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特別番外編(2)
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来月、秋成さんの秘書が椿野さんという入社二年目の女性に代わる予定になっている。小山田さんがおめでたで、来月から産休に入ることになっており、椿野さんは小山田さんについて研修中だった。
先々週、生け込みに行った際、小山田さんから産休に入る報告を受け、椿野さんを紹介してくれたのだけど、これがまた若くて可愛い人だった。
ぱっちり二重のキラキラな瞳に愛らしいピンクの唇。透明感のある肌はきめが細かくて、二十七歳のわたしはどんなにがんばっても、このナチュラルな美しさには到底敵わないと思った。
数回顔を合わせ、なんとなく感じた。彼女は秋成さんに気がある。これは女の勘。間違いない!
「二十三かあ……」
「なんの数字?」
「うゎ!」
椿野さんの年齢を思わず声に出したら、いきなり秋成さんが現れるので、椅子からひっくり返りそうになった。
「びっくりしたあ。もうシャワー終わったの?」
「そんなに早い? 別に急いで浴びたわけじゃなくて、いつも通りのつもりだけど」
部屋着に着替えた秋成さんは、肩にかけていたバスタオルで髪をふいている。それから冷蔵庫を開け、ミネラルウォーターの瓶を取り出すと、立ったままその場でゴクゴクと飲みはじめた。
はぁ……ため息が出そう。だって格好いいんだもん。水を飲むだけでさまになるなんてずるいよ。
「やっぱり変だよ。言いたいことがあるなら言って」
バッチリ目が合い、秋成さんが眉根を寄せた。
「気のせいだよ。別に言いたいこともないし」
今のは秋成さんに見とれていただけなのに。
「今だけじゃないよ。さっきもちょっと変だった」
「さっき?」
あっ! そっちのことか。
披露宴の花嫁さんがきれいだったという会話のやり取り。
「僕、なにかしたかな?」
さっきはさらりと流していたけれど、やっぱりわたしの態度が気になっていたんだ。
「あれは……」
うーん、なんて言い訳しよう。
「なに?」
まっすぐに見つめてくる。こうなると秋成さんは譲らない。
「だから……なっ、なんでもないってば!」
ついムキになって否定してしまった。まずいと思い、慌てて笑ってごまかしてみたけれど、今さら遅かったみたい。
せめてもと思い、できるだけ顔を合わせないようにしたけれど。
「咲都、こっち向いて」
秋成さんはとうとう隣に座ってきた。そっぽを向いているわたしの顔を両手で挟んで自分のほうに向かせる。
「なにが不満? 最近、あんまりデートしてないことを怒ってるの?」
「そんなつまらない理由で怒ってるわけじゃない」
「ほら、やっぱり怒ってる」
「あっ……」
今のわざとだったんだ。どうやら、わたしはうまくのせられてしまったみたい。
「そうやって誘導するなんてずるい」
「どっちにしても顔を見れば一発でわかるよ」
もう、わたしったらどうしてすぐ顔に出ちゃうんだろう。
でも最近おかしいんだよね。前はちょっとやきもちを焼く程度だったのに、今はそれよりも質《たち》が悪いものになっている。秋成さんを好きすぎて、自分をコントロールすることが困難になっているみたい。
はぁ……自己嫌悪。
今のわたしは、いったいどんな顔をしているんだろう。
「新しい秘書の女の子……」
「椿野さんがどうかした?」
「曲がっていないのに秋成さんのネクタイを直したり、スーツにゴミなんてついてないのにゴミを取るフリをしたり。あと、上目遣いもわざとらしいというか……。そういうの、秘書としてどうなのかなって思うの」
たぶんだけど、わたしがいるときを見計らってそういうことをしているように思う。だって、そのあと必ず彼女と目が合うんだもん。
秋成さんがわたしとつき合っていることは、社内では小山田さんにしか言っていない。でも秋成さんはオープンな性格だから、わたしたちが一緒にいるところを見て、椿野さんは察したんだろう。
だけど秋成さんも秋成さんだよ。ひとこと椿野さんに言えないのかな。簡単にネクタイを直させないでほしい。
それとも彼女の魂胆に気づいていないの?
