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6日目 鬼滅の刃のコンセプトカフェのデザイナー後半
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太陽の光が雪で覆われた地面に反射して眩しくて仕方がない午後3時半。
ヤンさんから再び予約が入る。
「ヤンさんこんにちは」
「こんにちは、エリ先生に今日は言いたいことがあります」
言いたいこと...なんだろう。
「なんでしょうか?」
「前回の授業で私がデザイナーとしての就活をしていると言いましたよね?」
「はい、そうでしたね」
ヤンさんはニューヨークの大学でデザインを学び、今は卒業して就職活動をしていると言っていた。
「実はユーフォーテーブルに就職が決まりました」
ユーフォーテーブル。主にアニメーション、実写、CGの製作をする総合映像プラダクション。しかし、なんといっても今、大人気の鬼滅の刃のアニメを製作していることが1番印象に残っている。
「えー、凄い。本当ですか?おめでとうございます笑」
「はい、ありがとうございます笑」
「ユーフォーテーブルですか~」
「はい、かなり有名なアニメ会社だと言われていますが、僕は詳しくはわかりませんでした笑」
「そうですか笑」
「はい。上海の会社との面接をズームで行いました」
インターネットでユーフォーテーブルを調べてみる。
「ユーフォーテーブル...あ、本当だ。今インターネットで調べてるんですが、沢山のアニメを作ってる他、カフェなども展開してるんですね」
「はい。先生は鬼滅の刃のアニメや映画を見ましたか?」
「いえ、全部はまだ見れてないです。ヤンさんは?」
「実は私もまだ全部見てないんです笑 それで会社から早くアニメを見るように急かされています笑」
「なるほど笑 話数も多いから少し忙しくなりますね笑」
「そうですね笑」
「じゃあ、これからはどういう仕事をしていくんですか?アニメの製作とか?」
「いえ、それは日本の本社の仕事ですね。上海の支社に勤めることになるので、主に上海にある鬼滅の刃のコンセプトカフェ一号店の内装や商品のデザインをやります」
「カフェのデザインなんですね」
「はい、メニューや店内の飾りなどを担当します」
「うわあ、それは凄いな。憧れの仕事ですよ。日本でも鬼滅の刃は社会現象になるくらい大人気でしたからね」
「はい。恐らく鬼滅の刃は現時点では、世界で一番人気のアニメです」
「そうなんですか...。壮大ですね」
「はい」
「今のところ10話まではアニメを見ているんですが、それ以上はまだ見れていません」
「そうですか」
「はい、だから今は次の季節のメニューや内装をデザインしていく段階なんですが、時々何をデザインしているのかわからない事があります笑」
えー、それはまずいよ。早くアニメ見ないと~ヤンさん。
「それは大変ですね笑」
「今もメニューのデザインをしていて、締め切りが明後日の夕方と言われています。しかし、今は半分しかできていません笑」
「うわ、それは時間が足りない。デザインはどのようにしているんですか?」
「はい。デザイン専門のソフトを使います。主にPhotoshopやillustratorを使います。この二つが有名です」
「そうなんですね」
「後はポスターや本を印刷するところ...はなんて言いますか?」
「印刷会社ですかね?」
「はい、そうです。印刷会社に連絡しなくてはならないです」
「なるほど」
「はい、ウェブ上でデザインしたものを一度紙に印刷してみないと、細かい所や色の違いなどがわからないですから。頻繁に印刷会社に連絡することになります」
「あー、なるほど」
「はい」
「それにしても明後日が締め切りなら少し忙しいですね」
「はい、最近僕の生活リズムはおかしいです。深夜の3時か4時に寝て、昼の12時に起きます」
「夜型ですね笑」
「そうです笑 私は今週に採用されたのですが、まだ会社がある上海に行っていません」
「あ、そうなんですね」
「はい。来週に上海に引っ越す予定です。今は会社の人とはネットで連絡をとっています」
「なるほど。テレワーク中ですね」
「はい」
「なるほど。じゃあ仕事は家にこもってやっている事が多いんですね」
「そうです笑 しかし僕は元々インドアなので何も問題ないです」
家から出ないで日本語を教えている私と同じだ。私もこの仕事を始めてからインドアを極めている。
「私と同じですよ笑 家で仕事するのは楽でいいですよね笑」
「はい。それに僕が今住んでいる天津はつまらない街です」
天津...。天津飯のイメージしかない。
「そうなんですか。でも大きな都市ですよね」
「どうなんでしょう...。恐らく日本人からすると天津のイメージは天津飯が強いんではないでしょうか?」
「はい、強いですね」
「でも天津には天津飯というものは中国にはないかもしれません笑」
「ええ、そうなんですか??」
「はい。僕もこのことについて気になっていてネットで調べました。大正時代の関東大震災が起こった際に、当時の中国政府が援助物資として日本に食料を届けたらしいです。その中に天津のお米も含まれていたのですが、日本人にとって天津の米は硬くて食べられなかった。それで日本の調理師が、その天津の米に汁をかけて柔らかく食べられるように工夫して作った料理が天津飯という説があります」
「初めて知りました。そうなんですね」
「はい、それで天津飯と名付けられたようです」
「面白いですね。じゃあ中国の原料を使っていただけで、料理自体は日本人が考案したんですね」
「その説が濃厚らしいです」
「へー、そうなんですね。天津のお米は硬いんですか?」
「うーん、そうですね。僕はあまり知りませんが、多分その時の中国は凄く貧しかったですし、田んぼの状態や農家の作業効率の質も低かったでしょう。なので品質も悪かったのだと思います」
「そうなんですね。私は中国のお米は食べた事がありません」
「そうですか。僕は中国の米は食べ慣れていますが、日本に行った時に日本米を食べると、凄く美味しいと感じますね」
「日本の米の方が柔らかいですか?」
「いえ、柔らかいというよりも、例えば牛丼やカツ丼などでご飯の上におかずを被せる料理では、その美味しさを引き立てるような感じです」
「なるほど。確かに中国のお米はクセがある、というかお米自体に匂いがついているから炒め物などに使う事が多いと聞いたことはあります」
「そうですね」
レッスンの終わりの時間。
「今日はヤンさんの就職が決まった話が聞けて良かったです」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあまた色々お話し聞かせてくださいね」
「次からは上海から先生とお話しすることになると思います。また宜しくお願いします」
「そうか、それはなんだか楽しみですね。それではまた! 」
ヤンさんと話した感想
ユーフォーテーブル上海支社に就職が決まり、早速鬼滅の刃のコンセプトカフェのデザインの仕事を任されたヤンさん。彼のデザインしたメニューや内装を見るためにカフェに行ってみたいなと思った。
ヤンさんから再び予約が入る。
「ヤンさんこんにちは」
「こんにちは、エリ先生に今日は言いたいことがあります」
言いたいこと...なんだろう。
「なんでしょうか?」
「前回の授業で私がデザイナーとしての就活をしていると言いましたよね?」
「はい、そうでしたね」
ヤンさんはニューヨークの大学でデザインを学び、今は卒業して就職活動をしていると言っていた。
「実はユーフォーテーブルに就職が決まりました」
ユーフォーテーブル。主にアニメーション、実写、CGの製作をする総合映像プラダクション。しかし、なんといっても今、大人気の鬼滅の刃のアニメを製作していることが1番印象に残っている。
「えー、凄い。本当ですか?おめでとうございます笑」
「はい、ありがとうございます笑」
「ユーフォーテーブルですか~」
「はい、かなり有名なアニメ会社だと言われていますが、僕は詳しくはわかりませんでした笑」
「そうですか笑」
「はい。上海の会社との面接をズームで行いました」
インターネットでユーフォーテーブルを調べてみる。
「ユーフォーテーブル...あ、本当だ。今インターネットで調べてるんですが、沢山のアニメを作ってる他、カフェなども展開してるんですね」
「はい。先生は鬼滅の刃のアニメや映画を見ましたか?」
「いえ、全部はまだ見れてないです。ヤンさんは?」
「実は私もまだ全部見てないんです笑 それで会社から早くアニメを見るように急かされています笑」
「なるほど笑 話数も多いから少し忙しくなりますね笑」
「そうですね笑」
「じゃあ、これからはどういう仕事をしていくんですか?アニメの製作とか?」
「いえ、それは日本の本社の仕事ですね。上海の支社に勤めることになるので、主に上海にある鬼滅の刃のコンセプトカフェ一号店の内装や商品のデザインをやります」
「カフェのデザインなんですね」
「はい、メニューや店内の飾りなどを担当します」
「うわあ、それは凄いな。憧れの仕事ですよ。日本でも鬼滅の刃は社会現象になるくらい大人気でしたからね」
「はい。恐らく鬼滅の刃は現時点では、世界で一番人気のアニメです」
「そうなんですか...。壮大ですね」
「はい」
「今のところ10話まではアニメを見ているんですが、それ以上はまだ見れていません」
「そうですか」
「はい、だから今は次の季節のメニューや内装をデザインしていく段階なんですが、時々何をデザインしているのかわからない事があります笑」
えー、それはまずいよ。早くアニメ見ないと~ヤンさん。
「それは大変ですね笑」
「今もメニューのデザインをしていて、締め切りが明後日の夕方と言われています。しかし、今は半分しかできていません笑」
「うわ、それは時間が足りない。デザインはどのようにしているんですか?」
「はい。デザイン専門のソフトを使います。主にPhotoshopやillustratorを使います。この二つが有名です」
「そうなんですね」
「後はポスターや本を印刷するところ...はなんて言いますか?」
「印刷会社ですかね?」
「はい、そうです。印刷会社に連絡しなくてはならないです」
「なるほど」
「はい、ウェブ上でデザインしたものを一度紙に印刷してみないと、細かい所や色の違いなどがわからないですから。頻繁に印刷会社に連絡することになります」
「あー、なるほど」
「はい」
「それにしても明後日が締め切りなら少し忙しいですね」
「はい、最近僕の生活リズムはおかしいです。深夜の3時か4時に寝て、昼の12時に起きます」
「夜型ですね笑」
「そうです笑 私は今週に採用されたのですが、まだ会社がある上海に行っていません」
「あ、そうなんですね」
「はい。来週に上海に引っ越す予定です。今は会社の人とはネットで連絡をとっています」
「なるほど。テレワーク中ですね」
「はい」
「なるほど。じゃあ仕事は家にこもってやっている事が多いんですね」
「そうです笑 しかし僕は元々インドアなので何も問題ないです」
家から出ないで日本語を教えている私と同じだ。私もこの仕事を始めてからインドアを極めている。
「私と同じですよ笑 家で仕事するのは楽でいいですよね笑」
「はい。それに僕が今住んでいる天津はつまらない街です」
天津...。天津飯のイメージしかない。
「そうなんですか。でも大きな都市ですよね」
「どうなんでしょう...。恐らく日本人からすると天津のイメージは天津飯が強いんではないでしょうか?」
「はい、強いですね」
「でも天津には天津飯というものは中国にはないかもしれません笑」
「ええ、そうなんですか??」
「はい。僕もこのことについて気になっていてネットで調べました。大正時代の関東大震災が起こった際に、当時の中国政府が援助物資として日本に食料を届けたらしいです。その中に天津のお米も含まれていたのですが、日本人にとって天津の米は硬くて食べられなかった。それで日本の調理師が、その天津の米に汁をかけて柔らかく食べられるように工夫して作った料理が天津飯という説があります」
「初めて知りました。そうなんですね」
「はい、それで天津飯と名付けられたようです」
「面白いですね。じゃあ中国の原料を使っていただけで、料理自体は日本人が考案したんですね」
「その説が濃厚らしいです」
「へー、そうなんですね。天津のお米は硬いんですか?」
「うーん、そうですね。僕はあまり知りませんが、多分その時の中国は凄く貧しかったですし、田んぼの状態や農家の作業効率の質も低かったでしょう。なので品質も悪かったのだと思います」
「そうなんですね。私は中国のお米は食べた事がありません」
「そうですか。僕は中国の米は食べ慣れていますが、日本に行った時に日本米を食べると、凄く美味しいと感じますね」
「日本の米の方が柔らかいですか?」
「いえ、柔らかいというよりも、例えば牛丼やカツ丼などでご飯の上におかずを被せる料理では、その美味しさを引き立てるような感じです」
「なるほど。確かに中国のお米はクセがある、というかお米自体に匂いがついているから炒め物などに使う事が多いと聞いたことはあります」
「そうですね」
レッスンの終わりの時間。
「今日はヤンさんの就職が決まった話が聞けて良かったです」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあまた色々お話し聞かせてくださいね」
「次からは上海から先生とお話しすることになると思います。また宜しくお願いします」
「そうか、それはなんだか楽しみですね。それではまた! 」
ヤンさんと話した感想
ユーフォーテーブル上海支社に就職が決まり、早速鬼滅の刃のコンセプトカフェのデザインの仕事を任されたヤンさん。彼のデザインしたメニューや内装を見るためにカフェに行ってみたいなと思った。
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