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第十五話 他国の皇子
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ブバリオの皇子…?
ブバリオ帝国…、割と離れた国ね。
確か、条約を切れないように人質の皇子がいるとは
知ってたけど、会ったことはなかったな。
離宮にいるらしいし。
…しかも国王に会わせろなんてタイミングが悪い。
今お父様は寝込んでるみたいだし、もし国王の調子が
良くないことがバレてしまえば、一気に攻められるかも。
にしても、しつこいな。
まったく帰る気配がない。
「…ブバリオの皇子様ですか」
「…失礼ながら、どなたでしょうか」
本当に失礼だな…。
「私はこのフィオンシーナの第一王女、
スノーリリー・ベル・フィオンシーナ。
王位継承権第一位にして、この国の次の王です。」
「…それは大変失礼いたしました、王女殿下」
…ふーん、礼儀はちゃとしてるわね。
ん?
待て、フィオンシーナのことで頭いっぱいだったけど、
こいつ…、攻略対象のイデア・ガイ・ブバリオ…!?
確かイデアとのルートを選ぶと、禁断の恋…
からの、一度イデアは解放され、ブバリオに戻るものの、
スカーレットへの気持ちに気が付き、帰って来る。
はいハッピーエンド~な訳だが、
残念ながら、この国にもうヒロインは存在していない。
「国王陛下は今公務にあたられています。
ご用なら私がお聞きしますが?」
「…今この国の公務は全て第一王女様が
なさっているとお聞きしましたが?」
…こいつ馬鹿ではないのか?
凛とした雰囲気から、馬鹿そうには見えない。
いや、メガネかけてるからかもだけど。
「まあよくご存じですこと。
なのに私のことは知らなかったのですね」
ちょっと意地悪言ったかな。
まあ知らないのは会ったことないから当然
なんだけど…。
「それにつきましては大変失礼いたしました。」
「かまいません。が、ご存じの通り私も陛下も
公務で忙しいのです。全て私が公務をこなしてても、
国王の仕事がなくなるわけではないでしょう?
わざわざ人質の皇子の話を聞くほど、暇じゃないの。
王族ならば自国が最優先。そうでしょう」
「…もちろんです。
あなたのおっしゃることは、
ごもっともであると思います。
ですが何卒、私の話を聞いていただきたく
存じます。この通り…」
イデアが頭を深く深く下げた。
…あれ?イデアってもっとこう…、
冷酷で無口でなんかプライド高いよね?
頭なんて、絶対下げそうにないのに、下げた。
「30分」
「へ?」
「それだけならあなたの話を聞きましょう」
「ありがとうございます!!」
「…一応国同士の話だから、
あなた達は席を外してくれるかしら」
「御意に。」
…侍女の退出を確認。
「で?話って?」
「大変申し上げにくいのですが、
第二王女殿下はどちらに?」
「は?」
「国王に第二王女殿下に結婚のお申込みを
提案したかったのですが、
いらっしゃらないようですし…」
まさかこいつ、処刑されたこと知らないの?
離宮にいたなら知らないってことも…あるのか?
それに、堂々と国王に進言しに行くなんて、
どんだけチャレンジャーなの…。
「で、お許しを願いたいのですが」
…こいつそんなことのために話を
こぎつけたの?…信じらんない。
「確認しますが、あなたあの子と
面識は?」
「ありませんが」
「なのに結婚したいと?」
「はい。」
ふうとため息をついてから、
口を開いた。
「…あの子、私の妹の
スカーレットが処刑された話を、あなたは知らなかった、
みたいですね」
「処刑!?国王陛下が、そのようなことを?」
「いいえ、刑を決めたのはこの私です」
「い、妹様、なんですよね。
血の…つながった」
「…あれは、妹などではありません。」
「何故そのような…!」
「では、あなたは婚約者を寝取られ、
自分の王位継承権を剥奪しようと目論む者を、
兄弟といえるのですか?それどころか、
私はあの子に首をしめられた。
この国にとって、害にしかならぬ存在を、
王族の恥にしかなっていない存在を、生かしておけと?
