聖女は断罪する

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51. お話を聞く

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 「知らない、私はそんなもの持ってない」

抵抗するリリスだったがふわっと首元からペンダントが浮き上がり、ヴィヴィアンヌの手元へ来た。その横にはテオがいてテオがヴィヴィアンヌからペンダントが受け取る。
 ペールはさすがにテオが誰か分かったらしく、ぐっと喉を鳴らして声を押えた。

「宝物庫にあるはずのものだな」

テオは一目見ただけで分かったようだった。

「ふーん、何個くらいあるんだ?」

アルフォンスが聞くとテオは少し考えて答える。

「教会の宝物庫は5つあるはずだが常に貸し出しがある……、取り戻すのが一苦労だがな」

テオがふーと息を吐き天井を見た。

「貸し出したやつは取り戻さねーんだよ。な、リリス嬢よ。それなんて言われて貸し出されたんだ?」

テオがじろりと見る。肉が着いてきたとはいえまだまだ美貌の男でリリスはぽっとなった。その上で寒気がする。迫力が今まで知っている大人とは違った。テオは威嚇の魔法を上手に纏ってそれをリリスに当てた形であった。

「あ……。あの……」

「あの?」

「……学園生活が上手くいくようにって。副教皇さまから」

「それがなにか聞いているな?」

威嚇の術に委縮していたリリスはその後の軽い魅了の術に落ちた。テオはルシアと同じ体質、魅了持ちであった。完璧にコントロール出来るので普段は皆忘れている。

「はい……魅了の術を振りまいてるペンダントです。急に……普段使ってる香水が法律で使用禁止に、なったから」

女生徒達は制服の裾などにお気に入りの香水や香油を着けている事が多い。先日見つけた香水は発売、使用禁止とお触れを出した。

「そうか。その香水はいつから使ってた?」

「子供の時に、……フィールズのおじい様から頂いたものです」

ヴィヴィアンヌはできるだけオーラを抑えその場で認識されにくくして座っている。テオの尋問を聞きながらここでもフォールズ老が、と思っていた。
 ペールがそっと横に座る。

「俺、いる意味あるんですかね?」

「一応リリスの保護者枠じゃないか?」

「……きょうこ、いやテオ様の事あいつ気が付いてない、ですよね?」

ヴィヴィアンヌは頷く。

「たぶんね」

「俺でもわかるのに……」

「あんたはテオがああなのを見てるからね。フィールズ領で瘴気が沸き魔物の巣が出来かけた時に浄化するのを見てたもんね」

ペールは頷く。

「あの時は副教皇が老に呼ばれて動けなかったから。フィールズ家は副教皇の持ち場って決まってたんだけどね」

ヴィヴィアンヌは心の中であれはテオに仕事をさせるための副教皇隠しであろうと推量していた。副教皇は浄化の力が弱いし水系の浄化だったのであの時の瘴気には向かなかった。あの時の瘴気は火の浄化か雷の浄化が必要だったしな、と思い出す。
 ペールは浄化の力を使いはじめるとふくふくとしていた教皇がやせ細っていくのを見て怯えた。父親は子供たちに教育の為に、と現場を見せたのだが自分が予想もしないものを見せられたのだ。倒れ掛かった教皇を支えたのは嫡男だった。この嫡男は父親よりも肝が座っていた。

「あの一件であんたたちは教皇に着いたんだよね」

ヴィヴィアンヌに言われてペールは頷く。『領地の危機に駆けつけれない教会関係の身内謎いらんでしょう』と長男が父親に進言したのだ。テオとペールの父親の極秘の話し合いがもたれ、表立っては副教皇をバックアップしていて欲しい、と言われスパイなような立場に立ったのだ。
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