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第二章
23.練習(3)
しおりを挟む「……そうね。そしたら最後に私にかけてみてくれない?」
「ソフィアさんに?いいんですか?」
「全然いいわよ!!実際に人に魔法をかけるとなると少し勝手が違うのよ!!だから、あと1回だけ私にかけてみてくれるかしら!!」
自分に治癒魔法をかける際は、光の大きさを意識して作った光を自分に吸い込ませるイメージで行っていた。
他者となると確かにイメージが湧きにくい。染み込ませるように……かな?
「人に治癒魔法をかけるときはね、作った光を他人の中に巡らせるイメージを持つの。だけど、それだけだと魔力の消費が大きくて最悪昨日のスミレみたいに意識を失うこともあるのよ!!だから、小さく凝縮した魔力をピンポイントに患者さんの主訴へ送り込むイメージになるわね!」
……染み込ませるのはちょっとニュアンスが違ったようだ。
「では、やってみて!!そしたら私の首の付け根にお願いしようかな!!」
ベットに座っているので目の前にソフィアさんがしゃがみこんでうなじを指さす。
「やってみます!」
───
─────
──────……
「──スミレ。大丈夫?」
「……ソフィアさん?──っわ!!」
重たい体をゆっくりと起こした瞬間、
がばっとソフィアさんが私に抱きついた。
「私が付いていて、指導しながらなのにごめんなさい!!またスミレ、魔力切れで気を失ったの!!あと1度なら大丈夫と思った私の判断ミスよ。……本当にごめんなさい」
とても申し訳なさそうな顔で謝るソフィアさん。どうやら私はまた魔力切れで気を失ったらしい。
「しかし、まだ余力が残っていると個人的にも感じていたし、無理をしたつもりは無かったのですが……」
「……多分だけど、送り込む時に凄い沢山の魔力が勢いよく送られてくるのを感じたわ。沢山送りすぎちゃったのかも。首が少し痛かったんだけど、首だけじゃなくて全身が軽いわ」
沢山送り込むつもりは全く無かったのだが、また無駄に多く消費してしまったようだ。
「これ、訓練で治りますかね……」
「自分を治癒するのは練習で改善できてるし、なんとかなると思う。ただ、患者さんに行えるかっていうと目の前で倒れても大変だし、訓練を重ねてからになるわね」
無駄に魔力を使いすぎてしまう自分の不器用さに少し悲しくなる。訓練でなんとかなるこであれば、頑張るしかないのだけれど。
「スミレ。お詫びに全身癒すわね!」
「え、いいんですか?」
「あたりまえよ!!気を失ったりしなくても最後にかけるつもりだったの!!他人から流れてくる魔力も感じてみてほしいのよ!!」
ソフィアさんが全身に治癒魔法をかけてくれて、本日の練習は終了したのだった。
ソフィアさんの治癒魔法の光は全身を優しく包み込み、ゆっくりと体に染み渡って行くのがわかった。
自分の魔法と比較してみると、確かに一気に魔力を送り込んでしまっていた気がする。
……ゆっくりと丁寧に送り込むイメージなのかな?明日も倒れないように気をつけながらソフィアさんで練習させてもらおう。
応援ありがとうございます!
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