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第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する
第20話 学校の定番イベント
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「それでは、今日の召喚魔法の授業はここまで。明日は一日使って、使い魔を捕まえに行くので、修練着に着替えておいてくださいね」
午前最後の授業で、意外な話が出てきた。
これは、いわゆる遠足という物だろうか。
教会に居た頃、噂には聞いていた、皆で遠くに出かけ、お喋りしたり、お菓子を食べたりしながら学友たちと親睦を深める一大イベントだ。
学校へ入学し、僅か四日にして、幼い頃から憧れていたイベントの一つを行う話が出て来るとは。
これは全力で楽しまなきゃ!
「ソフィア。どうしたんだ? 何だか、やけに嬉しそうだが」
「ねぇ、アルフレッド。お菓子は、いくらまで持って行って良いのかしら? フルーツはお菓子に含まれる?」
「……すまん。何の話か分からんが、菓子やフルーツが食べたいのなら、幾らでも用意するぞ?」
もう、アルフレッドは分かってないわね!
遠足と言えば、お菓子の話題で盛り上がるのがセオリーなんでしょ?
初めてこの話が出来る! と思ったのに。
「……ねぇ、マルク。貴方は、どんなお菓子を持っていくの?」
「……は? お菓子? デザートなら、我がロレーヌ家に仕えるパティシエに言って用意させるが?」
「そういう事じゃないのよ」
思っていた答えが返って来ないと嘆いていたら、「何言ってんだ、お前?」みたいな表情のマルクが、そんな事より昼食だ……と、教室を出て行ってしまった。
「そ、それなら、リュカは? どんなお菓子を持って行くの?」
「……僕、あんまり食べるの好きじゃないから」
そう言ったリュカは、眠そうに欠伸を噛み殺し……寝たー! お昼休みよ? 食べないと午後からお腹空くわよ!? というか、食べるのが好きじゃない……って、意味が分からないんだけどっ!
うぅ……初めて遠足トークが出来ると思ったのに。
いいもん。私一人でお菓子を買いに行って、一人で食べるんだからっ!
お菓子交換とかも、してあげないんだからーっ!
ちょっと悲しく思いつつ、とりあえずお昼ご飯を食べる為、食堂へ行こうとすると、
「ソフィア。昼メシなら一緒に食べないか?」
アルフレッドが声を掛けてきた。
「良いわよ。じゃあ、一緒に行きましょう。……でも、アルフレッドって、食堂で見掛けなかったけど、これまではどうしていたの?」
「ん? あぁ、俺はあんまり食事に拘らないからな。教室でパンをかじったり、弁当を持って来たりしていたな」
なるほど。あんまり貴族っぽくなくて、良いのではないだろうか。
マルクなんて、毎日学校近くの高級レストランへ行っているみたいだし。
そんな事を思いながら食堂へ行くと、何故か生徒たちが騒ついていた。
どうしたのかと思っていると、食堂の一角にあるテーブルが、どんな貴族が食事をするの? と聞きたくなる程、綺麗にセットされていて、おまけにメイドさんが側に二人立っていた。
一体何が始まるのかと思いながら遠目に見ていると、
「ソフィア、こっちだ。今日はソフィアに美味しい食事をプレゼントしようと思って、家のシェフを連れてきたんだ」
突然アルフレッドに手を引かれ、物凄く目立っているテーブルへと案内される。
「ちょ、ちょっと待って。どういう事?」
「昨日、クッキーを貰って喜んでいただろ? だから俺も、ソフィアに喜んでもらおうと思ってさ」
「お嬢様。どうぞ、こちらへ」
待って、お願い待って。
視線が……視線が痛いくらいに集中してるからっ!
「こちらは、今朝汲んできた湧水となります」
「本日のメインは、子牛の……」
違う、違うのっ!
美味しいご飯は嬉しいけれど、何て言うか、普通に……普通にご飯を食べようよっ!
