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第14話:少女に出会いました
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グリーンズ王国に来て早3ヶ月。すっかり地下の生活にも慣れて来た。さらに毎日ジルド殿下たちと一緒に地上に出ている為、攻撃魔法もそれなりに上手に扱えるようになってきた。
食糧も毎日家族から届くため、もう空腹に悩まされることはない。もちろん他の地下に避難している人たちにも、定期的に食糧を配っている。ただ、王都だけでもかなり広く、まだまだ食糧を配り切れていないところもあるのだ。
魔法陣を使って配ればいいのだけれど、魔法陣は特殊な魔法で、あちこちに描きまくる訳にはいかない。下手をすると、魔物を魔法陣越しに呼び出してしまう事もあるのだ。とにかく、大変でも自分たちの足で、食糧を届けている。
今日も朝から、ジルド殿下たちと一緒に地上に出て、食糧を配る。相変わらず沢山の魔物がいるが、何とか攻撃魔法でしのぐ。
「ジャンティーヌ殿はすっかり攻撃魔法が上手に扱える様になったね。この前もドラゴンを1匹倒しただろう?本当に凄いよ」
優しい眼差しで私を褒めてくれるのは、ジルド殿下だ。
「ありがとうございます。でも、まだまだですわ」
そう、私はまだ自分の魔力をコントロールでき切れていない。もっともっとコントロールできるようになって、皆の手助けをしないと。
そう思っている時だった。1人の少女が目に入った。10歳くらいかしら?食べ物を探しているのか、壊れた建屋に隠れながら、辺りを物色している。
ただ…
「グワァァァ!」
近くにはドラゴンの姿が!
「危ない!稲妻!」
少女めがけて襲い掛かって来るドラゴンを、稲妻で一気に倒す。悲鳴を上げて倒れ込むドラゴンを横目に、急いで少女の元へと向かった。
「あなた、大丈夫?怪我はない?」
ガタガタと震えている少女を抱きしめた。
「助けて頂き、ありがとうございます」
相当怖かったのだろう、目に涙を浮かべながらも、必死に笑顔を作っている。
「あなた、食糧を探していたのでしょう?ここは危険だわ。あなた達が隠れている地下に、案内してくれるかしら?必要な分の食糧を提供するから」
地上は非常に危険なのだ、だからこそ、隠れ家に向かい食糧を手渡すことにしている。
「本当ですか?こっちです」
嬉しそうに少女が地下に案内してくれた。廃墟の奥を進み、地下へと繋がる扉を開けた少女は、そのまま奥へと入って行く。そして小さな洞窟の様な場所に、少女よりも小さな子供たちと、怪我をした両親の姿が。
「「おねえちゃん!!」」
子供たちが嬉しそうに少女に抱き着いている。そうか、この子は怪我をした両親に代わり、食糧を探していたのね。
「リマ、よかった。無事だったのね。あの方たちは?」
「この人たちは食糧を持ってきてくださった騎士様たちよ。本当にお強いのだから」
「そうでしたか、ありがとうございます」
私達に頭を下げる母親。早速食糧を提供した。そして私の治癒魔法で、両親の傷も治す。
「傷が奇麗に…本当にありがとうございます!」
「ありがとうございました!食糧を頂いただけでなく、怪我の治療まで行って頂けるだなんて。…あなた様は、ジルド殿下ですよね?」
父親の方が、ジルド殿下に気が付いた様だ。
「はい…あの…私たちのせいでこの様な過酷な環境を強いてしまい、本当に…」
「どうか謝らないでください。あなた様たち王族が、命をかけて私たちの為に動いて下さっている事を、私達平民は知っております。それに陛下たちに非があったとは、私共は思っておりませんわ。魔女が全て悪いのです。殿下、どうかご自分を責めないで下さい」
父親が必死にジルド殿下に訴えている。
「ありがとうございます…」
毎回食糧を届けるたびに、殿下はこうやって民たちに謝罪をしている。ほとんどの人たちがこうやって温かく迎えてくれるのだ。
きっとジルド殿下とシルビア殿下が素敵な人だからだろう。
「さあ、皆さま、お腹が空いているでしょう。しっかり食べて下さい。これからは定期的に食糧を届けますので、どうかここからあまり出ない様にしてくださいね」
きっとお腹ペコペコだろう。早く皆に食べて欲しくて、食糧を進めた。皆久しぶりの食事なのか、嬉しそうに食べている。
「こんなにお腹いっぱい食べられたのは、初めてだよ。本当にありがとう、お姉ちゃん」
そう言って子供たちが微笑みかけてくれた。
「どういたしまして。それじゃあ、私たちはまだ食糧を届けないといけないから、これで失礼するわね」
そう、私達にはまだまだ食糧を待っている人たちがいるのだ。すると、先ほど助けた少女が私の元へとやって来たのだ。
「あの…本当に色々とありがとうございました。私はリマと言います。あなた様のお名前は?」
「私はジャンティーヌよ」
「ジャンティーヌお姉様ね。ジャンティーヌお姉様、とても素敵でしたわ。これ、お礼です」
そう言うと、見た事のない形の美しい石を私の首にかけてくれたのだ。なんだかしずくの様な形をしている。
「この石は、邪悪な者から守ってくれる石なんです。お姉様が魔物にやられませんように」
そう言うと、それはそれは可愛らしい笑顔を見せてくれたリマ。
「ありがとう。でも、そんな大切な物、私がもらってもいいの?」
「ええ、もちろん。ジャンティーヌお姉様は、私たちの恩人だから」
恩人か…
そっと首からぶら下がっている石に触れた。
「ありがとう、この石、私の宝物にするわね」
食糧も毎日家族から届くため、もう空腹に悩まされることはない。もちろん他の地下に避難している人たちにも、定期的に食糧を配っている。ただ、王都だけでもかなり広く、まだまだ食糧を配り切れていないところもあるのだ。
魔法陣を使って配ればいいのだけれど、魔法陣は特殊な魔法で、あちこちに描きまくる訳にはいかない。下手をすると、魔物を魔法陣越しに呼び出してしまう事もあるのだ。とにかく、大変でも自分たちの足で、食糧を届けている。
今日も朝から、ジルド殿下たちと一緒に地上に出て、食糧を配る。相変わらず沢山の魔物がいるが、何とか攻撃魔法でしのぐ。
「ジャンティーヌ殿はすっかり攻撃魔法が上手に扱える様になったね。この前もドラゴンを1匹倒しただろう?本当に凄いよ」
優しい眼差しで私を褒めてくれるのは、ジルド殿下だ。
「ありがとうございます。でも、まだまだですわ」
そう、私はまだ自分の魔力をコントロールでき切れていない。もっともっとコントロールできるようになって、皆の手助けをしないと。
そう思っている時だった。1人の少女が目に入った。10歳くらいかしら?食べ物を探しているのか、壊れた建屋に隠れながら、辺りを物色している。
ただ…
「グワァァァ!」
近くにはドラゴンの姿が!
