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第5章 新たな試練

第142話 貧乳でもついつい見てしまう男の性

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「ブレッシング」

 神聖魔法で身体強化を行い、具現化魔法で愛剣クレイモアそっくりの剣を作りだす。
 これまではこの時点で敵と戦っていたが、今回はこれに加えてもう一つ。

「プロテクト・シールド」

 自己の敏捷性を下げる代わりに、防御力を高める魔法をユーリヤに使用する。
 敏捷性が下がる割に人間の防御力なんてたかが知れているので、普段なら使用しない魔法なのだが、ユーリヤは俺の背中におぶさっているだけで、自分で動いたりしないし、そもそも幼女の状態で素早く動いたりしないので、デメリットが余りない。
 それに加えて、ユーリヤは人間ではなくドラゴンだ。
 ただでさえ強固なドラゴンの皮膚が強化されれば、たいていの攻撃は無効化出来るだろう。
 ……ただ、今俺におんぶされているユーリヤは、幼女らしくプニプニで柔らかいので、どこまで効果があるのかは分からないが。

「いくぞ、ユーリヤ。落ちるなよ」
「はーい! にーに、がんばってー!」

 神聖魔法による身体強化をした状態で、対象の男に走り寄り、そのまま愛剣を振り下ろす。
 街を破壊し、騎士たちを戦闘不能にした男だ。
 はっきり言って手加減するつもりはない。反省はあの世でしてもらおう。
 文字通り全力の一撃を放ち……手に伝わる手ごたえが、予想と違う事に驚く。
 見れば、男が手にした剣――騎士団が使っている標準的な剣で俺の一撃が防がれていた。

「ほぅ。少しは骨のあるのが現れたな」

 俺の全力の振り下ろしを軽々と防ぎながら、にぃっと不気味な笑みを浮かべる。
 ……神聖魔法で身体強化をしているのは相手も同じ。
 であれば、それぞれの神聖魔法の効果と元々の筋力の和で、相手の方が上回っているという事だろう。
 一旦剣を引いて、横薙ぎに剣を払うと、これも軽く防がれる。

「ふむ。少年、中々の力だ。だがその程度の力では、ワシには勝てん」

 男が俺の剣を弾くと、予想よりも遥かに強い力で押され、体勢を崩してしまう。
 そこへ男の剣が真っ直ぐに振り下ろされる。
 単純でキレもない、ただ剣を振り下ろしただけなので、俺はその攻撃を愛剣で受け、、

「くっ……」

 その剣の重さに思わず片膝を付く。
 見た目はただ髪が長いだけの中年男性なのに、この力は何だっ!?
 どちらも神聖魔法で身体強化しているというのに、力が違い過ぎる。
 具現化した愛剣にヒビが入り、このまま防ぎ続けていると剣が砕けると判断し、剣を捨てて横へ跳ぶ。

「あの男の攻撃を防いだ!? 一体、何者だ!?」
「確かフローレンス様の直属部隊ヘンリー隊長殿だ。誰か、ヘンリー殿に剣を!」
「少年! これを使ってくれ! ……しかし、その背中の幼女は何だ? 大丈夫なのか!?」

 見知らぬ騎士から剣を受け取り、男から距離を取る。
 残念ながら、単純な力では俺よりもあの男の方が上だ。
 だから、相手の身体強化魔法を解除する解除魔法――ディスペルを使いたいのだが、周りを囲む騎士の中に俺の事を知っている奴が居る。
 俺がここで神聖魔法の中でも高度な部類に入る解除魔法を使えば、どうして召喚士である俺が神聖魔法を使えるのかと、後々面倒な事になってしまう。
 くそっ……周りの騎士たちが邪魔だな。

「……そうだ。ユーリヤ、俺があの男に近づいたら、大きな声でディスペルって言ってくれないか?」
「いいよー。がんばってね、にーに」

 余裕を見せ、何もしてこない男に再び向き合い、

「行くぞ!」

 受け取った剣を構えて突撃する。

「ふん。背中の子供は何のつもりだ? 言っておくが、ワシは女子供でも関係無しに殺すぜ」

 俺を迎え撃つべく、男が剣を振り上げた所で、

「ユーリヤ! 今だ!」
「うん。でぃすぺゆー!」
「……ディスペル……」

 俺ではなく、ユーリヤが解除魔法を使ったていにして、小声で俺が解除魔法を発動させる。
 以前、魔法大会でも使った手段なのだが、

『そんなっ! どうしてっ!? こんなの有り得ませんっ!』

 突然アオイが叫び出す。

(どうした!?)
『解除魔法が……弾かれました』
(え?)

 一瞬の会話の後、俺と男が打ちあうと、アオイの言葉を肯定するかのように俺が力負けし、押し返された。

「解除魔法が効かない!?」
「にーに。ユーリヤ、なにかまちがえちゃったの?」
「いや、ユーリヤは悪くないよ。ただ、ちょっと驚いただけだ」

 俺の耳元で不安そうな声をあげるユーリヤに、気にするなと声を掛け、再び距離を取る。

(アオイ。解除魔法が失敗したのか?)
『違います。私が魔法を失敗なんて……でも……』
(わかった。解除魔法はもういいよ。何か手段は無いか?)

 アオイが押し黙り、その回答を聞くよりも先に、知った声が響く。

「貴方! その男には、魔法が効きませんのっ!」
「その声とその胸は……コートニー!?」
「胸は余計ですのっ! それより馬鹿な事を言っている場合ではありませんのっ!」

 つい胸に目が行ってしまったが、コートニーの言葉で視線を戻すと、すぐ目の前に男が迫っていた。
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