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第二章

みえるものみえざるもの

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 「あいつらどうしたんだ?」

「エディは魔力はないのか」

「俺もエドもない」

ロゼがエディにアルの後ろに『呪い』のようなものがくっついてた事。その呪いが感情を刺激する物だったからモイラがはがしに行ったこと、多分マドレーヌも気が付いてるはず、と言う。

「魔力があるとみえるのかい?」

エディの言葉にロゼはんーと言って考える。

「そういうわけでもないのよね。……闇魔法に染まれない魔力持ちにはみえる、って感じ?」

「理由はあるのか?」

「わからん。私は闇魔法とは相性わるいんだよね」

ロゼが考え考え言う。

「モイラは聖女だし。でもマドレーヌはわかんないや。あの子も闇魔法とかそういう系統と相性悪いんだろうけどね」

 そんな話をしているとアルとマドレーヌが戻ってきた。アルの表情はすっきりしていた。

「イラついてたのは解消したみたいね」

「……面目ない。モイラ嬢はエドが神殿に送っていった」

「そう。あの黒いの持って行った?」

ロゼの言葉にアルは頷いた。

「なんかねぇ。……潜ったダンジョンあるじゃない?あそこって明確に各階層のボスをクリアしなくても下の階層にいけるんだけど、昨日神官連れてこの街にいたAクラスのパーティが潜ってダンジョンコアの部屋に行ったんだって」

ロゼはこの話をしておきたくて皆と食事をと提案したのだ。

「またダンジョンコアにちょっかい出してあったらしくてモンスター津波を起こさせようとしてたみたい」

エディが目を丸くしている。

「誰がそんなことを」

「判らんのよ」

ロゼが返す。

「なんでああいう悪意とか出来るだけ集めたいって神殿の依頼もあってさ」

「ああいう悪意?」

「アルに引っ付いてたようなの。昨日神官がそう言うものをダンジョンコアから読み取ったらしくて。それと一致するものを捜して関係者を探してる」

ロゼがじっとアルを見る。

「実に覚えがなければもうしばらくここに滞在してほしいな。ま、さっきの悪意がダンジョンと関係なければすぐに解放されるけど」

アルは静かにうなずいた。

「わかった。ギルドも同じ考えかな?」

「でしょうね」

ロゼが肯定する。

「ま、私としてはその間にエディを口説けるし」

「……勘弁してよ」

「あら、あたしは本気よ」

「俺はこの国に留まる気はないからさぁ」

「アフェアで終わらす気はないって言ったよね?」

マドレーヌとアルはどうしたもんか、と顔を見合わす。この二人。色恋沙汰に興味もなければ経験もないのだ。マドレーヌのそういうことに対する興味の無さを元婚約者は『自分の事を馬鹿にしている』『女のくせに男の意向を読めないダメ女』と思ったわけだがマドレーヌはまったく理解していなかった。
 アルは15までいた王宮では令嬢たちからの秋波を全く理解していなかったしそこから飛ばされてからの6年間はまず生き残る事に必死で色恋に気を取られる余裕もなかった。
 そんな二人に目の前のエディとロゼのやり取りは異質すぎてどう脳内で処理して良いのか気持ちが付いていなかった。
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