス」
と娼妓の源氏名で呼びながら、彼はアリシアを責めるのをやめ、ころんと仰向けにさせた。彼の顔を見て、アリシアはまたドキリとする。
目の前にいる男の容貌は、フィリップのものとはまるで違う。髪はやわらかな金色で、瞳は夕方の空の青紫色。顔も、体付きも、みんな違う。さっきの声だって、もちろん違っていた。
アリシアの今宵の相手は、ユウ様――ユースタス・セルナサスだ。見た目のうえでも、手続きのうえでも、彼女は彼に買われて愛されたことになっている。しかし中身は、本当のユースタスではない。
「アリシア」
「……っ、はい」
耳元で彼が囁く時、その声を呪った魔法は解けて。彼は本当のフィリップの声に戻ってくれるのだ。
アリシアも彼の耳に触れて、その変わらぬ形に安堵する。ひどく愛しいと思う。
「いっぱい強くして、ごめんね……。今度は、ゆっくり、するね」
フィリップらしい優しい口調でそう言って。
ユースタスの顔をした彼は、アリシアの太腿に触れた。
すると今度は一転。
深い色の瞳で見下ろして、ユースタスの声で、ユースタスの言い方で、
「じゃあ――開くぞ」
「あ……!」
両の膝を掴んで、アリシアの脚を大きくぱかりと開かせる。先ほどまで責められていた蜜口は、今もひくひくと物欲しげに蠢いていた。
「腰を浮かせろ、イリス」
「はい、ユウ様……。ぅんっ」
言われるがままに腰を上げると、その下に彼の手がすばやく入り込む。そのままグンッと持ち上げられて――
「……あ!? やあっ!?」
淡い金色の髪をした男は、女の腰を後ろから掴み、張りつめた雄茎をその陰唇と花芽に何度も擦り付けていた。彼の青紫色の瞳の前では、娼妓の白く華奢な背が、汗の粒によってきらきらと輝いている。
「やぁっ、ふぃ――ゆ、ユウ、さま、またぁ……!」
色を纏った声を上げたかと思えば、娼妓はぶるりと身を震わせ、今宵何度目かの絶頂を迎えた。しかし客の動きは止まらない。挿入はしないまま、己の雄芯と女の蜜口とを重ねたまま。
「あ、あぁっ、あ。やらっ、止ま――」
嫌な感覚をおぼえた娼妓は、ふたりの重ね合わされたところへと手を伸ばそうとするも、数拍遅く。
(だめ、また、出ちゃう……ッ!)
ぱしゃ、ぱしゃ、と音を立て、シーツの上の水溜まりに新たな潮が落ちていく。こうなると、腰を打ち付けられる度に吹いてしまう。
アリシアはそれを知っていた。この夜のうちに、もう分からせられていた。
「ひあぁ……はぁ、あぁぁ……」
昨晩以上にぐじゅぐじゅにされ、高く掠れた声が唇から漏れる。
(びしょびしょにさせたがるお客様は、多いから、って。楽に吹ける感じ方を習って、そのための食事や薬も、とっていたけれど。ユウ様は特にすごいらしい、って、仕込みもさせていただ――あっ)
根元は媚肉に触れさせたまま、アリシアの臍の下あたりまで届いた切先に、彼は己の手を添えた。それから、グッ、グッ、と彼女の下腹部を押すような動きをする。
「あぁっ、そこ、一緒、だめぇぇええ……!」
青楼に来るより前から知る感覚に、アリシアは叫ぶ。
(だめ、だめっ、これは、だめ。こんな、感じてるのに、いまっ、子宮、揺れ、ちゃ……!)
フィリップらしい責め方だ。と心のどこかが冷静にときめく。彼との思い出が積もった責め方に、彼女の身体はぴくぴくと跳ねた。
肌の上から触れられ、押され、揺らされるだけで、彼女は情けなく絶頂させられる。そのように、もうフィリップに開発されている。
(おなか、きもちいい……っ)
いつものように手だけでマッサージされるのではなく、彼の雄に外から押され、大事な子宮を揺さぶられて――そんな初めての状況に興奮してしまったのか、いつもより早く、アリシアの感覚はあっという間に頂まで達した。
「やあああぁぁ! い、イく、また、イきます……!」
深く広がる快感に、ぷしゃあああっとより勢いよく潮を吹く。もう出ない。空っぽだ。でも、さっきもそう思ったはずなのにまた吹いてしまった。またすぐに溜まって吹いてしまうのかもしれない……。
アリシアは自分の身体の変化に恐怖を感じつつ、この快楽を手放せる気がしないと喜びながら憂いた。
「イリス」
と娼妓の源氏名で呼びながら、彼はアリシアを責めるのをやめ、ころんと仰向けにさせた。彼の顔を見て、アリシアはまたドキリとする。
目の前にいる男の容貌は、フィリップのものとはまるで違う。髪はやわらかな金色で、瞳は夕方の空の青紫色。顔も、体付きも、みんな違う。さっきの声だって、もちろん違っていた。
アリシアの今宵の相手は、ユウ様――ユースタス・セルナサスだ。見た目のうえでも、手続きのうえでも、彼女は彼に買われて愛されたことになっている。しかし中身は、本当のユースタスではない。
「アリシア」
「……っ、はい」
耳元で彼が囁く時、その声を呪った魔法は解けて。彼は本当のフィリップの声に戻ってくれるのだ。
アリシアも彼の耳に触れて、その変わらぬ形に安堵する。ひどく愛しいと思う。
「いっぱい強くして、ごめんね……。今度は、ゆっくり、するね」
フィリップらしい優しい口調でそう言って。
ユースタスの顔をした彼は、アリシアの太腿に触れた。
すると今度は一転。
深い色の瞳で見下ろして、ユースタスの声で、ユースタスの言い方で、
「じゃあ――開くぞ」
「あ……!」
両の膝を掴んで、アリシアの脚を大きくぱかりと開かせる。先ほどまで責められていた蜜口は、今もひくひくと物欲しげに蠢いていた。
「腰を浮かせろ、イリス」
「はい、ユウ様……。ぅんっ」
言われるがままに腰を上げると、その下に彼の手がすばやく入り込む。そのままグンッと持ち上げられて――
「……あ!? やあっ!?」
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