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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【糾弾ホームルーム篇】
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「今回のアベンジャーは間違いなく星野崎だ。その証拠は――アベンジャーが勝った時に叶えられる願いにある。そして、これこそが姫乙の犯した決定的なミスでもあるんだ。今だからこそ言えることだけど、アベンジャーへのご褒美が提示された時点で、僕達は犯人が星野崎であると気づける余地があったんだよ」
もうたくさんだ。こんな形で注目されることも、目立つことも。そして、賞賛されることも。自分は地味で目立たない男子高校生でいい。大人になってから振り返った時に、高校時代こそ暗黒時代だったと思えてもいい。そう、昼安藤は昼安藤のままでいいのだ。
「結構。この姫乙のどこに間違いがあったのでしょうかぁ? カメラに向かってお答えくださいぃぃぃぃ。さぁ、この状況を見守っている国民の方々へと向けてぇ、何が間違っていたのかを教えて差し上げるのですぅ」
姫乙がやけにカメラを意識させるのは、土壇場で余計なプレッシャーを与えるためだろう。この状況下で安藤に精神的な重圧を与え、万が一にも安藤がミスを犯すように誘っているような気がする。――ならば負けない。そんなに弱い人間ではないことを証明してやろうではないか。
「姫乙、その前に僕からお願いがある。ホームルームが始まる前に読み上げたように、もう一度だけアベンジャーへのご褒美の内容を読み上げてもらえないかな? もちろん、カメラに向かってね」
やり返す。姫乙が精神的な重圧をかけてくるのであれば、こちらも同じように攻撃させてもらう。自分が明確やミスをしてしまった部分を、カメラ越しに自ら晒さなければならなくなるのだ。これは屈辱であろう。姫乙の表情が引きつったように見えたのは、きっと気のせいではない。
「えぇ、構いませんよぉ。確か――アベンジャーを含む2年4組全員皆殺しです。今回のは残酷でありながらシンプルなものでしたからぁ、はっきりと覚えていますぅ」
そう、今回のアベンジャーの願いはいたってシンプル。残酷でありながらも、その内容はアベンジャーを含む2年4組の皆殺しだ。しかし、実はこのような形で願いを出すのは、星野崎以外に考えられないのだ。
「もし僕がアベンジャーだったら、多分、こういう形でお願いしていただろうね。つまり、アベンジャー全員皆殺し――とね」
安藤が静かに言い放つと、ずっと黙っていたアンジョリーヌが「えっ?」と漏らす。本人が意図せずに出てしまったものだったのか、慌てて口元に手をやる。もちろん、そんなことをしても漏れてしまったものは漏れてしまったのだが、そんな仕草が少しだけ可愛くも見えた。
もうたくさんだ。こんな形で注目されることも、目立つことも。そして、賞賛されることも。自分は地味で目立たない男子高校生でいい。大人になってから振り返った時に、高校時代こそ暗黒時代だったと思えてもいい。そう、昼安藤は昼安藤のままでいいのだ。
「結構。この姫乙のどこに間違いがあったのでしょうかぁ? カメラに向かってお答えくださいぃぃぃぃ。さぁ、この状況を見守っている国民の方々へと向けてぇ、何が間違っていたのかを教えて差し上げるのですぅ」
姫乙がやけにカメラを意識させるのは、土壇場で余計なプレッシャーを与えるためだろう。この状況下で安藤に精神的な重圧を与え、万が一にも安藤がミスを犯すように誘っているような気がする。――ならば負けない。そんなに弱い人間ではないことを証明してやろうではないか。
「姫乙、その前に僕からお願いがある。ホームルームが始まる前に読み上げたように、もう一度だけアベンジャーへのご褒美の内容を読み上げてもらえないかな? もちろん、カメラに向かってね」
やり返す。姫乙が精神的な重圧をかけてくるのであれば、こちらも同じように攻撃させてもらう。自分が明確やミスをしてしまった部分を、カメラ越しに自ら晒さなければならなくなるのだ。これは屈辱であろう。姫乙の表情が引きつったように見えたのは、きっと気のせいではない。
「えぇ、構いませんよぉ。確か――アベンジャーを含む2年4組全員皆殺しです。今回のは残酷でありながらシンプルなものでしたからぁ、はっきりと覚えていますぅ」
そう、今回のアベンジャーの願いはいたってシンプル。残酷でありながらも、その内容はアベンジャーを含む2年4組の皆殺しだ。しかし、実はこのような形で願いを出すのは、星野崎以外に考えられないのだ。
「もし僕がアベンジャーだったら、多分、こういう形でお願いしていただろうね。つまり、アベンジャー全員皆殺し――とね」
安藤が静かに言い放つと、ずっと黙っていたアンジョリーヌが「えっ?」と漏らす。本人が意図せずに出てしまったものだったのか、慌てて口元に手をやる。もちろん、そんなことをしても漏れてしまったものは漏れてしまったのだが、そんな仕草が少しだけ可愛くも見えた。
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