【完結】悪役令嬢ライザと悪役令息の婚約者

マロン株式

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第3章学園入学

海の精霊3

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「ルイスって、死んだ人の魂?とも話せたのね」

「うん、死んだ人の霊は、精霊の1種だからね。でも普通ならわたしが見かける前に、皆在るべき所へ行くんだ」

「そうなんだね……」

 普通でない人は、生まれ変わらずこの世をずっと、彷徨うのだろうか。それは、かなり切ないことだ。

 けれど、本人達にとったら、生まれ変わるよりも、終わった生への未練が勝ってしまうことも、あるのだろうと思えた。

「‥そういえば、霊が精霊の一種だとしたら、何か魔法がつかえるのかしら?
ほら、妖精は魔法みたいなの使えるでしょ?ということは、人の霊も同じ様に魔法みたいなものを使えたりするの?」
「魔法は使えないけど、他の精霊には出来ないことを、人の霊だけは出来ることもある」
「えっ、凄い!何が出来るの?」

「ー・それはね」
「うん」

 興味深々で、ルイスを見上げると、ニコッと笑ったあとにこう答えられた。


「また今度教えてあげるよ」
「気になるから今教えて欲しいわ」
「ふふっ、ところで、身体は大丈夫?」

「……?…っっ!」

 一瞬なんのことだか分からなかったライザは、言葉の意味を理解すると、口付け後の濃厚な一時が浮かんで、あっと言う間に頬に赤味がさした。

「その言い方は、さ‥最後までしたみたいだからやめて」
「最後までって、何を?」

 何をって。これ、明らかにわかって言われている。

 先刻ー‥抵抗せずに、ただ流されていたら、首やら胸やら…どさくさに紛れて色々とした癖に‥。
 
 あろうことか、あんな……、あんなところまで。…したくせに。



 ーーこれ以上は18禁なので、何とも言えないけれど。

 前世でも、28歳まで生きていたので、実はまぁ、性的な経験はそれなりにあった。けれども、私は自分が不感症だと思っていた。

 なのに、どうやら違ったらしい。それは今日でわかった。全てにおいて、初めてと言っても過言ではない経験ばかりだった。

 あのとき私は、どうかしていたのだ。

 サイコパスのせいで、心がとても、弱っていたのかもしれない。
 

 まだ16やそこらの男の子相手に、何たる痴態を晒されて‥。

 両手で顔を隠しながら身悶えそうになっていると、不意に声をかけられた。

「ねぇ、ライザ」

 顔を上げて、声の方に振り返ろうとすると、口付けをされた。

 触れ合う唇の隙間から、ぬるりと舌がねじ込まれ、抵抗する隙をを与えぬように、口内の弱い箇所を正確に侵してこようとしている。


「…んっ、‥‥ちゅっ‥」

 
 ‥息継ぐ間もなく、降り注ぐ甘い口付けに、身をよじろうとしても、涼しい顔をして目を閉じているルイスの手は、ライザの腕を掴んだまま離してはくれず、微動だにしない。

「…はぁ、も…む‥り、んっ‥」


ーーぁあ。

 もう。立っているのが難しい。

 

 与えられる重たい感情を、嫌だと思わない自分が、今はただ不思議だった。
 人との触れ合いは、怖いことだらけで不快に思えていたのに。ルイスは狭い隙間をすり抜けて、するりと近寄ってこようとする。

 

ーー今は、それが不快ではない。

 背筋に快感がはしりぬけ、口内が痺れてくるような口付けは初めてで、胸が苦しく締め付けられる。

 目尻に涙がまたり、はぁはぁと息をきらしながらも、無我夢中で受け入れ続けているうちに、まるで、海に溺れているかのような錯覚を覚えた。
   

 とうとう足がの力が入らなくなり、へたり込みそうになるライザの腰を、ぐっと抱き寄せたルイスは、耳元に艷やかな声色で囁きけた。

「君の婚約者は、とてもやきもちやきなんだ」
「…?」
「わたしとの情事を思っているのに、違う男のことを考えられるとさ…ー」

 違う男…?えっと、さっきは何考えてたっけ。確かサイコ───…


「気が狂って、何をするかわからないから」


 あまりにも、彼は妖艶に、そして美しく笑うから。私の頭はボンっと音をたて、真っ白になった。

 ──ずっと、彼は子供のままだと思っていた。あれ、ゲームのルイスと違って普通の…純粋で、精錬な男性で‥???

 脳をフル回転させても、ぐるぐる回るだけ。今までに無いルイスの魅惑的な表情は、もはや私の少ない免疫耐性と経験値を持ってしても、キャパオーバーしてしまいそうだ。



「…ー気をつけてね?」


 そう言って彼は 綺麗な顔で微笑んだ。
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