【完結】悪役令嬢ライザと悪役令息の婚約者

マロン株式

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第2章事前対策

ライザは自ら悪役令息の元を訪れた2

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 案内された先はファンタジーの世界だった。

(そう言えば此処、どっちかと言うとファンタジーの世界だっけ…?)

 森林の中では、彩豊かな花畑の一角や、精霊の宿る星の木々があったりと、絵に描いたようなファンタジー…というよりメルヘンな世界に迷い込んだようだった。

 最近、経済の流れを読み株でお金稼いだり、横領とか犯罪とか色々と不正暴いたり、人員整理で人を解雇したり王族会議で出来るだけ根回したりで忙しくて

 忘れていた。

 此処が乙ゲーの世界である事を。
 
(心地よい…和む。)

「どうかな?アウステル公爵家の居心地は。」

「うん、良いと思う。これぞファンタジ…いや、平和だなぁって……。」

「それは良かった。此処は結婚したらライザも住むところだからさ、少しずつ土地に慣れていた方が来た時に楽かと思って。結構此処の敷地広くて色々とあるんだ。不満な箇所があるなら言ってね。」

 唐突にブッ込まれた話題に、ライザはゴホッと咳き込んだ。

「け、結婚の話はまだ早くないかな?」

「え?だって、わたし達は婚約しているから。そう言うのは少しずつ擦り合わせて置いたほうが良いよ。」

(やばい、12歳の子供に…なんか負けている気がする。)

 正直に言って、前世の私は1人で生きて行く気満々だった。収入も困らないし、そもそも、愛よりお金が好きですって公言する女を誰も娶ろうとも思わんだろうと思っていたし、実際それを言うたびにドン引かれてきた。  

 だから皇太子との縁談よけにルイスを選んだけれど、そのルイスも私へ抱いた幻想からは直ぐ目を覚ますだろうと思ってちょっと侮っていた。


 だけど…この話(お金が大好き)はルイスにも伝えていると言うのに。

 流石、後に天然女誑しに成長するだけあってそのくらいでは引いた様子が見え無いところに少し焦る。

(するってぇと。どの位の歳の差になるんだ?…28歳差…相手はまだ未成年。…完全犯罪だよ。)


 
 ちょっと結婚とか具体的な話が出て来たから、動揺し過ぎて前世のお育ちの悪い口調が少し出て来てしまった。

 だって、最近まで『雇用関係を破棄します』とか高らかに宣言して人が土下座をしている姿を扇子広げて見下ろしていた人間が。

 急に、精霊とかが普通に漂う中、くまさんとウサギさんがその辺で仲良くしている事が当然と言わんばかりの森の住人になるとか…。

 しかも。メルヘンの森に住まう王子?みたいな人に愛でられて過ごすとか。

 違和感しかない。

 一時的に居るだけなら癒しだけど、住むとなると…何か違う感やばくて自分を見失いそうだ。〝おまえの居るべき場所は此処ではない〟って感じがする。


(そもそも。年齢差がヤバすぎる。
実年齢にしたら犯罪だよ。私はそう言う犯罪者になるのが1番あり得ないと思ってるから。本当に。
取り敢えず…ルイスにはヒロインでは無くて
性格良くて癒し系でふんわりした感じの可愛子ちゃんを、そのうち見繕ってあげよう…。)
※ライザ破滅リスク低減の為ヒロインは論外と結論付けた。


 前世の自分とダブル所があったせいで、思わず関わってしまったとは言え、自分が手を出した事で懐かれた訳だし。    
 此処で投げるのは無責任な気もしてきた。

 ルイスはきっと、頼れる大人が周りに居なくて、なんか、その辺に居た頼れそうな大人に懐いちゃったんだろうな…。
 ヒヨコが初めて親を見た…みたいな?
 
 それを恋と勘違いしているのだろう。

 頼れそうな大人に私を選ぶのもどうかと思うが、確かに現在の彼は他に選択肢が無いのだ。

 まともな大人が周りに居る環境で育ったキャラならば、こんなメルヘンの森に住む子が悪役令息に成長しなかった筈だ。


 此処まできたら、思いがけず拾った猫とでも思って亡くなった彼の両親の代わりに見守るか。

 いつでもルイスの味方である爺やは、もう歳だからボケ始めてるしね。

 そして私も、なんでかほっとけないし。

 彼はいつか、本当に好きな人と平穏で幸せな家庭を再度築けば良いと思う。それだけのポテンシャルは人よりもあるのだから。人との巡り合わせが今悪いだけで。

(ー・今は結婚出来ない未成年だし。
学園生活が始まったらルイスに出会いも沢山あるだろうから、焦らなくて良いか。 

此処まできたら、彼が悪役にならないよう少しの間見守ろう。乗り掛かった船ってやつだわ。)
 
 

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