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10章 延引された結婚式

幕間 初めての女子会~リンダの過去と現在6* inリンダside~

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日課である素振りを終えて軽く汗を流そうとしたら、浴室前で遭遇したアルマによってあたしは浴室の壁に追い詰められていた・・・――――――


え?何でこうなった?
ってゆーか、アルマもこの家にいたの?
いつの間に前髪切ったの??


「アルマ、前髪切ったんだね。似合ってるよ」
「開口一番がソレ?他に言う事あるんじゃないの?」
「え?・・・アルマ、いつからこの家にいたの??」
「・・・っ、そうじゃなくて!!~~~~~あぁ、もうっ!!!」

アルマがまた額に手を当てて深いため息をついている。
やっぱりあたしは、アルマの事ちゃんとわかってるつもりでもわかってないんだ。
今だって言葉を間違えてしまう。

「ごめん、アルマ。やっぱりあたしじゃ・・・」
「“婿養子”って何?・・・俺以外の男と一緒になるなんて、そんなの許さないから」
「え?それってどーゆー・・・んっ」

聞き間違いじゃなければ、“俺以外の男と一緒になるなんて許さない”って・・・
いやいや、そもそもアルマなんか誤解してるから!
ってか、あたしも“婿養子”って口に出しちゃってたの??!!

「ぁ、アルマ、話を・・・んんっ、ぁふ、ぁ、ちょっ、待っ・・・あぁぁぁっ」

誤解を解きたいのに、アルマに聞きたい事もあるのに、あたしの身体を知り尽くしているアルマは、荒々しい口づけをしながら、あたしの弱い部分を的確に攻めてきて話す隙を与えてくれない。

「ん、はぁっ・・・リンダの好きなトコロ、感じるトコロ知ってるのは俺だけなんだから・・・他の奴に触れさせるなんて許さない」
「アルマっ、待って待って!誤解だから!!・・・それにあたし、さっきまで素振りしてて汗が・・・ひぅっ、やっ、耳はっ・・・」
「知ってるよ。さっきまで日課の素振り200回終えて汗かいてるのも・・・こんな風に耳が弱い事も・・・」
「~~~~~~~~っ」

アルマの声や吐息を耳元に感じるだけでもゾクゾクするのに、耳たぶを甘噛みされたり舐められたりで身体の力が抜けそうだ。
しかも、空いている手で服を大分乱されている上に、さっきから一番触れて欲しい場所に触れそうで触れてくれなくてすごくもどかしい。

「リンダ、足を擦り合わせてるけど、もう触れて欲しいの?それとも俺の、欲しくなっちゃった?」
「・・・ぁ、今日のアルマ、なんか、いじわる・・・」

どうして“婿養子”って言葉にこんな過剰反応するの?
誤解されるようなこと言っちゃったのは申し訳ないけど、あたしに別の男の影がない事はアルマが一番知ってるはずなのに・・・

「・・・意地悪な俺は、嫌い?」
「ううん、アルマなら意地悪でも好き」

今までも時々意地悪だったけど、ちゃんと優しいのも知ってる。

「・・・俺、リンダのそばに男がいたら全員殺しちゃいそうなくらい心狭いよ?」
「ふふっ、あたしもアルマのそばに女がいたら全員殺しちゃいそうだからお互い様じゃない?」

アルマと知り合ってから、隊長やアレク様達以外そばに来る事はほとんどないし、メラルダでバイトしてる時も行き帰りは迎えに来てくれて、他の男を寄せ付けようとしなかったのも知ってる。
別にアルマ以外欲しくないのにね。

「・・・俺は“家族”を、“愛情”というモノを知らない・・・そんな俺が、リンダと“家族”になれるの?・・・リンダを、幸せにしてあげられるの・・・?」
「・・・――――――――!!!!!」

アルマに抱きしめられながら、聞かれた事に素直に答えていたら、アルマが予想外の事を聞いてきて思わず言葉を失ってしまった。


・・・アルマ、そんな風に考えてたの・・・?


「アルマ、顔、見せて・・・」
「・・・やだ」
「やっ、顔見せてくれないと答えてあげないから!」
「・・・」

渋々と腕を緩めて身体を少し離すアルマ。
前髪を切った分、以前よりもアルマの表情がはっきりと見える。
今は、照れくさいのと不安が半々くらいの表情だろうか。
ふふっ、バカだなぁ・・・

あたしはアルマの顔に両手を添えて、自分としっかり目が合うように向き合う。
・・・途中抵抗したアルマの首辺りから鈍い関節の音がしたのは聞かなかった事にしよう。

「アルマ・・・あたしはね、アルマと一緒にいられたら幸せなの。そんなアルマと“家族”になれたら、幸せに決まってるじゃない」
「!!」
「それにね、あたしはアルマに幸せにして欲しいんじゃない。アルマと一緒に幸せになりたいの。“幸せ”って、2人で一緒に作るモノなんだよ?」
「・・・――――!!!!」