「もっと品格のある人はいないの?」
優秀な小山田さんと同じレベルを求めるとなかなか人材は見つからないかもしれない。でも椿野さんより適任者はよくさがせば社内にいるはず。
だけどこれはわたしの嫉妬心がそういう思考にさせているのかもしれない。こんな話をするつもりなんてなかったのに。秋成さん、引いちゃったよね。
先々週、生け込みに行った際、小山田さんから産休に入る報告を受け、椿野さんを紹介してくれたのだけど、これがまた若くて可愛い人だった。
ぱっちり二重のキラキラな瞳に愛らしいピンクの唇。透明感のある肌はきめが細かくて、二十七歳のわたしはどんなにがんばっても、このナチュラルな美しさには到底敵わないと思った。
数回顔を合わせ、なんとなく感じた。彼女は秋成さんに気がある。これは女の勘。間違いない!
「二十三かあ……」
「なんの数字?」
「うゎ!」
椿野さんの年齢を思わず声に出したら、いきなり秋成さんが現れるので、椅子からひっくり返りそうになった。
「びっくりしたあ。もうシャワー終わったの?」
「そんなに早い? 別に急いで浴びたわけじゃなくて、いつも通りのつもりだけど」
部屋着に着替えた秋成さんは、肩にかけていたバスタオルで髪をふいている。それから冷蔵庫を開け、ミネラルウォーターの瓶を取り出すと、立ったままその場でゴクゴクと飲みはじめた。
はぁ……ため息が出そう。だって格好いいんだもん。水を飲むだけでさまになるなんてずるいよ。
「やっぱり変だよ。言いたいことがあるなら言って」
バッチリ目が合い、秋成さんが眉根を寄せた。
「気のせいだよ。別に言いたいこともないし」
今のは秋成さんに見とれていただけなのに。
「今だけじゃないよ。さっきもちょっと変だった」
「さっき?」
あっ! そっちのことか。
披露宴の花嫁さんがきれいだったという会話のやり取り。
「僕、なにかしたかな?」
さっきはさらりと流していたけれど、やっぱりわたしの態度が気になっていたんだ。
「あれは……」
うーん、なんて言い訳しよう。
「なに?」
まっすぐに見つめてくる。こうなると秋成さんは譲らない。
「だから……なっ、なんでもないってば!」
ついムキになって否定してしまった。まずいと思い、慌てて笑ってごまかしてみたけれど、今さら遅かったみたい。
せめてもと思い、できるだけ顔を合わせないようにしたけれど。
「咲都、こっち向いて」
秋成さんはとうとう隣に座ってきた。そっぽを向いているわたしの顔を両手で挟んで自分のほうに向かせる。
「なにが不満? 最近、あんまりデートしてないことを怒ってるの?」
「そんなつまらない理由で怒ってるわけじゃない」
「ほら、やっぱり怒ってる」
「あっ……」
今のわざとだったんだ。どうやら、わたしはうまくのせられてしまったみたい。
「そうやって誘導するなんてずるい」
「どっちにしても顔を見れば一発でわかるよ」
もう、わたしったらどうしてすぐ顔に出ちゃうんだろう。
でも最近おかしいんだよね。前はちょっとやきもちを焼く程度だったのに、今はそれよりも質《たち》が悪いものになっている。秋成さんを好きすぎて、自分をコントロールすることが困難になっているみたい。
はぁ……自己嫌悪。
今のわたしは、いったいどんな顔をしているんだろう。
「新しい秘書の女の子……」
「椿野さんがどうかした?」
「曲がっていないのに秋成さんのネクタイを直したり、スーツにゴミなんてついてないのにゴミを取るフリをしたり。あと、上目遣いもわざとらしいというか……。そういうの、秘書としてどうなのかなって思うの」
たぶんだけど、わたしがいるときを見計らってそういうことをしているように思う。だって、そのあと必ず彼女と目が合うんだもん。
秋成さんがわたしとつき合っていることは、社内では小山田さんにしか言っていない。でも秋成さんはオープンな性格だから、わたしたちが一緒にいるところを見て、椿野さんは察したんだろう。
だけど秋成さんも秋成さんだよ。ひとこと椿野さんに言えないのかな。簡単にネクタイを直させないでほしい。
それとも彼女の魂胆に気づいていないの?
「もっと品格のある人はいないの?」
優秀な小山田さんと同じレベルを求めるとなかなか人材は見つからないかもしれない。でも椿野さんより適任者はよくさがせば社内にいるはず。
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