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14章 初めての家族旅行兼新婚旅行 ~お城はやっぱり危険なトコロ~

作戦会議を始めよう

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「ごめんねサーヤ、キミ達の所へ呼ばれる時点でいろいろ覚悟というか、心構えはしていたはずなんだけど・・・」
「いえ・・・こちらこそ、なんだかスミマセン・・・」
「我と対峙した人間は、本来ぬしのような反応をするのが普通だ。サーヤ達家族が異常すぎるだけ、気にする必要はあるまい」

あたし達家族、サラッと先代様に異常認定されました。
何気にショックです。

「・・・こほん。とりあえず状況はある程度理解したよ。・・・はぁ、ホントにメラニウムにしてもフェイフォンにしても、サーヤを手に入れたいからってどうしてこう一番やっちゃいけないことをするかなぁ・・・」
「あらん?攫われたのはエリュシオンやセイルだけれど、レヴィンの見立てだと王の目的はサーヤちゃんなのん?」
「うん。ほぼ間違いなくね。そして、王にとってエリュシオンは邪魔な存在・・・あわよくば消したいと考えてるだろうね」

レヴィンさんの予想では、第二王子からあたしの話を聞いた国王は、自分の息子にあたしを嫁がせ加護精霊ごと取り込みたい・・・そんな所だろうとのこと。
そのため、夫であるエルは邪魔な存在で、加護を与えている精霊もエルを亡き者にした後、あたしに加護を与えるようなことがあれば万々歳とか・・・ホントにどうしようもないくらい腐った考えだね、王族って。

「最悪ですね。誰がそんな国に嫁ぐものですか・・・死んでも嫌です」
「まぁ、国を背負う立場であった身としては、サーヤを手中にって気持ちはわからなくもないけど・・・でも、卑怯な手段を使うのはどうかと思うよ」
「バカな人間だね。エリュシオンを亡き者になんかしたら、サーヤだって・・・」
「そう。相手はこちらの情報をたいして調べもせず行動を起こした・・・それは、こちらを見くびってる証拠でしょう」
「ふふっ、私達を見くびるだなんて・・・そういうおバカさんには、キツイお仕置きが必要ね」
「あらノルン、私も同じ気持ちよん♡私の可愛い子達に手を出した事、後悔させてあげなきゃねん♡♡」
「エルぱぱイジメる奴なんて、皆まとめてぷっちんなのよ・・・」
「ミナト、ぷっちんだけだと返り血で汚れちゃうから、前に完成した混合魔法でっちゃおうか」
「わかったの!」
「ディーが味方で安心しているのだろうが、彼奴あやつなど我ら同胞の中では所詮最弱・・・くくっ、我が娘に手を出そうとする国など跡形もなく滅ぼしてくれるわ」
「え・・・いや、あの、皆さんちょっと・・・」
「いや、待って待って!ダメっ、国は滅ぼすとかナシっ!!国王を殺せばいいってそんな話じゃないですからねっ!!!」

あたしはあくまでエルやセイル救出して家に帰りたいだけで、国が滅んで欲しいわけじゃない。
確かに皆が一緒に怒ってくれる気持ちはすごく嬉しいんだけど、さすがに国のトップやその周囲殲滅とか国を滅ぼすとか、それはちょっと違う気がするの!


とりあえず、あたしとレヴィンさんの必死の訴えと説明で、なんとか今すぐ国を潰したり国王殺害はナシになり、改めてレヴィンさん中心に作戦会議を始めた。
だけど、気が付けばお昼近い時間になっていたらしく、ご飯支度を始めて空席になったあたしの席にはお腹を空かせて部屋から出てきたレオンやサクラが座り、代わりに作戦会議に参加していた。
・・・話に参加するだけなら大丈夫だよね?

