スキルが芽生えたので復讐したいと思います~スライムにされてしまいました。意外と快適です~

北きつね

文字の大きさ
72 / 143
第三章 スライム今度こそ街へ

第十三話 使い方

しおりを挟む

 ギフトの使い方は、クロトが教えてくれた。
 猫語が解るようになったわけではないが、私はクロトとラキシが何を言っているのか解るようになった。

 どうやら、こちらに友好的な魔物とは意思が通じるらしい。クロトの上に乗っていたスライムが、アトスの上に移動した。
 アトスの上に乗っていたスライムは、茜を見てから、アトスと何か話をする。

 話をしているのは解るけど、私にはアトスの話は解らない。

「千明?」

 アトスの話を聞いていたのだろうか、千明が少しだけ困った表情をしている。

「茜。スライムの話を、アトスが翻訳?してくれたけど・・・」

 スライムの話を通訳って表現がおかしいけど、アトスを経由してってことは、私も他の魔物と会話ができる?

 聞きたくないけど、聞いたほうがよさそうだ。
 円香さんや、孔明さんや、蒼さんの視線が怖い。

「どうしたの?」

「うん。このスライム君。名前は、”ライ”というのらしいけど、正確には、ここに居たスライムは、全部”ライ”というスライムだと言っていて・・・」

「ちょっと待て!千明。このスライムは、ネームドなのか?!」

「え?円香さん。見えないのですか?」

 円香さんなら、何か見えていたのかと思った。
 通常のスライムが、会話ができるくらいに知能があるとは思えない。でも、このアトスの上に居るスライムは、アトスと話をしている。

 円香さんの圧が怖い。

「あぁ・・・。前に、遭遇したスライムと同じだ。違いは・・・。ない」

「え?」

 今度は、千明がびっくりする。

「ん?」

「いえ、このスライムを・・・。あっ!」

 千明が何か言いかけて、言葉を濁す。

 クロトが、私の足を”テシテシ”する。そして、”にゃ!”と短く鳴いた。

 そうか、スキルを使えって事だね。
 使い方は、魔物を見て、スキルを思い浮かべる。発声すれば、確実に起動できるが、発声しなくても大丈夫だとクロトが教えてくれた。詠唱もあるらしいが、私たちが取得したスキルには詠唱はない。詠唱が無かったのは、純粋によかった。

”魔物鑑定”

名前:ライ(一部)
種族:キメラ・スライム

 他にも取得スキルが並んでいる。

「・・・。魔王?」

「茜!どうした!」

 ふらついた私を、円香さんが支えてくれた。
 ラキシを意識して見てから、スキルを発動する。

名前:ラキシ
種族:シティー・キャット
スキル:隠密 風爪

 ん?

名前:クロト
種族:シティー・キャット
スキル:跳躍 雷爪

 そうか、”ライ”には、スキルはあるが使える状態になっていない?
 スキルらしき物だと判断すればいいのか?
 ラキシとクロトと違うのは、スキルが淡い色で表示されている。スキルが使えないのか?
 あれだけのスキルがあるのは、この目の前に居る”ライ”だけなの?

 それにしても、家の子ラキシとクロトは、シティー・キャットなのか?
 それで、アトスがハウス・キャット。街猫と家猫?意味が解らないけど、種族としては別なのか・・・。

 よくわからない事は、考えない。

「茜!茜!」

「あっ・・・。円香さん。大丈夫です。少しだけ立ち眩みがしただけです」

「本当に大丈夫か?」

「はい。大丈夫です」

 円香さんが支えてくれていたのを思い出して、地面に手をついて立ち上がる。

「茜?」

 千明も近くまで来てくれた。
 どうやら、私と同じように”ライ”を魔物鑑定したようだ。

「円香さん。少しだけ、あと、少しだけ、千明と話をさせてください。その後に、話せることは、説明します」

 円香さんは、私と千明を見てから、足下にクロトとラキシとアトスを見て、最後にスライムを凝視してから頷いてくれた。

「あっ!円香さん!」

 千明がキャンピングカーに戻る途中で思い出したかのように、円香さんに話しかけた。

「なんだ?」

「スライムは、この子の他に、もう一体のスライムが居ますが、攻撃はしないようにお願いします」

「なぜだ!」

「この子が言うには、もう一体は土の中に居て・・・。女王蟻だと言っています」

「千明。茜。後で、説明してくれ・・・」

 円香さんの戸惑は私にも理解ができる。
 このスライムは、”ライ”という名前の”キメラ・スライム”だ。

 円香さんが言っているようにネームドなのも問題だが・・・。それ以上に、”会話が成立するほどの知恵”を持っている事が、問題になってくる。キメラ・スライムという種族は、”知能”が高いのか?それとも、この”ライ”だけなのか?