それこそ無理な話では?」
「…その通りですね。でも本当はあなた、
最初からスノーリリーじゃないでしょ」
「!?」
今、なんて言ったの?
私の聞き間違えじゃなければ、今私は…
「お前は誰だ」…と聞かれている。
「俺の計画が台無しだまったく…。
まさかカーネルと一緒に処刑されてるとはな。」
…なんで知ってるの!?
まさか、まさか……、
「転生者?」
「お、あたり~。
言っとくけど、ゲイなわけじゃないから。
妹に頼まれてやってたら通り魔に刺されて死んじまった。
…やっぱあんたも転生者なんだ」
まさか攻略対象の中に転生者が紛れ込んでるなんて…。
びっくりにもほどがある。
「スカーレットは邪魔だっただろ」
「ええ、すっごく。でもあの子がうまく立ち回れば、
あの子の勝ちだった。ちなみにあの子も転生者よ。
馬鹿だったあの子がわるいんじゃない?あの子は、
私との戦争に負けたのよ。
…あと、口の利き方には気をつけなさいよ。ここで私が
無礼者をひっ捕らえよって言えば、終わりなのよ」
「勘弁してくれませんかね」
「まあ日本人のよしみでそんなことは
しないけど。でもこの国で余計な事起こそうものなら、
…殺すわよ。私は同じく転生者で妹を殺したこともある女なの。
気をつけなさい」
「ご忠告痛み入ります。」
「で?計画って何」
「え?あー、ほらスカーレットってすごい馬鹿だろ」
すっごく同感。
「だからこの美形フェイスを使ってブバリオに帰してもらおうかなーと
思ったんだけど、まさか死んでたとはな。
転生者で聡明なあなたには勝てそうにないよ。」
「残念だったわね。」
…なんだろう。無口キャラのイデアがめちゃくちゃ喋ってる…。
違和感、しかない。
「なんか、無口キャラのイデアが喋ってると、
かなり不自然ね」
「あー…、そうかもですね。
でもぶっちゃけクールキャラはレオンハルトだけでいいっていうか。
若干レオンハルトとイデアってキャラ被りしてるって思ったことない
ですか?」
「わかる。」
「でもレオンハルトの遠回しな言い方も
気遣われてる感あっていいし、イデアは大人しいのに
剣術得意とかギャップありすぎて最高」
「それな!!
って…、あんた結構やりこんでるわね」
「もう一度言うがゲイではないからな」
「はいはい。」
なんかすごい豊かな人だな…。
他国の皇子だから信用に値する人物かは分かんないけど。
でも、本当にいい人なら、仲良くなれそうな気がする。
でも…、この人の目的は自国に帰ること。
利用しても、されないように十分注意しなければ。
「また、来てもいいですか?」
「忙しいって言わなかったけ?」
「そこをなんとか…」
「私婚約者がいるから、変な噂でもたったら困るの。」
「え、ホントに?
攻略対象の誰か?」
「私は元はモブだからね。
ヒロインの死後、おそらく攻略対象の興味が私に
向いた。だけど、私の愛する人は攻略対象の誰でもない。」
「…愛、してるんですね」
「うん。めちゃくちゃ。
…ねえ、イデア・ガイ・ブバリオ。」
「何ですか?ていうか、なんでフルネーム…。
イデアって呼んでくださいよ」
「いやよ。」
「冷たい…」
「ぶっちゃけどうなの?あなたはブバリオに帰りたいだけ
なんでしょ?いい?イデア・ガイ・ブバリオ。
私があなたを利用することはあっても、あなたに利用されることはない。
だってここは、私が将来統べる国だもの」
「…めっちゃ手ごわいじゃん。
あんたがラスボスだな」
「お褒めに預かり光栄よ。じゃあね」
「でも王宮で会ったら少し話すくらいして下さいよ」
「気が向いたらね」
…毎日目まぐるしくて死にそう。
転生者、か。
ヒロイン以外にもいたなんて…。
一応監視が必要ね。
「カヌレ」
「はい、スノーリリー様」
カヌレが入って来る。
「この国の人質として離宮にいる、
イデア・ガイ・ブバリオに腕利きの監視役をつけて。
不審な行動を取れば、即報告を。」
「仰せのままに」
相手が転生者である以上、手は抜けない。
もしかすると転生者って何人かいるのかしら?
