23 / 78
第2章事前対策
ライザは自ら悪役令息の元を訪れた2
しおりを挟む
案内された先はファンタジーの世界だった。
(そう言えば此処、どっちかと言うとファンタジーの世界だっけ…?)
森林の中では、彩豊かな花畑の一角や、精霊の宿る星の木々があったりと、絵に描いたようなファンタジー…というよりメルヘンな世界に迷い込んだようだった。
最近、経済の流れを読み株でお金稼いだり、横領とか犯罪とか色々と不正暴いたり、人員整理で人を解雇したり王族会議で出来るだけ根回したりで忙しくて
忘れていた。
此処が乙ゲーの世界である事を。
(心地よい…和む。)
「どうかな?アウステル公爵家の居心地は。」
「うん、良いと思う。これぞファンタジ…いや、平和だなぁって……。」
「それは良かった。此処は結婚したらライザも住むところだからさ、少しずつ土地に慣れていた方が来た時に楽かと思って。結構此処の敷地広くて色々とあるんだ。不満な箇所があるなら言ってね。」
唐突にブッ込まれた話題に、ライザはゴホッと咳き込んだ。
「け、結婚の話はまだ早くないかな?」
「え?だって、わたし達は婚約しているから。そう言うのは少しずつ擦り合わせて置いたほうが良いよ。」
(やばい、12歳の子供に…なんか負けている気がする。)
正直に言って、前世の私は1人で生きて行く気満々だった。収入も困らないし、そもそも、愛よりお金が好きですって公言する女を誰も娶ろうとも思わんだろうと思っていたし、実際それを言うたびにドン引かれてきた。
だから皇太子との縁談よけにルイスを選んだけれど、そのルイスも私へ抱いた幻想からは直ぐ目を覚ますだろうと思ってちょっと侮っていた。
だけど…この話(お金が大好き)はルイスにも伝えていると言うのに。
流石、後に天然女誑しに成長するだけあってそのくらいでは引いた様子が見え無いところに少し焦る。
(するってぇと。どの位の歳の差になるんだ?…28歳差…相手はまだ未成年。…完全犯罪だよ。)
ちょっと結婚とか具体的な話が出て来たから、動揺し過ぎて前世のお育ちの悪い口調が少し出て来てしまった。
だって、最近まで『雇用関係を破棄します』とか高らかに宣言して人が土下座をしている姿を扇子広げて見下ろしていた人間が。
急に、精霊とかが普通に漂う中、くまさんとウサギさんがその辺で仲良くしている事が当然と言わんばかりの森の住人になるとか…。
しかも。メルヘンの森に住まう王子?みたいな人に愛でられて過ごすとか。
違和感しかない。
一時的に居るだけなら癒しだけど、住むとなると…何か違う感やばくて自分を見失いそうだ。〝おまえの居るべき場所は此処ではない〟って感じがする。
(そもそも。年齢差がヤバすぎる。
実年齢にしたら犯罪だよ。私はそう言う犯罪者になるのが1番あり得ないと思ってるから。本当に。
取り敢えず…ルイスにはヒロインでは無くて
性格良くて癒し系でふんわりした感じの可愛子ちゃんを、そのうち見繕ってあげよう…。)
※ライザ破滅リスク低減の為ヒロインは論外と結論付けた。
前世の自分とダブル所があったせいで、思わず関わってしまったとは言え、自分が手を出した事で懐かれた訳だし。
此処で投げるのは無責任な気もしてきた。
ルイスはきっと、頼れる大人が周りに居なくて、なんか、その辺に居た頼れそうな大人に懐いちゃったんだろうな…。
ヒヨコが初めて親を見た…みたいな?
それを恋と勘違いしているのだろう。
頼れそうな大人に私を選ぶのもどうかと思うが、確かに現在の彼は他に選択肢が無いのだ。
まともな大人が周りに居る環境で育ったキャラならば、こんなメルヘンの森に住む子が悪役令息に成長しなかった筈だ。
此処まできたら、思いがけず拾った猫とでも思って亡くなった彼の両親の代わりに見守るか。
いつでもルイスの味方である爺やは、もう歳だからボケ始めてるしね。
そして私も、なんでかほっとけないし。
彼はいつか、本当に好きな人と平穏で幸せな家庭を再度築けば良いと思う。それだけのポテンシャルは人よりもあるのだから。人との巡り合わせが今悪いだけで。
(ー・今は結婚出来ない未成年だし。
学園生活が始まったらルイスに出会いも沢山あるだろうから、焦らなくて良いか。
此処まできたら、彼が悪役にならないよう少しの間見守ろう。乗り掛かった船ってやつだわ。)
(そう言えば此処、どっちかと言うとファンタジーの世界だっけ…?)