 キャンピングカーに戻って、茜の正面に座る。クロトとラキシは私の側に、アトスは千明の側に座る。
 ”ライ”は、テーブルの上に乗った。

「え?クロト。本当?」

”にゃ!”

「茜。どうしたの?」

「クロトから、”ライ”に触っていれば、『ギフトの力で会話ができる』と言われた」

「え?」

”みゃみゃ!”

 どうやら、アトスも同じ事を千明に伝えたようだ。

 スライムに手を伸ばして、恐る恐る触る。
 少しだけ冷たい感触が心地よい。手をスライムに溶かされることもなく、スライムのボディを触る事ができた。

「貴方は、”ライ”なのですね?」

『はい』

 え?こんなにはっきりとした意思なの?
 クロトやラキシとは違う。完全に、会話が成り立つレベルだ。

 千明も触っているが、会話の主導権は私が握ることになった。
 ギルドとして、経験が長いのが私だから、一応・・・。先輩として、私の役目だと思う。本当は、千明の方が、インタビューとかしているから、得意だと思うのだけど・・・。
 それにしても、魔物と会話して・・・。スライムから聞き取り調査を行うのは、私たちがギルドで初めてだろう。

「いろいろ質問していい?」

『はい。ですが・・・』

「解っている。女王様には攻撃しない」

『いえ、攻撃しても構わないのですが、暴走してしまうと、困るのは貴方たちだと本体が判断しています』

「え?本体?」

『はい。私の本体は、別に存在しています。女王様も、本体の一部です』

「え?スライムって、全体で一つなの?」

『他のスライムを知らないので、お答えできませんが、私たちは本体から分離した”キメラ・スライム”です。意識を共有できるようになりました。マスターが付けてくれた大切な”名”です』

「・・・。マスター?貴方たちは、元々は蟻だったのよね?」

『私は、そうです。他にも、いろいろな昆虫や動物が居ます。あなた方は、ギルドの方々で合っていますか?』

「え?ギルドを知っているの?それって、魔物の世界では常識なの?」

『いえ、他の魔物は知りません。マスターは、貴方たちの事を、ギルドの人なら、私を通して交渉したいと言っています』

「え?ちょっと待って、理解ができない事が多すぎて・・・」

『失礼しました。貴女のお名前を伺っても?』

「え?私は、里見茜。もう一人は、柚木千明」

『里見さんが、ギルドのリーダーですか?』

「違います。外に居る・・・。覚えているか解らないけど・・・。もう一人の女性がギルド長の榑谷円香さん」

『鑑定と隠蔽と感知系と光系のスキルを持っていた女性ですね。強そうだったので、覚えています』

「え?」「は?」

『鑑定のレベルが低くて、私たちのスキルは見抜けていないと思います。貴方たちの”魔物鑑定”が必要です。あと、私には”魔物支配”は通用しません』

「え?でも、大量に居たスライムが、スキルを使えたの?」

『本体と繋がったのが、私と女王様だけになってしまってからです。その前は、スキルは封印されています。これは、私たちを魔物にした愚か者のレベルが低いためです。あの愚か者は、あろうことか、巣穴全体をスキルの範囲に指定したのです。そして、この領域から出るなと初期の命令をしました』

「ちょっと待って、本当に、本当に、少しだけ待って、情報が・・・。解らないよ」

 もう既に、千明は考えるのを辞めてしまっているようだ。
 ”ライ”に手は置いているが、反対の手で、アトスを撫でている。目線は、アトスに固定している。

 今の話を、私が円香さんと孔明さんと蒼さんにするの?
 無理。絶対に、そのまま精神が壊れたと思われる。私が、円香さんの立場なら、間違いなく、”壊れた”と思う。それか、”ライ”に乗っ取られたと思うだろう。どうやって説明しても、理解はしてくれないだろう。まず、私が”ライ”の話を理解ができない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい

夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。 彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。 そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。 しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...