どうやら、食堂のキッチンも借りているようで、出来立ての温かい料理が順番に運ばれて来たんだけど、周囲の視線が気になり過ぎて、全然味が分からなかった。
午前最後の授業で、意外な話が出てきた。
これは、いわゆる遠足という物だろうか。
教会に居た頃、噂には聞いていた、皆で遠くに出かけ、お喋りしたり、お菓子を食べたりしながら学友たちと親睦を深める一大イベントだ。
学校へ入学し、僅か四日にして、幼い頃から憧れていたイベントの一つを行う話が出て来るとは。
これは全力で楽しまなきゃ!
「ソフィア。どうしたんだ? 何だか、やけに嬉しそうだが」
「ねぇ、アルフレッド。お菓子は、いくらまで持って行って良いのかしら? フルーツはお菓子に含まれる?」
「……すまん。何の話か分からんが、菓子やフルーツが食べたいのなら、幾らでも用意するぞ?」
もう、アルフレッドは分かってないわね!
遠足と言えば、お菓子の話題で盛り上がるのがセオリーなんでしょ?
初めてこの話が出来る! と思ったのに。
「……ねぇ、マルク。貴方は、どんなお菓子を持っていくの?」
「……は? お菓子? デザートなら、我がロレーヌ家に仕えるパティシエに言って用意させるが?」
「そういう事じゃないのよ」
思っていた答えが返って来ないと嘆いていたら、「何言ってんだ、お前?」みたいな表情のマルクが、そんな事より昼食だ……と、教室を出て行ってしまった。
「そ、それなら、リュカは? どんなお菓子を持って行くの?」
「……僕、あんまり食べるの好きじゃないから」
そう言ったリュカは、眠そうに欠伸を噛み殺し……寝たー! お昼休みよ? 食べないと午後からお腹空くわよ!? というか、食べるのが好きじゃない……って、意味が分からないんだけどっ!
うぅ……初めて遠足トークが出来ると思ったのに。
いいもん。私一人でお菓子を買いに行って、一人で食べるんだからっ!
お菓子交換とかも、してあげないんだからーっ!
ちょっと悲しく思いつつ、とりあえずお昼ご飯を食べる為、食堂へ行こうとすると、
「ソフィア。昼メシなら一緒に食べないか?」
アルフレッドが声を掛けてきた。
「良いわよ。じゃあ、一緒に行きましょう。……でも、アルフレッドって、食堂で見掛けなかったけど、これまではどうしていたの?」
「ん? あぁ、俺はあんまり食事に拘らないからな。教室でパンをかじったり、弁当を持って来たりしていたな」
なるほど。あんまり貴族っぽくなくて、良いのではないだろうか。
マルクなんて、毎日学校近くの高級レストランへ行っているみたいだし。
そんな事を思いながら食堂へ行くと、何故か生徒たちが騒ついていた。
どうしたのかと思っていると、食堂の一角にあるテーブルが、どんな貴族が食事をするの? と聞きたくなる程、綺麗にセットされていて、おまけにメイドさんが側に二人立っていた。
一体何が始まるのかと思いながら遠目に見ていると、
「ソフィア、こっちだ。今日はソフィアに美味しい食事をプレゼントしようと思って、家のシェフを連れてきたんだ」
突然アルフレッドに手を引かれ、物凄く目立っているテーブルへと案内される。
「ちょ、ちょっと待って。どういう事?」
「昨日、クッキーを貰って喜んでいただろ? だから俺も、ソフィアに喜んでもらおうと思ってさ」
「お嬢様。どうぞ、こちらへ」
待って、お願い待って。
視線が……視線が痛いくらいに集中してるからっ!
「こちらは、今朝汲んできた湧水となります」
「本日のメインは、子牛の……」
違う、違うのっ!
美味しいご飯は嬉しいけれど、何て言うか、普通に……普通にご飯を食べようよっ!
どうやら、食堂のキッチンも借りているようで、出来立ての温かい料理が順番に運ばれて来たんだけど、周囲の視線が気になり過ぎて、全然味が分からなかった。
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