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その後の始末の話 2

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 クロエは軽くプロスペールを睨む。

「国は王太子妃教育が終わっている私を逃す気はないのですね」

プロスペールは頷く。

「残念ながら、ね」

「王弟殿下の娘でも?」

ヴィクトリアが助け舟を出す。

「だから余計に、かな。トリアもクロエ嬢も国外に出すの気はないよ。君たちの頭の中にある知識を利用されたらこの国はひとたまりもないからね」

プロスペールはあくまでにこやかだ。ポールがため息をつく。

「殿下、妹やクロエ嬢を威嚇しないでください。ましてや国外に出るなんて一言も言ってないのですから。ここでは報告を終わらせてください」

プロスペールは一瞬たじろいだ。ポール、というよりバイユ家の兄妹と妻である隣国の女王くらいだったのである、プロスペールを必要なタイミングで諫めることができるのが。
 
「ちょっと横道にそれてしまったね」

プロスペールは柔らかな笑顔だった。クロエは表には出さないがこの年上の従兄が見せる表情としては珍しいと思っていた。

「まず王妃は離宮生活となる。離宮は西の辺境伯、つまり私の配下のベル方伯の監視下に置かれる。ライザと二人、許可のある人間以外は訪れることはない」

クロエもヴィクトリアもおとなしく話を待つ。

「王太子はで王宮内離宮に蟄居となる。これも許可のある人間以外は訪問できない。第二王子だが」

プロスペールが一旦息を継いだ。

「これが実は一番きついかもしれん。南の島国の女王の10番目の王配として娶られることになった」

これはクロエもヴィクトリアも驚いた。南の島国は真珠で有名な国なのだがここの女王が色々と奔放な方で複数の男性を侍らす悪癖を持っている方だった。

「あいつ、潔癖症の気があるからああいうのはダメだろうなぁ」

プロスペールは兄を思いやっているような発言をする。

「あと隣国の王太子、従伯父殿は廃嫡になったようで。現王の孫、打ちの国の侯爵令息の一人が立太子するらしい」

クロエが少し呆れた様子だ。

「あの方……結局プロスペール殿下に踊らされていた?」

プロスペールが静かに笑っている。ポールが口を出す。

「貴女のお父様、王弟殿下も協力してますよ、というかあの方が主じゃないですかね」

プロスペールは笑ったままであった。




 「なんとか収まったのかしら」

ヴィクトリアとクロエは早々に個室を辞して階下のカフェに席を取る。二人とも主語をぼかしたまま会話をする。

「だといいけど」

「私は暫く勉強に勤しむわ」

クロエが言う。

「それでいいのでは?……お二人とはよくお話とかするの?」

ヴィクトリアに問われクロエは首を横に振る。

「では放課後、私の部活動にお付き合いしてくださる?」

「なぜ?」

ここでヴィクトリアは声を落とす。

「お二人、部室にいらっしゃるから。卒業まであと少しですしお二人の私的なお顔を見られます」

「……おぜん立てられたお見合いよりよさそう」

「それに内密で話しやすいですし」

ヴィクトリアの言葉にクロエはにこっと笑う。

「わかりましたわ。……ね、今日はケーキも食べません?」

ヴィクトリアもクロエの言葉にのった。
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