「リリー、リリーってば」
「えっ…、何?」
ヤバい、コルゼといる時によそ事考えてた…。
恋人との時間は大切にしないと…。
「何か考え事?」
「あー…そんなとこ」
「…そういえば今日ブバリオの皇子が
リリーの執務室から出てくるのを見たって人がいたんだ。
何かあったの?」
そんな話を噂するやつがいるんだ…。
暇人め。
「何でもないわ。
帰してくれみたいなことを言われたけれど、
私が利用されるわけにもいかないし、人質を帰すわけには
いかない。」
「もちろんそうだね。
…リリー、ブバリオの皇子はすごく美形って聞いたんだけど、
どうだった?」
そりゃ攻略対象だからイケメンよね。
興味ないけど。
「まあ確かにきれいな顔だったわね」
「ふーん…」
「嫉妬かしら?」
なんてほほ笑むと、コルゼがムスっとした顔をした。
「嫉妬以外になにがあるっていうのさ。
俺、そんなに心広くないんだ」
「まあ嬉しい」
「…からかってるでしょ」
「そんなことな…んっ…」
ちょちょ、二人きりの部屋にいるとはいえ、
いきなり…。
コルゼって、キスする時、少し強引になる。
まあそんなところも好きなんだけど…。
唇が離れた。
「ねえリリー。何かあったら、何でも言ってね。
必ず、力になるから」
「ありがとう、コルゼ」
「近い将来、支えあって生きていく夫婦になるんだ。
だから、何でも言ってほしい。」
「うん…」
大丈夫、だよね。
今は、この心のざわつきを、無視したかった。
ブバリオ帝国…、割と離れた国ね。
確か、条約を切れないように人質の皇子がいるとは
知ってたけど、会ったことはなかったな。
離宮にいるらしいし。
…しかも国王に会わせろなんてタイミングが悪い。
今お父様は寝込んでるみたいだし、もし国王の調子が
良くないことがバレてしまえば、一気に攻められるかも。
にしても、しつこいな。
まったく帰る気配がない。
「…ブバリオの皇子様ですか」
「…失礼ながら、どなたでしょうか」
本当に失礼だな…。
「私はこのフィオンシーナの第一王女、
スノーリリー・ベル・フィオンシーナ。
王位継承権第一位にして、この国の次の王です。」
「…それは大変失礼いたしました、王女殿下」
…ふーん、礼儀はちゃとしてるわね。
ん?
待て、フィオンシーナのことで頭いっぱいだったけど、
こいつ…、攻略対象のイデア・ガイ・ブバリオ…!?
確かイデアとのルートを選ぶと、禁断の恋…
からの、一度イデアは解放され、ブバリオに戻るものの、
スカーレットへの気持ちに気が付き、帰って来る。
はいハッピーエンド~な訳だが、
残念ながら、この国にもうヒロインは存在していない。
「国王陛下は今公務にあたられています。
ご用なら私がお聞きしますが?」
「…今この国の公務は全て第一王女様が
なさっているとお聞きしましたが?」
…こいつ馬鹿ではないのか?
凛とした雰囲気から、馬鹿そうには見えない。
いや、メガネかけてるからかもだけど。
「まあよくご存じですこと。
なのに私のことは知らなかったのですね」
ちょっと意地悪言ったかな。
まあ知らないのは会ったことないから当然
なんだけど…。
「それにつきましては大変失礼いたしました。」
「かまいません。が、ご存じの通り私も陛下も
公務で忙しいのです。全て私が公務をこなしてても、
国王の仕事がなくなるわけではないでしょう?