「・・・――――――えっと、原因になる人間を潰すのは簡単ですが、生き残った人間が報復をしてくる可能性があり、そうなるととても面倒です。なので、相手側が反撃など考えないよう完膚なきまでに叩きのめしたいと思います」
「「たたきのめすー」」

レヴィンさん、意外とえげつない考え方の人だった!
いや、元国王様だから当たり前なのかもしれないけどさ!!
双子達も、意味はわかってないんだろうけどすごく乗り気だし、ママちょっとハラハラしてきたよ・・・

「ふむ。・・・そう言うからには、何か策はあるのだろうな?」
「そうですね・・・策、というか・・・オレは自分から攻めるよりも罠を張って相手を追い詰める方が得意なので・・・」
「そうよねん♡レヴィンってば攻めてる私の弱いトコロに当たるよう位置を調整するのが上手・・・――――」
「わぁぁぁぁぁぁぁっ!!!マデリーヌっ!それとコレとは違うからっ!!!!」
「・・・」

レヴィンさんに、親近感が湧きました。
・・・と言うのは冗談で、メラニウムの時と同様、ちょっとこっちが動けば相手は間違いなく動くだろうとのこと。
レヴィンさんとこの国の王は、同い年で皇太子時代に交換留学などで交流もしていた旧知の仲らしい。
野心家で、欲しいものは何が何でも手に入れるタイプだが、残念なことに実力も伴っていたため教師ですらも扱いに困っていたんだとか。

「はぁ・・・何となくそうかなと思ってたけど、“井の中のかわず”もいいとこですね」
「「かわじゅ?」」
「いのなかの、かわず・・・?サーヤまま、それってなぁに?」
「“井の中のかわず、大海を知らず”・・・ってことわざの略なんだけど、“井戸の中しか知らない蛙みたいな人”・・・と言うか、要はミナトちゃん達精霊王様や、先代様から見たら“ただの人間”なのに、一国の王様だからって“世の中オレ様が中心だぜ!”みたいに考えてるバカな人ってことかな?」
「おーさま、ばか・・・」
「バカな、かえゆ・・・」
「ふふっ、随分と面白い例えね」
「ふふっ、でも的確だわん♡」
「くくくっ、蛙ごときならば、我が手を出すまでもあるまい」

あたしの言葉ですっかり国王を敵認定しなくなった皆は、その後もレヴィンさんの言葉に耳を傾けつつ好き放題に会話を続け、あたしはそれを聞きながらカイトくんとベルナートさんに手伝ってもらいながらご飯支度を急いだ。

「後は、エリュシオンやセイル殿がどこに囚われているかですね・・・先代様は、同じ建物内なら気配などでわかるのでしょうか?」
「うむ・・・わからなくもないが、彼奴は力がなくとも幻惑や隠匿の術は得意だから、すぐに・・・というのは難しいであろうな」
「えぇ、逃げ足だけは速かったですわね、あの聖獣イディナロクアバズレ女

ノルンさんが笑顔で毒を吐いている。
もうこれは気のせいなんかじゃないね。先代様絡みで恨みがあるに違いない。

「あばじゅえ・・・リーたんと、いっしょ?」
「ぱぱ、リーたんのこと、あばじゅえってゆってたのよ」
「は?!え・・・エリュシオンが?あの、マデリーヌ・・・??」
「ふふっ♡たまにそう罵ってもらうけれど、実際は違うから安心してちょうだいな♡」

いやいや、安心する所じゃないから!
ってか、レオンとサクラってばそんな言葉覚えてたの?!
どうしよう・・・どんどん変な言葉を覚えてる気がするんだけど、あの二人・・・

ミナトちゃんが双子にフォローしている様子に安心して料理を続けていると、あたしの分のみたらし団子を食べ終えたライムントさんが、お茶を飲みながらサラッととんでもない発言をした。

「あぁ、確かにエリュシオンとセイルは城にいたな・・・彼奴等きゃつら、捕らわれていたのか?」
「「「「「????!!!!」」」」」
「くくっ、ついに彼奴あやつとの縁を断ち切り、我の眷属となる気になったか?サーヤよ」

ライムントさんの発言に皆驚いていたけど、あくまでそれは一瞬だけ。
次の瞬間、この場にいたほぼ全員が一斉にライムントさんに飛び掛かっていた。

「・・・エルとセイル、お城のどこにいるんですか?」
「「ぱぱ、どこ」」
「ライたん、命がおくしば、早く話すの」
「ミナト、それを言うなら“命が惜しくば”だよ。ライムント、おにーさん達はどこ?」
「教えてくれないと、酷い夢見せるよ」
「そうそう、早く吐きなさい」
「言いたくないなら、言わせたくさせてあげるわよ」
「くくっ、ノルンの仕置きを甘く見るなよ、雷の」
「???!!!」



こうして、貴重な情報源と証人をGetしたあたし達は、一歩ずつ着実にエル達救出に向けて動き始めたのでした。
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