森林の中では、彩豊かな花畑の一角や、精霊の宿る星の木々があったりと、絵に描いたようなファンタジー…というよりメルヘンな世界に迷い込んだようだった。
最近、経済の流れを読み株でお金稼いだり、横領とか犯罪とか色々と不正暴いたり、人員整理で人を解雇したり王族会議で出来るだけ根回したりで忙しくて
忘れていた。
此処が乙ゲーの世界である事を。
(心地よい…和む。)
「どうかな?アウステル公爵家の居心地は。」
「うん、良いと思う。これぞファンタジ…いや、平和だなぁって……。」
「それは良かった。此処は結婚したらライザも住むところだからさ、少しずつ土地に慣れていた方が来た時に楽かと思って。結構此処の敷地広くて色々とあるんだ。不満な箇所があるなら言ってね。」
唐突にブッ込まれた話題に、ライザはゴホッと咳き込んだ。
「け、結婚の話はまだ早くないかな?」
「え?だって、わたし達は婚約しているから。そう言うのは少しずつ擦り合わせて置いたほうが良いよ。」
(やばい、12歳の子供に…なんか負けている気がする。)
正直に言って、前世の私は1人で生きて行く気満々だった。収入も困らないし、そもそも、愛よりお金が好きですって公言する女を誰も娶ろうとも思わんだろうと思っていたし、実際それを言うたびにドン引かれてきた。
だから皇太子との縁談よけにルイスを選んだけれど、そのルイスも私へ抱いた幻想からは直ぐ目を覚ますだろうと思ってちょっと侮っていた。
だけど…この話(お金が大好き)はルイスにも伝えていると言うのに。
流石、後に天然女誑しに成長するだけあってそのくらいでは引いた様子が見え無いところに少し焦る。
(するってぇと。どの位の歳の差になるんだ?…28歳差…相手はまだ未成年。…完全犯罪だよ。)
ちょっと結婚とか具体的な話が出て来たから、動揺し過ぎて前世のお育ちの悪い口調が少し出て来てしまった。
だって、最近まで『雇用関係を破棄します』とか高らかに宣言して人が土下座をしている姿を扇子広げて見下ろしていた人間が。
急に、精霊とかが普通に漂う中、くまさんとウサギさんがその辺で仲良くしている事が当然と言わんばかりの森の住人になるとか…。
しかも。メルヘンの森に住まう王子?みたいな人に愛でられて過ごすとか。
違和感しかない。
一時的に居るだけなら癒しだけど、住むとなると…何か違う感やばくて自分を見失いそうだ。〝おまえの居るべき場所は此処ではない〟って感じがする。
(そもそも。年齢差がヤバすぎる。
実年齢にしたら犯罪だよ。私はそう言う犯罪者になるのが1番あり得ないと思ってるから。本当に。
取り敢えず…ルイスにはヒロインでは無くて
性格良くて癒し系でふんわりした感じの可愛子ちゃんを、そのうち見繕ってあげよう…。)
※ライザ破滅リスク低減の為ヒロインは論外と結論付けた。
前世の自分とダブル所があったせいで、思わず関わってしまったとは言え、自分が手を出した事で懐かれた訳だし。
此処で投げるのは無責任な気もしてきた。
ルイスはきっと、頼れる大人が周りに居なくて、なんか、その辺に居た頼れそうな大人に懐いちゃったんだろうな…。
ヒヨコが初めて親を見た…みたいな?
それを恋と勘違いしているのだろう。
頼れそうな大人に私を選ぶのもどうかと思うが、確かに現在の彼は他に選択肢が無いのだ。
まともな大人が周りに居る環境で育ったキャラならば、こんなメルヘンの森に住む子が悪役令息に成長しなかった筈だ。
此処まできたら、思いがけず拾った猫とでも思って亡くなった彼の両親の代わりに見守るか。
いつでもルイスの味方である爺やは、もう歳だからボケ始めてるしね。
そして私も、なんでかほっとけないし。
彼はいつか、本当に好きな人と平穏で幸せな家庭を再度築けば良いと思う。それだけのポテンシャルは人よりもあるのだから。人との巡り合わせが今悪いだけで。
(ー・今は結婚出来ない未成年だし。
学園生活が始まったらルイスに出会いも沢山あるだろうから、焦らなくて良いか。
此処まできたら、彼が悪役にならないよう少しの間見守ろう。乗り掛かった船ってやつだわ。)
42
あなたにおすすめの小説
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
【完結】その令嬢は号泣しただけ~泣き虫令嬢に悪役は無理でした~
春風由実
恋愛
お城の庭園で大泣きしてしまった十二歳の私。
かつての記憶を取り戻し、自分が物語の序盤で早々に退場する悪しき公爵令嬢であることを思い出します。
私は目立たず密やかに穏やかに、そして出来るだけ長く生きたいのです。
それにこんなに泣き虫だから、王太子殿下の婚約者だなんて重たい役目は無理、無理、無理。
だから早々に逃げ出そうと決めていたのに。
どうして目の前にこの方が座っているのでしょうか?
※本編十七話、番外編四話の短いお話です。
※こちらはさっと完結します。(2022.11.8完結)
※カクヨムにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる