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二章 ハーレムルート

アドルフはライ似

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お父様とお兄様が帰ってくると、そのままの勢いで抱き締められた。
僕が来ているのを知っていたので、朝からお仕事を早く終わらせる為に頑張ったらしい。
お父様もお兄様もアドルフに会うととても嬉しそうな顔をしていた。
食事を終えてアドルフの部屋で寛ぎアドルフに母乳を与えると、長時間の移動に疲れたのかすやすやと眠ってしまった。
寝顔をいつまでも見ていたいほど、僕はアドルフに夢中にさせられてしまった。

こんこんこん

「はい?」

「俺だ。」

声でお兄様とすぐにわかり、僕は扉に駆け寄りお兄様を招き入れた。

「アドルフは?」

「今、眠ったところです。」

「…そうか」

二人でアドルフが眠るかベビーベッドまで移動して、覗き込んだ。

「ふふ。」

「…ライアン様に似ているな。」

「そうだね。」

二人で暫くの間、アドルフの寝顔を見つめていた。

「…今日はどうする?」

「んへ?」

今日はどうする?
何がだろう?

「一緒に眠るか?」

あっ、この前はお兄様の部屋に突撃したんだった。

「…一人で平気。お母さんだもんっ。」

「…そうか。」

お兄様の表情が少し残念そうに見えた。
いつまでもアドルフを眺めているわけにもいかないので、乳母に任せて僕は部屋に戻った。
当然お兄様のエスコート付きで。
一人部屋に入りお風呂を済ませ、やることがなくなると途端に寂しさが産まれる。
アドルフと一緒に…だけどこんな夜更けに僕がいったら迷惑かな。
乳母も出来るなら休みたいよね…。
僕が行き過ぎてアドルフが目覚めちゃったら可哀想だし…。

我慢しなきゃだよね…。

しんと静まり返る部屋が急に恐ろしく、独りぼっちの恐怖を感じた。
…お兄様の所に行けば良かった…。
頑張って布団をかぶり眠ることに一生懸命だったが、必死になればなる程目が覚めてしまう。

お兄様の所に今からでも行っても良いかな?

もう寝ちゃったかな?
もっと早くいけば良かったかな?
どうしようどうしよう…。
大丈夫…僕はもうお母さんなんだ。
一人で平気、一人で…。

がばっ。

僕は勢い良く起き上がり、部屋を飛び出していた。
向かった先は…。

こんこんこん

「あの…僕…です…。」

がちゃ。
扉がゆっくりと開いた。

「………」

僕から言わなければならないのに、先程断ってしまった手前なんとなく言い出せずにいた。

「眠れないか?」

優しい表情のお兄様が出迎えてくれた。

「…ぅん…今日も…ぃぃ?」

「あぁ」

お兄様の部屋へ一歩踏み入れた。
二度経験したが、緊張すると同時に安心もあった。
緊張と安心を同時に味わうなんて不思議。
お兄様に手を繋がれベッドまで誘導され、布団を捲ってくれ僕が先に入りお兄様も続いた。
僕を優先して布団を掛けてくれて、背中をポンポンってしてくれる。
お兄ちゃんって凄く安心しちゃう。
目線をあげるとお兄様と目が合う。
お兄様は僕が眠るまで起きててくれるのかな?
お仕事で疲れているはずなのに、ごめんなさい。
少し近づきお兄様の温もりを感じながら眠りに落ちていった。
自分の部屋のベッドでは眠れなかったのに、お兄様のベッドだとこんなにも早く睡魔に襲われた。
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