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【第1部】0.恋愛未満
0.恋愛未満
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「じゃあな、気をつけて帰れよ」
「はい。失礼します」
聡子はぺこりと頭を下げた。
トモは応えるように片手を上げ、踵を返した。その背中を少し見送り、聡子も背を向けた。
(帰ろう……)
ズキズキと胸が痛む。
トモと会ったあとは、いつもこんなふうに胸が痛む。身体も痛むけれど、それはトモの温もりの証拠だから、そちらの痛みは、今は平気だと思えるようになった。
彼は、聡子の「好きな人」。
でも相手は聡子のことを気にも留めてなどいない。
あくまでも遊び相手。
遊び相手以下かもしれない。
寝るだけの女。
性欲を吐き出すだけの相手。
たくさんいる「女」の一人でしかないのだ。
(それでもいいんだ……)
彼が自分を必要としてくれるなら。
そう自分に言い聞かせている。
(好きになった人とつながっていられるなら)
まさか自分がそんな恋愛をするとは思わなかった。
恋愛とは縁遠い高校生だったあの頃、彼に出会った時に、こんな未来になるとは思いもしなかった……。
「はい。失礼します」
聡子はぺこりと頭を下げた。
トモは応えるように片手を上げ、踵を返した。その背中を少し見送り、聡子も背を向けた。
(帰ろう……)
ズキズキと胸が痛む。
トモと会ったあとは、いつもこんなふうに胸が痛む。身体も痛むけれど、それはトモの温もりの証拠だから、そちらの痛みは、今は平気だと思えるようになった。
彼は、聡子の「好きな人」。
でも相手は聡子のことを気にも留めてなどいない。
あくまでも遊び相手。
遊び相手以下かもしれない。
寝るだけの女。
性欲を吐き出すだけの相手。
たくさんいる「女」の一人でしかないのだ。
(それでもいいんだ……)
彼が自分を必要としてくれるなら。
そう自分に言い聞かせている。
(好きになった人とつながっていられるなら)
まさか自分がそんな恋愛をするとは思わなかった。
恋愛とは縁遠い高校生だったあの頃、彼に出会った時に、こんな未来になるとは思いもしなかった……。
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