「危ない!稲妻!」
少女めがけて襲い掛かって来るドラゴンを、稲妻で一気に倒す。悲鳴を上げて倒れ込むドラゴンを横目に、急いで少女の元へと向かった。
「あなた、大丈夫?怪我はない?」
ガタガタと震えている少女を抱きしめた。
「助けて頂き、ありがとうございます」
相当怖かったのだろう、目に涙を浮かべながらも、必死に笑顔を作っている。
「あなた、食糧を探していたのでしょう?ここは危険だわ。あなた達が隠れている地下に、案内してくれるかしら?必要な分の食糧を提供するから」
地上は非常に危険なのだ、だからこそ、隠れ家に向かい食糧を手渡すことにしている。
「本当ですか?こっちです」
嬉しそうに少女が地下に案内してくれた。廃墟の奥を進み、地下へと繋がる扉を開けた少女は、そのまま奥へと入って行く。そして小さな洞窟の様な場所に、少女よりも小さな子供たちと、怪我をした両親の姿が。
「「おねえちゃん!!」」
子供たちが嬉しそうに少女に抱き着いている。そうか、この子は怪我をした両親に代わり、食糧を探していたのね。
「リマ、よかった。無事だったのね。あの方たちは?」
「この人たちは食糧を持ってきてくださった騎士様たちよ。本当にお強いのだから」
「そうでしたか、ありがとうございます」
私達に頭を下げる母親。早速食糧を提供した。そして私の治癒魔法で、両親の傷も治す。
「傷が奇麗に…本当にありがとうございます!」
「ありがとうございました!食糧を頂いただけでなく、怪我の治療まで行って頂けるだなんて。…あなた様は、ジルド殿下ですよね?」
父親の方が、ジルド殿下に気が付いた様だ。
「はい…あの…私たちのせいでこの様な過酷な環境を強いてしまい、本当に…」
「どうか謝らないでください。あなた様たち王族が、命をかけて私たちの為に動いて下さっている事を、私達平民は知っております。それに陛下たちに非があったとは、私共は思っておりませんわ。魔女が全て悪いのです。殿下、どうかご自分を責めないで下さい」
父親が必死にジルド殿下に訴えている。
「ありがとうございます…」
毎回食糧を届けるたびに、殿下はこうやって民たちに謝罪をしている。ほとんどの人たちがこうやって温かく迎えてくれるのだ。
きっとジルド殿下とシルビア殿下が素敵な人だからだろう。
「さあ、皆さま、お腹が空いているでしょう。しっかり食べて下さい。これからは定期的に食糧を届けますので、どうかここからあまり出ない様にしてくださいね」
きっとお腹ペコペコだろう。早く皆に食べて欲しくて、食糧を進めた。皆久しぶりの食事なのか、嬉しそうに食べている。
「こんなにお腹いっぱい食べられたのは、初めてだよ。本当にありがとう、お姉ちゃん」
そう言って子供たちが微笑みかけてくれた。
「どういたしまして。それじゃあ、私たちはまだ食糧を届けないといけないから、これで失礼するわね」
そう、私達にはまだまだ食糧を待っている人たちがいるのだ。すると、先ほど助けた少女が私の元へとやって来たのだ。
「あの…本当に色々とありがとうございました。私はリマと言います。あなた様のお名前は?」
「私はジャンティーヌよ」
「ジャンティーヌお姉様ね。ジャンティーヌお姉様、とても素敵でしたわ。これ、お礼です」
そう言うと、見た事のない形の美しい石を私の首にかけてくれたのだ。なんだかしずくの様な形をしている。
「この石は、邪悪な者から守ってくれる石なんです。お姉様が魔物にやられませんように」
そう言うと、それはそれは可愛らしい笑顔を見せてくれたリマ。
「ありがとう。でも、そんな大切な物、私がもらってもいいの?」
「ええ、もちろん。ジャンティーヌお姉様は、私たちの恩人だから」
恩人か…
そっと首からぶら下がっている石に触れた。
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