偽物の侯爵子息は平民落ちのうえに国外追放を言い渡されたので自由に生きる。え?帰ってきてくれ?それは無理というもの

つくも茄子

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~第二章~

35.誘拐計画1

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 ん~~っ!!チーズケーキ美味しい~っ! 

「――――で、決行するぞ」

「何時だ――」

「――――今日の夜に」

 ガラの悪い男達の声が聞こえてきた。
 なんだ?
 気になった僕は彼らの会話に集中した。盗み聞きするつもりはないけど、勝手に耳に入ってきてしまうのだ。どうせ聞いてしまうなら、いっそのこと集中して聞こうと思った。


「――――寝てる間に攫っちまえばいい」

「――――そうすりゃ問題ないだろう」

「女一人、簡単だろ」

「おいおい、屋敷には他にも女がいただろう。折角だ。全員、いただこうぜ!」

「そりゃあいい!!」

「結構、良い女が揃ってたからな。楽しみだぜ」

「お前さん等も好きだねぇ~」

 ゲラゲラと笑う男達。
 おいおい。物騒なこと話してるよ!ヤバい連中かもしれないな。

「若い女は、いい匂いがするし柔らかいからなぁ……」

「わかるわ~それな」

「屋敷じゃ、若い女もそれなりにいるって話だ。何人か祭りに連れて行くのもありだろう」

「それは良いかもな」

「何人いるんだ?」

「解んねぇな。適当でいいんじゃねぇか?」

「攫った時に決めたらいいだろ」

「そりゃそうだ!」

 ニヤついた笑いを浮かべながら話す男達。

 なんで店の中で誘拐の相談と計画を立ててるんだよ?!
 余所でやれ!
 物騒過ぎない?! 
 食事がまずく感じるだろうが!!


 それにしても、若い女を祭りにね。「祭り」という言葉が妙に引っ掛かるんだよな。
 酒場での忠告もある。
 何か関係あるのかな?
 僕の考え過ぎなら良いけど……。
 どうも気になる。

 この村の「祭り」って普通の祭りじゃないのでは?
 行われる場所も気になるしね。もしかして生贄的な何かだったりする?!だから参加しない方がいいと言ったのかな?それだと納得する!
 でも、そうだと決まった訳じゃない。
 何とも言えないな。情報が少なすぎる。
 こうなると酒場のオジサンの忠告に従うべきなのかも。


 僕が悩んでいる間にも、彼らの話は進んでいく。それも最悪の方向に。


「屋敷の見張りは?」

「大丈夫だろう」

「そうだな」

 え~っと。
 それって大丈夫じゃないよ?

「よし、それじゃ準備をしてこい!」

 リーダー格の男に命令されて、他の二人が店から出ていった。マジでヤルつもりだな!コイツ等。



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