アルマと2人でおでこをくっつけ合い、涙を流しながら2人でしばらく抱きしめ合った。


そっか・・・受け止めるだけじゃなくて、話してくれるのを待つばかりじゃなくて、アルマが話しやすいようにあたしから気持ちを伝えて聞いてあげれば良かったんだね。


「・・・――――っくしゅん」

あたしのくしゃみで2人共我に返った。
さすがに汗がひいて身体が冷えてきたらしい。

「アルマ、あたしこのままシャワー浴びるから先に・・・―――――」
「わかった。身体冷やしちゃったお詫びにリンダの身体洗ってあげる」
「え?」
「ま、洗う以外の事もしちゃうだろうけど」
「や、ちょっとアルマ??」

すっかり顔から迷いや不安が見えなくなったアルマは、持ち前の素早さであたしと自分の服をさっさと脱ぎ、あたしを抱き上げて一緒に浴室に入って熱めのシャワーで身体を温め始めた。

シャワーのお湯を浴びながら、先程の続きだと言わんばかりにアルマの行為が再開され、別の意味で身体が火照ってくる。

「んぁっ、あの、アルマ・・・」
「ココ、こんなに濡れてるなら解す必要ないよね。・・・挿入れるよ、リンダ」
「~~~~~~~~~~っ」

アルマの方に腰を突き出す状態にさせられ、後ろからアルマのモノがずぶずぶと挿入ってくる。
ほとんど解されてないけど、悲しい事に先ほどまでの焦らしで充分に潤っているあたしの秘部は、難なくアルマのモノを受け入れていた。

欲しかった快感が与えられて身体は歓喜してるけど、さっきのやりとりで身体だけじゃなく心も満たされているからなのか、いつも以上にきゅうきゅうとアルマのモノを締め付けてしまう。
”もっと、もっと”と欲しがってるみたいですごく恥ずかしい。

「・・・今日のリンダ、いつもより俺を欲しがってる感じがする」
「・・・っ、や、そーゆう恥ずかしい事、んっ、言わない、で・・・」
「くすっ、リンダ、可愛い」
「!!!」

前髪を切った分アルマの表情が以前よりわかりやすくて、今もあたしだけに見せる優しい顔で甘い言葉を囁きながら激しく攻め立ててくる。
・・・卑怯だ。これには一生勝てる気がしない・・・

今日のアルマはさらに追い打ちをかけるように、あたしの耳元で囁いた。

「ね、知ってる?リンダ」
「ん、なに・・・?」
「後ろから挿入れた方が、奥まで届くから子供ができやすいって話があるみたいだよ。・・・ホントかどうかは知らないけど」
「???!!!」

いろいろ吹っ切れたらしいアルマは、そう言った後体位を変えないままあたしの最奥で果てた。


「・・・リンダ、俺と“家族”になって・・・ずっと一緒にいて」
「!!!・・・うん、ずっとアルマのそばにいる。いさせて、下さい・・・」


・・・―――――こうして、あたしとアルマは明確に名前を付けていない関係から、“家族”という関係に発展する事が出来た。
といっても、手続きとか諸々はこれから先の話だけどね。


幸せいっぱいな気持ちでお風呂から上がった後に待っていたのは、予想外の目撃者とエリュシオン様からのお説教+αだった。

「「ありゅ、リンリンいじめちゃ、めっなのー!!」」
「「・・・」」
「・・・どうやら、双子達が浴室でのやりとりを一部見てしまったみたいでな。すぐに遮蔽と遮音の結界を張ってリビングに連れて行ったが、どうしてもアルマに一言いいたかったようだ」
「「・・・すみませんでした」」

そうだった、ここはメラルダにあるエリュシオン様の家だった。
よりによってレオンとサクラに目撃されるとは・・・
申し訳なさと恥ずかしさで、この場からすぐにでも去りたい気分だ。

「くくっ、ようやくお前達も落ち着いたみたいだし、今回は大目に見てやる。だが、その代わりに2人に任務を与える」
「任務、ですか・・・?」
「あたしと、アルマに?」
「あぁ。ちょっとしたお使いだな」
「あ、お使い程度なら・・・」

エリュシオン様からの任務と聞いて少し構えてしまったけど、お使い程度ならあたしとアルマでもできるだろう。
・・・そう思っていたけど、エリュシオン様の顔がニヤリと悪い笑みを浮かべている。
あれ、あたし早まったかな?

「ちょっとフェイフォンに行って、サーヤの探している“炊くと白くてふっくらする食べ物”を探して買ってきてくれ。ついでに別荘として良さげな家があればそれも押さえておいて欲しい」
「「???!!!」」


エリュシオン様からの与えられたあたしとアルマの任務は、サーヤが結婚式で話していた故郷の食材探しと、ついでにこの家のような別荘を探して来いという、とんでもない任務だった。

国外にある未知の食材探しとついでに家を探しておいてって、“ちょっとそこまでお使いって来い”ってノリでいう事じゃないですから!!
しかも、“家”ってついでに買うモノじゃないですからね!!!!

あたしは心の中でツッコみまくってから、“そうだ、これがいつものエリュシオン様だった”と、我らが主の傍若無人さを久々に思い出したのだった。
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