わざわざ人質の皇子の話を聞くほど、暇じゃないの。
王族ならば自国が最優先。そうでしょう」
「…もちろんです。
あなたのおっしゃることは、
ごもっともであると思います。
ですが何卒、私の話を聞いていただきたく
存じます。この通り…」
イデアが頭を深く深く下げた。
…あれ?イデアってもっとこう…、
冷酷で無口でなんかプライド高いよね?
頭なんて、絶対下げそうにないのに、下げた。
「30分」
「へ?」
「それだけならあなたの話を聞きましょう」
「ありがとうございます!!」
「…一応国同士の話だから、
あなた達は席を外してくれるかしら」
「御意に。」
…侍女の退出を確認。
「で?話って?」
「大変申し上げにくいのですが、
第二王女殿下はどちらに?」
「は?」
「国王に第二王女殿下に結婚のお申込みを
提案したかったのですが、
いらっしゃらないようですし…」
まさかこいつ、処刑されたこと知らないの?
離宮にいたなら知らないってことも…あるのか?
それに、堂々と国王に進言しに行くなんて、
どんだけチャレンジャーなの…。
「で、お許しを願いたいのですが」
…こいつそんなことのために話を
こぎつけたの?…信じらんない。
「確認しますが、あなたあの子と
面識は?」
「ありませんが」
「なのに結婚したいと?」
「はい。」
ふうとため息をついてから、
口を開いた。
「…あの子、私の妹の
スカーレットが処刑された話を、あなたは知らなかった、
みたいですね」
「処刑!?国王陛下が、そのようなことを?」
「いいえ、刑を決めたのはこの私です」
「い、妹様、なんですよね。
血の…つながった」
「…あれは、妹などではありません。」
「何故そのような…!」
「では、あなたは婚約者を寝取られ、
自分の王位継承権を剥奪しようと目論む者を、
兄弟といえるのですか?それどころか、
私はあの子に首をしめられた。
この国にとって、害にしかならぬ存在を、
王族の恥にしかなっていない存在を、生かしておけと?
それこそ無理な話では?」
「…その通りですね。でも本当はあなた、
最初からスノーリリーじゃないでしょ」
「!?」
今、なんて言ったの?
私の聞き間違えじゃなければ、今私は…
「お前は誰だ」…と聞かれている。
「俺の計画が台無しだまったく…。
まさかカーネルと一緒に処刑されてるとはな。」
…なんで知ってるの!?
まさか、まさか……、
「転生者?」
「お、あたり~。
言っとくけど、ゲイなわけじゃないから。
妹に頼まれてやってたら通り魔に刺されて死んじまった。
…やっぱあんたも転生者なんだ」
まさか攻略対象の中に転生者が紛れ込んでるなんて…。
びっくりにもほどがある。
「スカーレットは邪魔だっただろ」
「ええ、すっごく。でもあの子がうまく立ち回れば、
あの子の勝ちだった。ちなみにあの子も転生者よ。
馬鹿だったあの子がわるいんじゃない?あの子は、
私との戦争に負けたのよ。
…あと、口の利き方には気をつけなさいよ。ここで私が
無礼者をひっ捕らえよって言えば、終わりなのよ」
「勘弁してくれませんかね」
「まあ日本人のよしみでそんなことは
しないけど。でもこの国で余計な事起こそうものなら、
…殺すわよ。私は同じく転生者で妹を殺したこともある女なの。
気をつけなさい」
「ご忠告痛み入ります。」
「で?計画って何」
「え?あー、ほらスカーレットってすごい馬鹿だろ」
すっごく同感。
「だからこの美形フェイスを使ってブバリオに帰してもらおうかなーと
思ったんだけど、まさか死んでたとはな。
転生者で聡明なあなたには勝てそうにないよ。」
「残念だったわね。」
…なんだろう。無口キャラのイデアがめちゃくちゃ喋ってる…。
違和感、しかない。
「なんか、無口キャラのイデアが喋ってると、
かなり不自然ね」
「あー…、そうかもですね。
でもぶっちゃけクールキャラはレオンハルトだけでいいっていうか。
若干レオンハルトとイデアってキャラ被りしてるって思ったことない
ですか?」
「わかる。」
「でもレオンハルトの遠回しな言い方も
気遣われてる感あっていいし、イデアは大人しいのに
剣術得意とかギャップありすぎて最高」
「それな!!
