上 下
31 / 90
第1章 ゴミスキルと古代兵器

第27話 ご宿泊

しおりを挟む
「お兄ちゃん。やっと街に着いたね」
「そうだね。夕方には着く予定だったのに、もうすっかり夜だね」

 ジェームズたちのせいで時間を取られ、完全に日が落ちてしまった。
 とりあえず夕食にしたいんだけど、流石に着いてすぐにシャルロットを出さない方が良い気がする。
 すぐ近くに早馬で駆けてきた騎士たちが居るし、暫くすればマリーさんも現れるだろう。
 僕たちが街に着いた途端に、シャルロットが現れた……と、なったら再び拘束されかねない。

「とりあえず、このお店なんてどう?」
「良いんじゃないかな? クリス、お腹空いちゃったよー」

 いつもはシャルロットのオススメのお店に入っているけど、今日は僕の勘でお店を選ぶと、

「お兄ちゃん! すっごく美味しい!」
「うん、そうだね」

 適当に選んだ所が、大当たりで凄く美味しかった。
 僕の勘もあながち悪くないと思っていたら……めちゃくちゃ高いお店だったよ。
 いや、雰囲気も凄く良いし、サービスも味も申し分無いんだけど、その分料金が高い訳で。
 普段の食事の五倍くらいの金額を払い、次は宿探しなんだけど、

「すみません。本日は既に満室でして……」

 手頃な値段の宿に三軒連続で断られてしまった。
 シャルロットに案内してもらった時は、一度もこんな事なかったなと思いつつ、

「お兄ちゃん。あそこはどうかなー? 凄く可愛い宿だよー!」
「わかった。行ってみよう」

 クリスが選んだピンク色の壁の宿に行ってみる。
 この際、多少高くても良いや……と思っていたら、部屋が空いていた上に、お風呂まで付いているらしい。
 ベッドが一つと、お風呂だけという完全に寝る為だけの宿だけど、歩き疲れた僕は、そのままベッドに寝転ぶ。

「お兄ちゃん。じゃあ、クリスはお風呂に入ってくるね」
「うん、わかったよ」
「ふふっ、お風呂のある宿なんて初めてだよー」

 今日は大変だったけど、部屋にお風呂があるのが嬉しいのか、クリスが鼻歌混じりに奥へ行き、暫くすると水の流れる音が聞こえてきた。
 何となく音のする方へ顔を向けると、

「えっ!? クリ……ス!?」

 ガラスの向こうでクリスがシャワー浴びていて……あ、本当に女の子だったんだ。
 ……って、見ちゃダメだよっ!
 でも、どうしてお風呂がガラス張りなの!? というか、ガラス張りのお風呂なのに、どうしてクリスはこっちを向いているのさっ! 色々見えちゃったよっ!
 慌てて顔をベッドに埋め、暫くじっとしていると、

「お兄ちゃん。次、お風呂どうぞー。あと、見てみてー! こんな服が置いてあったのー」

 バスローブ姿のクリスがやって来た。

「う、うん。じゃあ、僕もお風呂に……」
「お兄ちゃん? どうしたの? まだお風呂に入っていないのに、顔が赤いよ?」
「いや、何でもないんだ」
「もしかして、熱でもあるの?」

 心配そうな表情を浮かべたクリスが、顔を近付けてきて……おでこがくっつく!

「熱は……ないのかな? でも、お兄ちゃん。本当に大丈夫ー?」
「うん。大丈夫だから」

 うぅ……騎士の一件で意識していなかったのに、さっき見てしまったから、またクリスが女の子だって意識してしまう。
 とりあえず、頭を冷やそうとシャワーを浴び……中は鏡張りなんだ。
 これなら、綺麗に身体を洗えるね。
 最近は桶の水で身体を拭くだけだったから、綺麗に身体を洗い、湯船で身体を温めてベッドに戻ると、

「お、お、お兄ちゃん。お、お帰りなさい」

 クリスの顔が何故かめちゃくちゃ赤い。
 耳まで真っ赤に染まったクリスが、何か言いたそうに僕の方をチラチラ見ては、ベッドに顔を埋める。
 そんな動作を暫く繰り返した後、相変わらず顔を真っ赤に染めたままのクリスが、僕の顔をジッと見つめてきた。

「あ、あの……お兄ちゃんも、見たの?」
「何を?」
「ナニっていうか、その……クリスがシャワーを浴びている所を」
「ん? …………あっ!」

 そうだった!
 お風呂は鏡張りだって思っていたけど、外からは中が見える、マジカルミラーだ!

「お兄ちゃんも……っていう事は、クリスも見たの?」
「うん。お兄ちゃんもクリスの裸を見たんだよね?」
「ご、ごめん。ちょっとだけ見ちゃった」

 互いに顔を真っ赤に染めたまま、暫く沈黙が続き、

「お兄ちゃん。ご、ごめんね。あんまり胸とか大きくなくて」

 クリスが突拍子のない事を口にする。

「クリス!? 何の話!?」
「だ、だって、クリスはお兄ちゃんと……な、何でもないっ! そ、それより、お兄ちゃん。今日は疲れたし、早く寝よっ!」
「そ、そうだね。疲れたもんね。じゃあ、僕は床で……」
「どうして? いつも一緒に寝てるじゃない。お兄ちゃんが床で寝るなら、クリスも床で寝るっ」

 結局、同じベッドで一緒に寝る事になったんだけど、いつも通りクリスの寝相が悪くて、バスローブがはだけていたり、抱きついてきたりするから、変に意識してしまって……全然眠る事が出来なかった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

若返りおじいちゃんは異世界で魔王様を救済します

BL / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:91

【R18】爆乳ママは息子の友達たちに堕とされる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:809pt お気に入り:206

二番目の夏 ー愛妻と子供たちとの日々— 続「寝取り寝取られ家内円満」

kei
大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:454pt お気に入り:26

おかしくなったのは、彼女が我が家にやってきてからでした。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:6,858pt お気に入り:3,855

処理中です...