【完結】悪役令嬢ライザと悪役令息の婚約者

マロン株式

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第3章学園入学

前世の私と嘘吐き高校生男子との出会い1

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※閲覧注意、不快になった人は今話を見なかったことにしてください。

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 新しい支店に赴任して、業務を引き継いだ。前任者は中堅どころの人で、そこそこ大きな顧客を幾人か抱えていたが、病により突然倒れてしまったので、大口顧客ですら一緒に挨拶周りもい行けなかった。

 とはいえ、突然前任者が退職し、前任からの情報が無いまま引き継ぐ事態は、少なくはない。


ーー着任初日、その日は朝からついていなかった。

 
 家の扉がこわれたり、鞄の紐が切れたり、満員電車でパンプスが行方不明になったり、初日なのに人身事故で電車が遅延したり。

 次長が帯同してくれる予定だったのに、色々あって、結局は私1人が大口先へ挨拶をしに行くことになったり。


 この時点で、嫌な予感しかしなかった。けれど、今日は取引先の会社の事務所ではなく、社長の自宅へと向かっていた。

 社長の奥様が、投資信託を始めたいと思い立ったらしい。相談にのって欲しいと言うことだった。
 前任から引き継いでなければ厳しい融資案件やアパマンの話では無い。それだけでも、運が良かったと思って、家のチャイムを鳴らした。

 私が名乗って暫くして、扉が開かれた。

「はぁい、お待ちしてました、どうぞ」

 朗らかな声と共に、現れたのは、どう見たって記憶に根付いた伯母だった。

 思わず、停止してしまった私を、伯母は不思議そうに眺めていだけだった。


ーーー
ーーーーーー

 あの後、どう振舞っていたのか、記憶は朧気だったけど、彼女は私のことを全く覚えていなかった。

 名刺を渡しても、私の苗字は、施設から引き取られて以降変わっているので、それで気付かれる訳もなく。
 
 伯母は伯母で、名前が変わっていた。
 そっくりさんかと思ったけど、そうでは無かった。


 その後ー…人気のない公園のブランコに座ってから、どのくらい時間が経ったのか、わからない。

 雨が降り出していることに、気が付いたのは、雨の音が未だにしているのに、身体に雨が当たらなくなってからだ。


 顔を上げると、そこには近所にある高校の制服を着た男の子が居た。


「お姉さん、大丈夫?」
「……はい」


 ー・私としたことが…。

 みっともない自分の状態に今更気付いて、我に返った。すっと立ち上がった私よりも背の高い男の子が、話しかけてきた。

「泣いてたの?」
「いいえ、顔のこれは雨で濡れてしまったからです」

 そう答えると、男の子はひょいっと身を屈めて私の顔を覗き込んできた。

「本当?」

 漸くようやく目が合ったその子に、最初に思ったことは、(うわ。顔整ってるな…)くらいだった。



 

 

 
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