【R18】オトメゲームの〈バグ〉令嬢は〈攻略対象外〉貴公子に花街で溺愛される

幽八花あかね・朧星ここね

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〈ヒーロー〉と〈悪役令嬢〉編

【59】シシリー・セルナサスと初夜 −6− ★

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「ひぅ、ひゃ……?」
「可愛い――」

 かわいい可愛い駄目だめ可愛いと壊れたように繰り返して、蜂蜜みたいに。ユースタスは甘くとろけた表情をする。

 可愛い、キス、駄目、キス……と首元や胸元を啄むように口づけながら繰り返す。

「可愛い。駄目。かわいい。無理……」
「なっ、なん、馬鹿にしないでぇ! 馬鹿兄様!」

 シシリーはユースタスの頬をむぎゅっと摘まみ、彼を止めた。が、先ほどの絶頂の余韻に全身がじんわりと痺れるようで、指先にうまく力が入らない。

(こんなに美しい顔なのに、無様にほっぺた歪まされちゃって可愛い――って違うわ!)

 気を取り直して、さらに強く摘まんでやった。精いっぱいの力でぎゅっとした。

「んむ、シシリー……」
「にいさま」

 彼の瞳の青紫が、今はまるですみれの砂糖菓子みたいに見える。ぶどう味の飴玉に見える。

「っ、本当に、可愛いな、おまえ。可愛い。だいすき」
「~~っ! 馬鹿! お馬鹿!」

 まるで子どもの時みたいに、ユースタスは彼女を「可愛い」とばかり言う。でろでろに甘く可愛がる。

 シシリーは何度も果てさせられているのに、彼はまだ一度も射精していないくせに。こんな気持ちよさそうな顔をしないでほしい。かえって腹が立つ。嫌味かしらと苛々する。

「本当に怖いのっ! 初めてなのに、きもちくなっちゃって……やだぁ……。私、淫乱じゃないもん、誘惑してないもん……」
「ああ、わかってる。いつも頑張ってたもんな。姫さまを守りながら、よく動いて。うん……。偉いよ」

 どうして、今、対オトメゲーム戦の時のことを褒められるのか。まったく意味がわからない。

 こんなに優しく、あたたかく交わるのは知らない。怖い。顔が熱くて仕方がない。恥ずかしい。

 大きな手がシシリーの頭を包み、また子ども相手にするみたいに撫でてくる。これも気に入らない。気に入らない。

「もうっ、よしよししないで……」
「俺らがいない時は、色仕掛けするな、っていう言いつけを守って。苦手でも、ちゃんと、できるかぎり、自分の体も大切にしてくれたもんな。いい子いい子」
「やっ、やだぁ、やだぁ……いい子じゃない……」
「それでも可愛いよ。愛してる。もう、動いてもい?」
「ずっと、動いてほしかったの……! がんがんされないと、優しいの、知らなくて怖いの……っ」
「ん、これから優しいのも覚えような。手、繋ごうか」
「うぅ……」

 自然と恋人つなぎの形に指を組まされ、両手をシーツの上に縫いつけられる。

「じゃあ、動くよ」
「ん……」

 触れた手のひらは、汗か何かで濡れているけれど、それも嫌じゃなかった。

 彼の体液でも、自分の体液でも、こうしてぐちゃぐちゃになっていくのは気持ち悪くない。

(なんで、こんな……、本当に好きな女と、シてるみたいに、するの)

 解きほぐすように浅瀬を突かれ、とん、とん、と優しい刺激が中を打つ。動かれると余計に気持ちがよくて、また腰が逃げたくなった。

「っ、くぅ」
「逃げんな、頑張れ」
「だ、だってぇ……これ、きもちいい……っ、つらい! すごいっ、好いとこ擦れてっ、うぅぅ」
「可愛い、シシリー。好き。俺の妹、やっぱ最高にかわいいな」
「あ、あぁ、兄様……っ」