って…、あんた結構やりこんでるわね」
「もう一度言うがゲイではないからな」
「はいはい。」
なんかすごい豊かな人だな…。
他国の皇子だから信用に値する人物かは分かんないけど。
でも、本当にいい人なら、仲良くなれそうな気がする。
でも…、この人の目的は自国に帰ること。
利用しても、されないように十分注意しなければ。
「また、来てもいいですか?」
「忙しいって言わなかったけ?」
「そこをなんとか…」
「私婚約者がいるから、変な噂でもたったら困るの。」
「え、ホントに?
攻略対象の誰か?」
「私は元はモブだからね。
ヒロインの死後、おそらく攻略対象の興味が私に
向いた。だけど、私の愛する人は攻略対象の誰でもない。」
「…愛、してるんですね」
「うん。めちゃくちゃ。
…ねえ、イデア・ガイ・ブバリオ。」
「何ですか?ていうか、なんでフルネーム…。
イデアって呼んでくださいよ」
「いやよ。」
「冷たい…」
「ぶっちゃけどうなの?あなたはブバリオに帰りたいだけ
なんでしょ?いい?イデア・ガイ・ブバリオ。
私があなたを利用することはあっても、あなたに利用されることはない。
だってここは、私が将来統べる国だもの」
「…めっちゃ手ごわいじゃん。
あんたがラスボスだな」
「お褒めに預かり光栄よ。じゃあね」
「でも王宮で会ったら少し話すくらいして下さいよ」
「気が向いたらね」
…毎日目まぐるしくて死にそう。
転生者、か。
ヒロイン以外にもいたなんて…。
一応監視が必要ね。
「カヌレ」
「はい、スノーリリー様」
カヌレが入って来る。
「この国の人質として離宮にいる、
イデア・ガイ・ブバリオに腕利きの監視役をつけて。
不審な行動を取れば、即報告を。」
「仰せのままに」
相手が転生者である以上、手は抜けない。
もしかすると転生者って何人かいるのかしら?
「リリー、リリーってば」
「えっ…、何?」
ヤバい、コルゼといる時によそ事考えてた…。
恋人との時間は大切にしないと…。
「何か考え事?」
「あー…そんなとこ」
「…そういえば今日ブバリオの皇子が
リリーの執務室から出てくるのを見たって人がいたんだ。
何かあったの?」
そんな話を噂するやつがいるんだ…。
暇人め。
「何でもないわ。
帰してくれみたいなことを言われたけれど、
私が利用されるわけにもいかないし、人質を帰すわけには
いかない。」
「もちろんそうだね。
…リリー、ブバリオの皇子はすごく美形って聞いたんだけど、
どうだった?」
そりゃ攻略対象だからイケメンよね。
興味ないけど。
「まあ確かにきれいな顔だったわね」
「ふーん…」
「嫉妬かしら?」
なんてほほ笑むと、コルゼがムスっとした顔をした。
「嫉妬以外になにがあるっていうのさ。
俺、そんなに心広くないんだ」
「まあ嬉しい」
「…からかってるでしょ」
「そんなことな…んっ…」
ちょちょ、二人きりの部屋にいるとはいえ、
いきなり…。
コルゼって、キスする時、少し強引になる。
まあそんなところも好きなんだけど…。
唇が離れた。
「ねえリリー。何かあったら、何でも言ってね。
必ず、力になるから」
「ありがとう、コルゼ」
「近い将来、支えあって生きていく夫婦になるんだ。
だから、何でも言ってほしい。」
「うん…」
大丈夫、だよね。
今は、この心のざわつきを、無視したかった。
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