 シシリーはユースタスの腰に脚を絡めて、彼の首筋をかぷりと噛んだ。すると彼の肩が跳ね、熱く嬉しそうな吐息がこぼれる。

「……っ、これは、止めなくていいやつ、だよな。甘噛みか? うん?」
「わざわざ言わないで! 馬鹿!」
「ん」

 ぐちゅ、ぐちゅ、とふたりの間で淫らな音がたつ。シシリーはさらに高められていく。

「兄様ぁ……」
「ああ、しよう」

 そう呼んだだけで、もう兄には伝わったようで。シシリーが顔を上げると、ユースタスはすぐにキスをしてくれた。

(兄様のキス、気持ちいい……)

 ご立派な雄茎で丁寧にほぐされて、シシリーはぐずぐずになってしまう。熟れた果実や砂糖まみれのジャムみたいになってしまう。

 ユースタスは腰をゆるく動かして、ひたすらに優しく彼女を愛した。

「兄様、おちんちん、すごい……すごい……! あぁ」
「何度も見て、見慣れていても。挿入すると、やはり違うんだな……。ぐっ、シシリーも、すごく良いよ。想像以上だ。可愛くて、綺麗で。……もう聞こえてないか? イきそう?」
「はあぁ、兄様ぁ、出ちゃう、もう出ちゃうの、あぅ……」
「ああ、イけよ」
「見ないでぇ、見なっ、イっちゃあぁ――!」

 またもや達し、潮を吹く。きゅうきゅうと蜜壺がきつく締まり、中にいる彼の存在をはっきりと感じてしまう。

「はぁぁ……」
(また……私だけ……)

 こんなにしているのに、彼はまだ果てていない。

「兄様、も、イって……? もっと、きゅうって、すればいい……?」
「水揚げの儀だから、俺がおまえを導くよ。無理すんな」
「私っ、娼妓、なのに……」
「めちゃくちゃに気持ちいいから、大丈夫――」

 シシリーの呼吸が整うまで、いちいち優しく待ってから。ユースタスはまた彼女を穿った。

(ユウ兄様……兄様……)

 気持ちよくて、ふわふわして、なにがなんだかわからない。もうわからない。

「――ぅあぁ!?」
「可愛い」

 グッと腰を持ち上げられて、愛液の泡立つ秘処を見せつけられる。見られてしまう。

「あぁぁ、ユウ兄様ぁ、あぁ、見ないれぇぇ」
「ごめん、見たい」
「~~! へんたい! っ、あうぅぅ――!」

 そんなふうに開発したわけでもないのに、潮吹きが止まらない。何度も何度もしてしまう。

「あぁぁ! この吹かせたがりっ! 変態紳士!」
「べつに吹かせるのが性癖ってわけでもないんだが……。なんというか、こう、俺の形で、俺のしたいように動くと、そこに当たってしまうようだ。悪いな」
「っ、この俺様騎士め……! あっ、待って、らめぇ、しょこ――っ!」

 どこだろう、わからないけれど、好いところに。彼の雁首が引っかかり、ガクガクと腰が震える。また果てる。

「あぁ、はぁぁ」
「ここも、駄目なのか……。弱ったな…………。はぁ」
「な、なによぅ……!」
「俺が気持ちいいように動いたら、おまえのいいところをまた突いてしまう、困ったな」
「声がっ、ぜんぜん、困ってないっ! 嘘つき!」
「困ってるさ。おまえを潰してしまいそうで、怖い」
「潰れないっ、から、早く、出してぇ! 私ばっかり怖い!」
「……出しても、早漏だって笑わない?」
「ぜんぜん! 早漏じゃない! でしょ! 馬鹿ぁ!」

 兄妹喧嘩のように、甘えた妹のように。またこんな言い方をしたシシリーに、ユースタスは。

「愛してるよ」

 そう、優しく、甘く囁いて――

「あうっ、うぅ」
「もう、そろそろ、俺も、本当にイきそうだ……。なあ」
「うんっ、中に、してっ!」
「ああ」
「――っ!」

 熱いものが迸る。

 この世界では初めて膣内に吐精され、またも果て。ぎゅっと目を瞑ったシシリーの瞼の裏には、魔界の光景が鮮やかに蘇った。

(あの日、私とユウ兄様は……)

 過去、ここではない世界で、これとは違う身体で。

 シシリーは、兄ユースタスの精液を肚にいただいたことがあるのだ。
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